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【速報】元大阪地検検事正による性的暴行事件 情報漏洩・名誉棄損疑いで告発された副検事を『不起訴』 一方で懲戒『戒告』処分 大阪高検「プライバシー情報を第三者に伝達、不適切な言動」

2025年3月19日 16:09
【速報】元大阪地検検事正による性的暴行事件 情報漏洩・名誉棄損疑いで告発された副検事を『不起訴』 一方で懲戒『戒告』処分 大阪高検「プライバシー情報を第三者に伝達、不適切な言動」

 大阪地検の元トップからの性被害を訴えている女性検事が、捜査情報の漏洩や名誉毀損などの疑いで刑事告訴・告発していた副検事について、大阪高検は19日、副検事を戒告処分にするとともに、名誉棄損などの疑いについて不起訴処分としたと発表しました。

 大阪地検の元検事正、北川健太郎被告(65)は、検事正に在任中の2018年、泥酔した状態の部下の女性検事に性的暴行を加えた罪に問われ、当初裁判で起訴内容を認めた後、一転、無罪を主張する方針を示しています。

 事件をめぐっては、女性検事が、事件直前に飲食をともにしていた同僚の女性副検事について、北川被告に捜査情報を漏洩したり、「金目的で虚偽告訴だ」などと検察庁内で言い広めたりした疑いがあるとして、国家公務員法違反や名誉棄損などの疑いで、大阪高検に刑事告訴・告発していました。

■懲戒処分「被害者の心身や職場に悪影響をもたらす不適切な言動」 一方で“証拠隠滅”“名誉棄損”「証拠や事実と認められず」

 法務省は、告発されていた50代の副検事について、北川被告の弁護人になろうとしていた弁護士に対し参考人として聴取されたことを伝達し、通信履歴を削除したほか、去年6月から9月にかけて、大阪地検の複数の職員に女性検事の名前などを伝達するなど不適切な言動を行ったとして、19日付で懲戒「戒告」処分としました。

 処分の理由について、「性被害という高度のプライバシー情報を、事件とは無関係の第三者に伝達することに他ならず、被害者の心身や職場環境に悪影響をもたらす不適切な言動」だとしています。

 一方、告発されていた国家公務員法違反や名誉棄損などの疑いについて、大阪高検は、19日付でいずれも不起訴処分にしました。

 不起訴の理由について、「あくまで私人の立場で知った情報であり 職務上知ることのできた秘密に該当せず、削除した通信履歴が事件の証拠にあたるとは認められない」とし、名誉棄損の疑いについて、「特定かつ少数の人に対し個別に被害者に関する話をしていたにとどまり、間接的に不特定多数人が認識したという事実は認められない」として、嫌疑不十分や罪にはあたらないと判断したとしています。

 大阪高検と大阪地検は「今後二度とこのような事案が発生することのないよう、職員に対する指導や綱紀保持をさらに徹底し、再発防止に努める」としています。

■女性検事の代理人「国民の信頼を損ねる」「身内びいきで不適切」

 一方、女性検事の代理人は「検察庁の対応は、検察庁に対する国民の信頼を損ねるものであり、また身内びいきの不適切な処分だと考えている」とコメントしています。

 女性検事の代理人のコメントは以下の通りです。

「今回の被告訴・告発人の副検事の行為は、被害者にかかる地検の捜査妨害をしたり、被害者をひどく傷つける二次被害をも与えたりするものであると認識しており、懲戒免職相当の非違行為であるにもかかわらず、最も軽い戒告処分で済ませた。また刑事事件についても、起訴相当と認識しているが、それを不起訴処分にすることは、検察官としての職務を継続させることになる。いずれの処分についても事前に被害者に対する説明もなく、しかも捜査を打ち切って突然処分を下したことは、被害者の代理人として全く承服しがたい。このような検察庁の対応は、検察庁に対する国民の信頼を損ねるものであり、また身内びいきの不適切な処分だと考えている」

■処分を受けた副検事の代理人「処分は不当」「犯罪に該当する行為は一切及んでいない」

 一方、懲戒処分を受けた副検事の代理人は、「処分は不当で、公平性や公正さに著しく欠けるものであり、今後、不当性について訴えていく」とコメントしています。

 副検事の代理人のコメントは以下の通りです。

「この度の処分は、事実関係の誤った評価に基づいて判断されたもので、不当なものと考えております。今回の処分の対象とされた行為は、弁護士に対する正当な法律相談や同僚としての配慮に基づく行動等であり、いずれも悪意によるものではなく不正を意図したものでもありません。本件職員に対する刑事告訴・告発(国家公務員法違反、証拠隠滅、犯人隠避及び名誉棄損の各罪)が不起訴処分(いずれも罪とならず・嫌疑不十分)とされたことから明らかなとおり、証拠隠滅や名誉毀損等といった犯罪に該当する行為には一切及んでおりません。また、同様の事実関係に及んだと思われる他の職員については処分が行われていない中で、本件職員だけが厳しい処分を受けることは、公平性や公正さに著しく欠けるものと考えております。本件職員といたしましては、今後、適切な法的手続を通じて懲戒処分の不当性について訴えていく方針です」

最終更新日:2025年3月19日 19:14
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