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ロシアの“軍事侵攻”始まる…死傷者も報告 「我々は勝つ」ウクライナ大統領は国民に平静呼びかけ

2022年2月24日 20:34

24日、ウクライナに対し、ロシアが侵攻を始めました。ロシア側の攻撃は首都キエフにも及んでいて、これまでに少なくとも17人が死傷。ウクライナは非常事態宣言よりさらに厳しい「戒厳令」を発令し、国民に対し、落ち着いて行動するよう呼びかけています。

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ロシアが併合したクリミア半島で24日に撮影された映像には、道路をゆっくりと走って行く何台もの軍用車両が映っていました。そして、軍用車両は検問所のような場所を通過してきました。ウクライナは、クリミア半島からロシア軍が進軍する様子だとしています。

また、ウクライナ北東部に位置するハリコフで撮影された映像には、せん光が映っていました。

ウクライナ西部のリビウでは、ポーランドの国境へ向かう道は渋滞し、なかなか前に進みませんでした。避難をするためか、首都キエフなどウクライナ国内各所で大規模な車の渋滞が起きていました。

首都キエフでは、日本時間午後2時過ぎ、警報音のようなサイレンが何度も鳴り響きました。

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日本時間24日正午前、ロシアのプーチン大統領はウクライナ東部の親ロシア派勢力の実効支配地域「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」を含む「ドンバス地方」で軍事作戦を行うと表明しました。

ロシア プーチン大統領
「『ドネツク人民共和国』および『ルガンスク人民共和国』との相互合意に従って軍事作戦を決行する」

ウクライナ側の発表によると、首都・キエフや北東部のハリコフなどで攻撃を受けたということです。

ロシア国防省は「ウクライナの軍の対空防衛施設や飛行場を精密攻撃している。都市への攻撃ではなく民間人に脅威とはならない」としています。

しかし、ロイター通信によると、ウクライナはロシア側の攻撃で少なくとも8人が死亡、9人がケガをしたことを明らかにしているということです。

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ロシア軍はこれまでウクライナとの国境近くに最大19万人とみられる部隊を集結し、軍事演習などを行いウクライナへの圧力を強めてきました。

プーチン大統領は、軍事侵攻へと乗り出した理由について、次のように述べました。

ロシア プーチン大統領
「軍事作戦の目的は8年間、ウクライナ政権から虐待と大量虐殺にさらされている市民を守ることにある。多くのロシア国民を含む民間人に対して、犯罪を行った者たちを裁判にかけるつもりだ。ウクライナを占領する計画はない」

プーチン大統領は21日、親ロシア派勢力が実効支配するウクライナ東部のドネツク州・ルガンスク州の一部地域の独立を承認しました。

また23日には、ロシアのタス通信が「『ルガンスク』『ドネツク』の両地域が、『ウクライナ軍を撃退するため』としてロシアに軍事的支援を要請した」と伝えていました。

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新たな局面を迎えたウクライナ情勢。世界中からプーチン大統領に対する非難が噴出しています。

日本時間午前11時半から行われた国連安保理の緊急会合の終了後、国連のグテ-レス事務総長は「人道のため」に戦争をやめ、ロシア軍を撤退させるようプーチン大統領に訴えました。

国連 グテーレス事務総長
「私の国連での任期の中で最も悲しい瞬間です」

イギリスのジョンソン首相は、 「プーチン大統領はウクライナへの いわれのない攻撃により、流血と破壊の道を選択した」などと厳しく批判しました。

また、アメリカのバイデン大統領は、 「この攻撃がもたらす死と破壊はロシアだけに責任がある。世界はロシアの責任を追及するだろう」との声明を発表しました。

さらに、ウクライナのゼレンスキー大統領との電話会談で、「G7(主要7か国)のリーダーたちと会談し、アメリカと同盟国、およびパートナーは、ロシアに厳しい制裁を科す予定だ」と話したことを明かしました。

一方、中国は外務省報道官の会見で、次のように述べ、ロシアの軍事侵攻への批判を避けました。

中国 外務省報道官
「ウクライナ問題は非常に複雑な歴史的背景と経緯があり、今日のような局面に発展したのは様々な要因が作用した結果だ」

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そのウクライナではロシア軍の侵攻が始まる前の日本時間24日午前7時ごろ、ロシアが独立を一方的に承認した東部地域を除くウクライナ全土を対象に「非常事態宣言」を発令。ロシアのタス通信によると、23日、ロシアの外交団はウクライナから退避を開始しました。

また、ウクライナの議会や省庁のウェブサイトがサイバー攻撃を受けていました。

ウクライナ西部のリビウでは、先週から空気銃を使った市民の射撃訓練が行われてきました。23日に取材で訪れた学校では、地下を利用し放課後に射撃訓練が行われ、プーチン大統領が的になっていました。

訓練に参加した高校生
「(射撃の)必要がないことを願っていますが、事情がどうなっても備える必要があります」

その願いもむなしく、プーチン大統領は“軍事侵攻”へと乗り出しました。

一方のウクライナのゼレンスキー大統領は、国民へ動画メッセージを配信しました。

ウクライナ ゼレンスキー大統領
「我々は我が国全土で戒厳令を敷きました。きょうは皆さん全員が平静を保って、できれば自宅に待機してください。パニックを起こさないでください。我々は強くすべての準備ができています。我々は誰に対しても勝つでしょう。我々はウクライナ人なのですから」

非常事態宣言よりさらに厳しい「戒厳令」を発令し、国民に対し、落ち着いて行動するよう呼びかけました。

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