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【解説】「パワハラあった」「告発者捜し違法」第三者委が斎藤知事の調査結果公表 百条委より踏み込む 客観性高く「本音を話しやすい」

2025年3月19日 18:16
【解説】「パワハラあった」「告発者捜し違法」第三者委が斎藤知事の調査結果公表 百条委より踏み込む 客観性高く「本音を話しやすい」

 兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑について調査した第三者委員会が、調査結果を報告しました。(取材・報告=黒木千晶アナウンサー)

 第三者委員会の調査報告の会見が、こちらの私の後ろの部屋で先ほど午後4時から始まりました。第三者委員会のメンバーですが、日本弁護士連合会の指針に基づき、兵庫県の弁護士会が「県との利害関係が無い」などの条件をもとに推薦した弁護士6人で構成されています。

 会見が始まって8分ほど経ちますけれども、多くの報道陣が詰めかけています。現在も委員から説明が行われています。

 先ほど、調査報告書が配られたんですが、まずこちらが先日行われた百条委員会の調査報告書になります。幅で言いますとページ数これくらいのものになるんですが、先ほど第三者委員会の調査報告書が配られました。ページ数で見ますとかなり分厚くなっています。それだけ中身も詳細なものになっています。

 その中身なんですけれども、百条委員会の報告書には、「パワハラがあったといっても過言ではない」という報告内容でしたが、今回の第三者委員会の報告書は「斎藤知事にはパワハラ行為があった」と明言しています。

 さらに、公益通報にあたるかどうかについては、元県民局長から複数あった告発内容のうち、一部は公益通報にあたると判断しています。

 そして、斎藤知事が、告発者捜しを命じたことについても「違法」としています。

 今回の第三者委員会と百条委員会は、調査の主体が弁護士か県議かという違いがあります。

 職員からは「議員の調査は情報漏えいの点では、 完全には信用できないし、顔見知りの人もいるが、弁護士には話しやすい」との声も、実際に取材を通して聞こえきています。その違いが報告書にも出ている可能性もあります。

 今後、斎藤知事や兵庫県議会から、今回の調査報告を受けてどのような反応があるか注目されます。

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(スタジオ解説 上野巧郎記者)

 改めて今回の第三者委員会の内訳がこのようになっています。

 去年9月に設置された第三者委員会ですが、県が委託して発足したものになります。

 弁護士6人、元裁判官などを含む弁護士6人で構成されていまして、大事なポイントとしては県との利害関係がない方を選んでいるというところ、そして費用もこれだけかかっているということも分かっています。

 今回の調査は、累計60人に対し延べ90時間のヒアリングを行っている第三者委員会なんですけども、百条委と比べては客観性が高い一方で、調査権限に関してはある程度弱いという側面もありますが、県の職員によりますと「百条委員会は顔見知りの相手なので本音を話しにくく、情報漏洩も気になる」という一方、第三者委に関しては利害関係がやはりないので「本音を話しやすい」という側面もあるということです。

 まず、おねだり疑惑についてです。

 今日の第三者委員会の報告書によりますと、事実として、多くの特産品などを知事一人が持って持ち帰ったことは「おおむね事実」だというふうに認定しました。
 そして、結論として贈収賄と評価できる事実はないものの、ベニズワイガニについては利害関係もあり「受領しないことが望ましかった」としています。

 同じおねだり疑惑について、百条委員会では「県の PR としての贈答品で一部の職員が独占しないように知事自身が多く持ち帰ることは事実なんだけども、一部で事実誤認もあるが、おねだりとの憶測は否定できない」という結論です。

 この結論を見比べてみて「より踏み込んだ結論を導いている」という印象です。

 では、パワハラ疑惑についてです。

 もう一つ大きく注目されたパワハラ疑惑に関して、今日、第三者委員会は、車が侵入禁止のため20メートル手前で降りた際に職員を激しく叱責したことに関しては「パワハラの該当性は認められる」という報告でした。

 さらに、机を叩いて職員を叱責するということに関しても「パワハラの該当性を認める」としています。

 一方で、知事であることを強調するような発言に関しては「パワハラの該当性は認められなかった」という事実を導きまして、「16の行為のうち10がパワハラに該当する」ということでした。

 結論としては「パワハラや不適切な言動にあたる行為が認められた」としています。

(中谷しのぶキャスター)
 百条委員会の調査結果と大きく違うのは、百条委員会では「パワハラ行為といっても過言ではない」という表現から、第三者委員会では行為が認められたことです。

(上野巧郎記者)
 パワハラに関しては、知事も発言を繰り返していまして、認定は司法の場でされるものだという見解をこれまで何度も示しているわけなんですけども 、先ほど説明があったように第三者委員会は、法律家が見解を出したものでした。
 刑事事件もしくは民事事件など裁判になるレベルではないものに関しても考えたんだと、 働きやすい職場のためにという観点でパワハラかどうかに当たるかを調査した結果、ご覧のような結果になったというところを知事がどう受け止めるのかというのも注目です。

最終更新日:2025年3月19日 19:00