【速報】4歳女児暴行死 母親の交際相手の男性に無罪判決「母親の証言内容に変遷、信用性に疑問」奈良地裁

2023年、奈良県橿原市で4歳の女の子が暴行を受け死亡した事件の裁判員裁判で、傷害致死などの罪に問われていた母親の交際相手の男性に対し、奈良地裁は19日、「無罪」判決を言い渡しました。
■「暴行はしていない」一貫して無罪を主張
大阪府門真市の建設作業員・山下翔也さん(28)は、2023年6月、奈良県橿原市に住む交際相手の娘の田川星華ちゃん(当時4)の腹部を何らかの方法で圧迫するなどの暴行を加え死亡させた罪のほか、その約1か月前にも星華ちゃんに暴行を加え、全治2週間のけがを負わせた罪にも問われていました。
2月から始まった裁判で、山下さんは「暴行はしていません」と無罪を主張し、代理人も「傷害はもっと前に生じていた可能性があり、(交際相手である)母親が暴行した可能性も排除できない。内臓にできた傷は、疾病によってできた可能性もある」として、全面的に争う姿勢を示しました。
一方、検察側は「母親と交際を開始して以降、星華ちゃんを厳しく叱るようになった」「犯行前に『内臓破裂どのくらいの衝撃』とインターネットで検索していた」ことなどを挙げ、山下さんによる暴行により死亡したとして、懲役8年を求刑していました。
■母親の証言「信用性に疑問」暴行について「合理的な疑い」
奈良地裁は19日の判決で、「交際相手(女の子の母親)の証言内容には変遷が見られ、その信用性に疑問が残り、『被告と2人きりになっていた』という証言には前提を欠くことになる。当時の状況から自身が虐待をしていたことを疑われるのを恐れていたと伺わせる事情が認められ、疑惑を回避しようと供述する事情がないとは言えない」などとして、山下さんの暴行以外による可能性があると指摘。
事件1か月前のケガについても、星華ちゃん自身が「チャイルドシートにぶつけた」と話すなど、暴行による犯行とするには「合理的な疑いが残る」として、山下さんに「無罪」を言い渡しました。
閉廷後、山下さんは法廷の中で何度もお辞儀をして、法廷を去りました。無罪判決を受け、弁護人の幸田直樹弁護士は取材に応じ、「証拠を丁寧に判断していただき、単に疑わしいから罰するというのがダメだと判断いただいた。適切な判断だと思います」と述べました。
一方、奈良地検の大前裕之次席検事は、「判決内容を精査し、適切に対応する」とコメントしています。