×

【新展開】被害者の娘の内縁の夫と知人の不動産業者逮捕 怨恨か? 資産目的か?那須夫婦遺体事件「イレギュラーは遺体が早く見つかってしまったこと」「今後の捜査は背後関係の有無」

2024年5月7日 19:00
【新展開】被害者の娘の内縁の夫と知人の不動産業者逮捕 怨恨か? 資産目的か?那須夫婦遺体事件「イレギュラーは遺体が早く見つかってしまったこと」「今後の捜査は背後関係の有無」
那須長夫婦遺体事件で新展開

 4月16日、栃木県那須町で宝島龍太郎さんと妻・幸子さんの遺体が見つかった事件に新展開です。警視庁は新たに夫婦の娘の内縁の夫ら2人を逮捕しました。内縁の夫は事件を主導したとみられています。この事件の真実とは一体?元埼玉県警・捜査一課警部補の佐々木成三氏と犯罪ジャーナリストの石原行雄氏が分析します。

新たに被害者夫妻の娘の内縁の夫と顔見知りの不動産業者を逮捕

 これまで指示役とみられる佐々木光容疑者、仲介役の平山綾拳容疑者、実行役の若山耀人容疑者と姜光紀容疑者の4人が逮捕されていましたが、さらに5月6日午後11時ごろ、世田谷区に住む被害者夫妻の娘の内縁の夫、関根誠端(せきね・せいは)容疑者が、翌朝には夫婦と面識がある不動産業の前田亮(まえだ・りょう)容疑者が死体損壊の疑いで逮捕され、事件発生から3週間で逮捕された容疑者は6人となりました。

 今回逮捕された関根容疑者は、宝島さん夫婦が経営する会社でマネジャーを務めていたといいます。関根容疑者と宝島さんを知る人は「トラブルというか、仕事上の“いざこざ”というか意見が合わないことはあったそうです。例えば、営業に対してとか新店舗を出す上での内装の仕方の違いなど」と話しています。

 東京上の周辺の店舗の人は「関根容疑者は1年半ほど前から見るようになった。事件前まで、ほぼ毎日周辺の店を回っていた。事件後(休業から)店を再開する際、姿が見えないので不思議に思った」と話しています。

Q.今回のような事件の場合、宝島夫妻の家族など近いところを捜査するというのは鉄則なんでしょうか?
(元埼玉県警・捜査一課警部補 佐々木成三氏)
「今回、関根容疑者に関しては、物件を見に行くときに一緒に行った人物として浮上していたと思います。今までは被害者と接点がない人物が逮捕されていた中で、初めて動機を持っている可能性が高く、会社の関係者であり身内でもある人物が逮捕されたことになります。警察は関根容疑者を早い段階でマークしていたんじゃないかと感じます。どのようなトラブルがあったのかも警察は把握しているのでしょう。最初に平山容疑者が捕まったのが大きいです。そこから実行犯2人、さらに佐々木容疑者が逮捕される結果となりました。私は佐々木容疑者と関根容疑者の接点は多いと感じます。徐々に供述のすり合わせで、点が大きな線になって行ったのは供述ベースで裏付けが取れていったということだと思います」

(犯罪ジャーナリスト 石原行雄氏)
「今回、事件直後から取材していてどうやらプロの仕事ではない、素人集団の非常にずさんな仕事だったということで、警察は事件直後のかなり早い段階から、通信関係や顔見知り関係、防犯カメラなどたくさんの証拠を掴んで動いたということが一番大きいと思います」

遺体の身元が判明された以後のことを彼らは考えていなかった

 事件前日の午後11時半ごろ、宝島さん夫妻と関根容疑者、前田容疑者は前田容疑者が借りたレンタカーで物件探しのため東京都内の空き家に移動したということです。事件当日の午前0時ごろ、東京都内の前田容疑者の会社が管理する空き家近くの複数の防犯カメラに佐々木容疑者とみられる男が映っていたということです。そこのガレージで、宝島さん夫妻は実行役の2人と接触したと見られます。

Q.宝島さん夫妻がいつ物件を見に行くということを把握していないと、今回の犯行の流れはできないですよね?
(石原氏)
「4月15日に拉致監禁が行われて、16日の未明には遺体が燃えているところを発見されています。にも拘わらず、13日にはガソリンなどを購入し、14日には結束バンドなどを購入しているので、15日に宝島さん夫妻が不動産を見に行くというスケジュールを軸にバタバタと前後の構成を作った可能性が高いと思います」

Q.このグループ内に逆らえない人間関係があったのでしょうか?
(石原氏)
「首謀者の関根容疑者が35歳、指示役の佐々木容疑者が28歳、仲介役の平山容疑者が25歳、実行役の若山容疑者と姜容疑者が20歳ということで、シンプルな上下関係の中で人間がかき集められて『15日にできそうだからに行くぞ』となった可能性はあるかなと感じます」

Q.実行役と言われる二人が殺害を行ったのでしょうか?
(佐々木氏)
「殺害までの流れと、死体損壊までの流れが明らかに変わっていると感じます。物件を見に行って、ガレージという密室で殺害しているグループと、そのあと死体を受け取ったグループのずさんな手口が、何か犯行形態が変わっているなという感じがします。実際に若山容疑者と姜容疑者が死体損壊をしていますが、ずさん過ぎて主体性がないなと。殺害を彼らがしているとなると、あんな簡単な場所に死体を置くかなと思います。何か指示されたことだけをやっているような感じはします。ただ、殺害現場にいれば、共同正犯になるので、関わっている可能性は十分あります」

Q.那須町のことは行き当たりばったりだったということでしょうか?
(佐々木氏)
「今回の犯行の最終的なものは、ガソリンで焼いて遺体の身元を特定させない。つまり焼失させようと考えていたと思うのですが、山の中というよりは目立つ場所に捨てている。ガソリンも爆発的な燃焼を最初はしますが、継続的な燃焼はしないので、遺体が焼失することはありません。この点も稚拙な部分だと思います。この犯罪グループの一番のイレギュラーは、遺体が早く見つかってしまったということと、身元が早く特定されてしまったことです。身元が判明された以後のことを彼らは考えていなかったと感じています」

Q.計画性とずさんさのギャップが大きいと感じますが
(佐々木氏)
「警察の捜査力を彼らは知らなかったと思います。実際、平山容疑者が出頭したときも、最初は『関与したかもしれない』という言動なんですよ。その時点で警察もあらゆる点の捜査を持っていたので、かなり供述の矛盾もあったと思います。そこが逮捕が遅れた理由だと思います。彼らは、死体が見つかるという想定はしていなかったのではないでしょうか。積極的な証拠隠滅もしていませんので、犯罪のミッションが終わった後は無計画だったとのではないかなと感じます」

Q.今回の犯罪ピラミッドのトップの関根容疑者も証拠隠滅は考えていなかったということですか?
(石原氏)
「可能性として残るのは、関根容疑者の背後関係、入れ知恵をした者がいた場合に、証拠隠滅が完全になされて行方不明ということになると、資産や権利などは失踪宣告を受けるまで7年間待たなければなりません。すぐに遺体が発見されるほうが宝島夫妻に近い人間が資産などを手に入れられるというところもあるので、今後の捜査は背後関係の有無というところが大きなところかと思います」


(「情報ライブミヤネ屋」2024年5月7日放送)