【ナゼ?】一日の被害総額1000万円!?特殊詐欺の被害認知件数ワースト2位の大阪府が『高齢者はATMで通話禁止』義務化を検討!ここまで踏み込んだ背景にある、大阪ならではの事情とは?
全国で増加している特殊詐欺による被害。被害に遭っているのは主に高齢者なのですが、被害認知件数ワースト2位の大阪では、条例を改正し「高齢者によるATMでの通話禁止」の義務化を検討しているといいます。成立すれば全国初の試みとのことですが、一体ナゼなのでしょうか?
■「大阪で毎日1000万円、特殊詐欺の被害が出ている」特殊詐欺の被害認知件数、大阪は全国ワースト2位
家族や役所の人間になりすまし、嘘をついて騙す「特殊詐欺」。2023年の大阪府の特殊詐欺の被害認知件数は2656件で、東京に次いでワースト2位となっています。被害額は約36億6000万円に上り、一日当たりの被害額は1000万円。被害に遭った85%以上が65歳以上の高齢者だそうです。
この状況に、大阪府・吉村知事は「大阪で毎日1000万円、特殊詐欺の被害が出ている。踏みこんだ対策が必要。そのために条例を改正していきたい」と語っています。
■『高齢者はATMの操作中は通話禁止』“義務化”となれば、全国初の試みに
高齢者に、ATMで携帯電話の操作を控えるよう促す条例などは、すでに熊本県や岡山県などでも作られているものの、いずれも制約を課さない努力義務となっています。一方、大阪府は“高齢者はATMで携帯の使用禁止”の義務化に踏み込む考えで、成立すれば全国初の試みだそうです。
主な条例改正案は、『高齢者はATMの操作中は通話禁止』『不自然な出入金の通報』『プリペイドカードなど、販売時に目的を確認』『高齢者はATMの振り込み制限』などです。義務化を検討していますが、罰則はありません。
■大阪は“お金が返ってくる”「還付金詐欺」の被害が、全国1位
なぜ大阪がここまで厳しいのかというと、2023年の特殊詐欺の被害件数は東京のほうが多く、大阪は2位となっていますが、特に大阪は『還付金詐欺』が多いからです。『還付金詐欺』とは、“お金が返ってくる”などと嘘をついて騙す詐欺のこと。オレオレ詐欺の被害件数だと、東京は819件・大阪は111件なのに対し、ATMなどを使った還付金詐欺被害になると、大阪は948件・東京が588件となり、大阪での被害の多さがわかります。
還付金詐欺の手口はこうです。
まず役所の人間だと名乗る人物から、「医療費を払い過ぎているので、還付金を受け取れます。本日中であれば受け取れます。ATMに着いたら連絡ください」などと電話が来ます。
電話を持たせたままATMまで行かせ、「本人確認を行うので『本人確認ボタン』、なければ残高照会を押して、読み上げてもらっていいですか」と言ってきます。『本人確認ボタン』はATMにはありませんので、残高を読み上げることとなり、これにより通帳にいくら入っているのかが、相手方にわかってしまいます。
そして、「還付金を振り込みますので、『お振り込みボタン』を押してください」と言ってきます。もちろん、この『お振り込みボタン』は“相手にお金を振り込む”ものです。さらに「最後にあなたの個人番号を入力します。498765と入力し、確認を押してください」と言われますが、この数字は、先ほど聞いた残高照会の金額より、すこし少なめの数字。これを入力してしまうと、49万8765円を知らない人に振り込み、騙し取られてしまうという仕組みです。
■どうやって高齢者を見分けるの?課題も多い、大阪府の条例案
しかし、この大阪府の条例案には課題もあります。高齢者の自由を制限してしまう恐れや、高齢者をどう見分けるのか、カスタマーハラスメントが起きる可能性などもあります。そして、新たな投資や人員も必要になります。
(元経産官僚・岸博幸氏)
「今は、65歳を超えても働いてる人が多いです。すごく大事な仕事の電話をしながら急いでお金を下ろすこともあり得ますので、それを考えると、一律でやるというのは、結構厳しい部分があるのかなという気はします」
(「情報ライブ ミヤネ屋」2024年10月11日放送)