斎藤知事の複数の“パワハラ”を認定 県の対応は一部「公益通報者保護法違反」と指摘 第三者委員会
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを調査していた第三者委員会は19日、調査報告書を公表し、知事の複数のパワハラを認定しました。さらに元県民局長が告発した行為を「公益通報」にあたるとし、県の対応は一部、公益通報者保護法違反であると指摘しました。
パワハラ疑惑などを告発した文書が兵庫県の斎藤元彦知事の手に渡ってから、20日で1年。
第三者委員会・藤本久俊委員長
「事情を聴かずに叱責するのは相当ではありません。私たちはこの行為もパワハラだと判断しました」
「ため息や舌打ちで考えさせるのは人を不安にさせる行為です。この行為もパワハラにあたると判断しました」
「公益通報対象事実の要件は満たしているとみるべきでしょう」
告発文書に「一定の事実が確認された」と結論付けた百条委員会に続く判断が、19日示されました。
公益通報対応の違法性やパワハラ疑惑などを否定し続けてきた斎藤知事は19日朝…
斎藤元彦知事
「審議・調査いただいた委員の皆さんには、長期間にわたって対応いただいたことに敬意を表させていただきたい。結果はまだわからないので、内容を見て精査してコメントしたい」
斎藤知事の疑惑をめぐっては3月、百条委員会が職員への叱責について「パワハラと言っても過言ではない」と認定。
告発者を処分した対応も「公益通報者保護法違反の可能性が高い」と指摘していました。
ただ斎藤知事は、この報告内容を受け入れない姿勢を示していました。
斎藤元彦知事
「一つの見解だと受け止めてはいます。私としては対応については適切だと考えています」
そして19日。
第三者委員会・藤本久俊委員長
「報告書をしっかり受け止め、県政の発展に生かしていただきたい」
疑惑を検証するために設置された弁護士らによる第三者委員会が、調査報告書を県に提出。
百条委員会とは異なる立場から、どんな結論を出すのか注目されていました。
県が委託した6人の弁護士が去年9月から調査を進め、まとめられた報告は資料を含め、260ページを超えています。
元県民局長が告発したパワハラ疑惑について、16の事例について調査した結果、報告書は10件がパワハラに該当すると認定しました。
出張先の施設で20メートルほど手前で公用車を降りた際、職員を激しく叱責した件については。
第三者委の調査報告書
「指導の必要性がない上に、相当性を欠く方法で行われた。パワハラにあたる」
夜間や休日、チャットで叱責したり業務の指示を行ったことについてもパワハラだと認定しました。
第三者委の調査報告書
「職員の生活時間を無用に侵害し、幹部職員を精神的に疲弊させ、勤務環境を害するものであったことから、パワハラにあたる」
また去年3月、県民局長の告発文書に対し、知事が放ったこの発言。
斎藤元彦知事
「事実無根の内容がたくさん含まれ、うそ八百含めて、文書を作って流す行為はやっぱり公務員失格ですので」
第三者委員会は一連の発言を見過ごすことができないと前置きしたうえで、「事実無根」と発言したことは「直後に撤回すべきだった」などと指摘。
また「公務員失格」「うそ八百」などの言葉を使い非難したことは、「精神的苦痛を与えるもの」などとして「パワハラに該当する」と報告しました。
さらに県民局長が告発した行為は、一部は公益通報にあたると判断。
そして、斎藤知事が告発者探しを命じたことについては「違法」だとしました。
そして先ほど、第三者委員会はパワハラを認定した報告書について会見を開きました。
第三者委員会・藤本久俊委員長
「資質というよりはコミュニケーションギャップを大きな問題として考える。パワハラは自分が我慢していいことはない。組織を弱体化させる。決して見逃してはならない。パワハラに甘い組織風土は改善されるべき」
これまで、「県の一覧の対応は適切だった」と繰り返してきた斎藤知事は、今回の報告書をどう受け止めるのでしょうか。