【独自解説】国によって違う政治家スキャンダルの『これはアカン!』 玉木代表は“不倫”で謝罪もアメリカではスキャンダルだらけのトランプ氏が圧勝!女性問題・汚職・お金など国や時代背景で変わる“許せない”基準とは?
政治家のスキャンダルが、どの国にとって何が問題かというのは、国によって違います。男女の問題も、その時の時代背景によって、仕方がないという時代もありました。日本だけでなく世界にとって、政治家のスキャンダルとは一体どういう意味があるのでしょうか。『読売テレビ』高岡達之特別解説委員の解説です。
■“不倫スキャンダル”が発覚し謝罪会見をした玉木代表 政治家が問題収束のために使う『家族に怒られた』で有権者からの共感は得られるか?
お金や女性問題など、政治家にはいろんなスキャンダルがあります。2024年11月12日、突如発覚した国民民主党・玉木代表の“不倫スキャンダル”。玉木代表にとってこの日は、午前9時から石破首相との党首会談があり、午前11時からは公明党と党首会談、そして午後からは首相指名選挙が控えていました。とにかく午前中に、少しでも早く影響を収めなければならなかった玉木代表は、午前9時~11時の間に、緊急で釈明の記者会見を入れました。
何故ここに釈明会見を入れたのかというと、午後に与党党首と会うため、ここで“政治家向けの信用”を回復しなければならないからです。“政治家向けの信用”回復とは、首相指名選挙で国民民主28人が一人も欠けずに投票用紙に『玉木雄一郎』と書くことを、与党の各党首と案に合意しているため、これが揺らがないように収束させなければいけません。
問題を収束させるために、政治家はよく『家族に怒られた・妻と息子から怒られた』など、“家族”を使うことが多いです。これは“家族に怒られた”と言うと、有権者からの共感を得やすくなるからです。
謝罪会見で玉木代表は、妻から怒られた理由を「挽回するために103万円の引き上げを全力でやってこいと言われた」と話していますが、これが本当かどうかも分かりません。妻や息子が発言してるわけじゃないですから。なぜこの場でこの回答をしたのか、結局誰に謝ったのかも、よく分からない会見となりました。
■女性問題や汚職、“不公平”で政権転覆!?『これは許すが、これは許さない!』国や時代背景によって変わるスキャンダル事情
ところが世界で見るとスキャンダルも各国によって、あるいは時代によって少し受け取り方が違います。女性問題といえばトランプ次期大統領ですが、大統領選挙では圧勝でした。女性の有名人たちが「絶対に嫌だ」という拒否感があったにも関わらず、国民の半分以上の人たちは支持しました。
それは国民が、今のアメリカが“お行儀が悪い”ことをよく知っているからです。だからこそ、変えてもらいたい現実が目の前にあり、“実行力”と何をやってきたかという“実績”を重視しています。それはアメリカの最新の統計が示しています。
アメリカ全てのエリアで『今の経済は良くない・物価が上がってる・自身が貧しい』という意見が全国民の7割弱もいます。トランプ次期大統領に投票した人たちだと、もっと割合が増えると言われています。なので“お行儀”より“実行力”なんだというのが“今のアメリカ”を示しています。
ただアメリカが浮気に寛容なわけではく、時代によります。1995年にクリントン大統領(当時)は大統領執務室でスタッフと『不適切な関係』に。女性問題で130年ぶりに弾劾裁判を開くところまでいきました。(上院で否決)
その理由は、「彼女のことなんて知らない」などと国民に対してウソの説明をしたことや、さらにその不適切な行為が、“大統領執務室”で行われたことです。アメリカ国民にとって“大統領執務室”というのは、米国が絡む戦争を決断し、国民の命のやり取りを話す場所なのです。この時代は、もちろん経済も大変でしたが、国民にとっては“現状”や“物価高”よりも、“スキャンダル”が問題だったということです。
“スキャンダル”は男女の問題だけに限りません。中国のトップが一番許されないのは“汚職”を放置することです。“汚職”は、中国としては長年引きずっている問題だと言われていますが、習近平国家主席は、一生懸命に摘発をしているとのことです。しかし、中国は14億人の国民を抱えています。一部の人だけがお金で良い思いをするのかという考えを持たれないよう、国民に平等だと言うために、習近平国家主席は「虎もハエも叩く」という言葉を使っています。
韓国では、大統領になった人の周りが必ずズルをすると言われていて、現大統領である尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の妻も、沢山バッグを買うといいます。これに政府のお金を使用しているのではと言われ、2024年11月からは妻の外国への同伴を中止しています。
2016年に起きた朴槿恵(パク・クネ)元大統領に退陣を求める抗議デモの場合、韓国ではすごい盛り上がりをみせました。パク・クネさんも自分の知り合いに便宜を図ったと言われ、結局は失職しました。
ロシアのプーチン大統領は女性関係が派手で、それに嫌気がさして妻に出て行かれたとも言われていますが、それはロシアで全く問題になりません。ロシアで大統領として一番“許せない”のは『弱い』ということです。これはアメリカに対しても、周りの国に対しても“意見が言えない”ということで、プーチン大統領自身もそれをよく分かっており、ウクライナ侵攻のあと、憲法に『ロシアの領土を渡すような人間はダメだ』ということを明記したほど、ロシアでは『強さ』が大事なのです。
■自民党は玉木代表の不倫問題を責めると逆に“損”?不倫スキャンダルで“絶対に”譲れなくなった『178万円』 玉木代表が払う代償とは―
そして、玉木代表の払う代償はどうなるのかというと、永田町では、「玉木代表はこれで“絶対に”交渉として譲ることができなくなった」と言われていて、“絶対”となると交渉相手の自民党もなかなか折り合いが付きづらくなります。
しかし、自民党側もお金のスキャンダルで、国民から制裁を受けました。この不倫問題を責めると、逆に自民党も、「そこしか責める所がないのか」と言われてしまい、そうなると原則通り『なぜ178万円なのか』という法的な根拠を責める方法しか取れません。なので、この政策は、玉木さんにとって譲れないものですが、今回の不倫問題で実際はどうなるかわかりません。
アメリカの有権者たちは、人としてどうかということも大事ですが、“実行できるなら”ということを評価しました。日本の有権者も、この考えに変わってきているような気がしますが、皆さんはどうでしょうか。(『読売テレビ』高岡達之特別解説委員)
(「かんさい情報ネットten.」2024年11月12日放送)