稲村陣営が"SNS凍結"めぐり告訴状を提出 “虚偽の通報”は選挙妨害 県は“SNS対策条例”検討
兵庫県知事選で敗れた稲村和美氏の陣営が虚偽の通報でSNSのアカウントを凍結されたとして22日、警察に刑事告訴しました。選挙の混乱は新たな展開を迎えています。
相生市・谷口芳紀 市長
「政治をやっている者は、選挙というと燃えるというか、気合が入ってくるので…叩いてしまったのではないか」
22日会見を開いたのは、相生市の谷口市長です。
相生市・谷口芳紀 市長(14日の会見)
「“悪いやつ”を兵庫県から追い出して新しい風を入れる人は誰やと言ったら…(机を叩く)稲村や!」
谷口市長は兵庫県知事選挙で稲村氏を支持する県内の市長らと共に会見に臨み、そこで机をたたく様子がSNSなどで批判を集めていました。
相生市・谷口芳紀 市長
「(斎藤知事とは)3年間、いいお付き合い、ご指導を得られてきたと思っている。改めて心からのおわびを申し上げて、これまで同様のご指導をいただければと、おわびに行ってこようと思っている」
ほかにも…
姫路市・清元秀泰 市長
「選挙が終わったらノーサイドと言っていただけるか、いや、(稲村氏を支持した)22の市長のところは補助金をカットすると言われるか分かりません。(斎藤知事と)仲良くできると信じています」
同じく稲村氏支持を表明していた姫路市の清元市長も、会見で斎藤県政との連携を強調しました。
異例の選挙戦となった兵庫県知事選挙。敗れた稲村氏陣営にも動きが…
稲村 和美氏(17日)
「斉藤候補と争ったというより、何と向かい合ってるのかなと、そういった違和感があったのは事実です…」
選挙期間中、稲村氏の後援会が運営するXのアカウントが2回にわたり凍結されました。後援会は凍結の原因について複数のアカウントからの「虚偽の通報」によるものだとしています。中には「アカウントを一斉に通報しよう」と呼び掛ける投稿も。
こうした通報を行ったアカウントを「選挙妨害」だとして、後援会は22日午後、偽計業務妨害の疑いで刑事告訴。公職選挙法違反の疑いで兵庫県警に告発しました。
稲村氏の後援会・津久井進 弁護士
「大変重要な時期に10日間ほど発信活動が制限されたことによって、後援会として稲村和美さんを応援する活動ができなかったことが、たいへん残念であり、たいへん遺憾に思っている」
弁護人によりますと、兵庫県警は現時点で告訴状・告発状を受理しないとしていますが、後援会は今後も事実関係を明らかにしていきたいとしています。
(中谷しのぶキャスター)
改めて、稲村氏の後援会の告訴・告発状によりますと、複数のアカウントから虚偽の通報があって選挙期間中に後援会が運営するXアカウント2つが凍結されたということから偽計業務妨害罪にあたる、告訴ということになります。
もう一つが、4つのデマを稲村氏が否定後も投稿を拡散したとして公職選挙法違反の告発をしたということなんですが、現時点では警察は告訴・告発状を受理していません。
今回告訴・告発された人というのは「氏名不詳者複数」、ただ特定のアカウントも含むということなんですよね。
(横須賀ゆきの解説委員)
どういったところが立証可能なのか、亀井正貴弁護士にお聞きしました。
こうしたケースはすごく立証にハードルが高いということになります。
実行犯の特定、それからその行為の立証、今回であるならば、集中的に複数のアカウントで投稿している、こうした立証はなかなか難しいということになります。複数人で行っていた場合、共謀の立証もしなければならない。さらには意図的にわざとやったのかどうか、故意の立証、今回はアカウントを凍結させる目的などを立証しなければいけないというハードルがあるわけです。
ただ今後、警察と協議をしながら弁護士側が証拠を集めていく可能性もあります。
(中谷しのぶキャスター)
今回の選挙では誹謗中傷も相次ぎました。斎藤氏は「誹謗中傷も含めてSNSはみんなが冷静に使うことが大事だ」と発言しています。稲村さんもXの応援アカウントが2回凍結されたことに対して「何と向き合っているのかなという違和感があった」と。清水さんも「SNSの世界は何が本当で何が嘘か有権者がつかみにくい」。また同じく立候補されました大沢さんも、本人のアカウントなどに数件の誹謗中傷があったということなんですね。
実際に兵庫県は対策に動き出そうとしています。
(横須賀ゆきの解説委員)
2023年からこの対策を条例化しようという流れはありました。2023年に旧明石市立図書館を巡って情報漏洩問題が起きました。これは明石市長と斎藤氏との電話でのやりとりがX上に流出してしまったということなんですね。
さらには斎藤知事自身がコロナに感染したときに誹謗中傷を受けた。こうしたことから、兵庫県ではインターネット上の誹謗中傷などに関する相談窓口を設置したり、プロバイダーなどへの削除依頼のアドバイスなども行うサポートもすでに始めているんです。
ただし、このようなことがあったので、条例化することで誹謗中傷や誤った情報の安易な拡散を是正すべきだと県民に認識してもらいたいと、斎藤知事が2023年の時点で話をされていて、いま有識者の会議が行われています。
20日にSNS条例への制定に向けて準備や検討を進める考え、対策をしっかりとっていきたいということなんですが、刑事のほかに行政でどこまでできるのかを弁護士の方に聞いています。
条例を作るにしても罰則を設けるのは難しい。理由としては市民から抵抗が出るだろう。ただし条例の根拠を定めることで、既存の対応に予算をつけるなどより充実させることにつながるのではということで、サポートの充実とか削除要請などこうした充実は図られるのではないか。
完全ではないんだけど、一歩ずつ防いでいく手立てを行政も進めていくことができるということなんです。