【速報】第三者委が斎藤知事のパワハラ認定「告発文めぐる処分は無効」公益通報者保護法違反も指摘 兵庫県 パワハラで「被害を被るのは県民」

兵庫県の斎藤知事の疑惑などを調査していた第三者委員会が19日、調査報告書を公表しました。知事の複数のパワハラ行為を認定し、告発者を特定したうえで懲戒処分をした県の対応の一部は公益通報者保護法違反であると断じました。
報告書の提出を受け、斎藤知事は報道陣の取材に対し、「大変重く受け止める」と語る一方、「報告書の内容を精査することが大事」と話し、「県の対応に問題はなかった」とする従来の見解に変わりはない姿勢を示しました。
■10の行為を「パワハラ」と認定 告発者の特定は「違法」懲戒処分は「無効」
報告書は、資料を含めると264ページにわたりました。知事のパワハラ行為については、深夜のチャット連絡や机をたたいて叱責した行為など10の行為をパワハラと認定しました。
一方で、斎藤知事が出張先で農産物や特産品、個人あてに贈与を受けたことについては「社会的儀礼の範囲内と考えられる」と認定しました。
そのうえでパワハラについて「人によってパワハラの線引きは異なるが、周囲の職員が委縮して就労関係が悪化し、県政が停滞することで被害を被るのは県民だ」として「いかに風通しの良い世の中にするか」という視点で判断したと述べました。
さらに、元県民局長が文書を作成し、マスコミや警察に送付した行為は公益通報者保護法における「3号通報」に該当すると指摘。告発者を特定した調査を違法としたほか、告発文書を作成したことによる懲戒処分は「無効」であるとしました。また、元県民局長が使っていた公用パソコンを引き上げたことも「違法だと考える」と判断しました。
第三者委員会は、兵庫県弁護士会が「県との利害関係が無い」などの条件をもとに推薦した弁護士6人で構成され、うち3人は元裁判官となっています。調査したのは知事の“パワハラ”疑惑など7つの疑惑や、告発文書の作成者を特定した県の一連の対応の適否で、県によれば調査方法から報告書の構成まで委員会に一任されたということです。
■百条委員会はすでに結果公表「噓八百ではなかった」
斎藤知事の疑惑をめぐっては、今月4日、県議会の百条委員会が調査報告書を公表していて、その報告書では、職員への“パワハラ”について「知事の言動・行動については、パワハラ行為と言っても過言ではない不適切なもの」と指摘。告発直後に告発者探しを行うなどした県の対応についても「公益通報者保護法上の外部公益通報にあたる可能性が高く、一連の県の文書問題への対応は看過できない問題があった」としました。
斎藤知事は、県の一連の対応は適切であったという認識を繰り返し、報告書を「1つの見解として受け止める」とコメントしていました。
■他にも2つの第三者委員会が調査中
県が設置した第三者委員会はほかにも2つあり、①告発者の私的情報を元総務部長が漏洩した疑惑②私的情報などがSNS上に漏洩した問題の2つがそれぞれ調査されています。
県は当初、人事に関する情報を取り扱う①の第三者委員会の調査結果を公表しない方針としていましたが、その後「懲戒処分に繋がった場合は可能な限り公表する」方針に転じています。