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【解説】10月から変わる≪パパ育休/パートも企業の年金に/75歳以上の一部で医療負担増≫

2022年10月1日 4:20
【解説】10月から変わる≪パパ育休/パートも企業の年金に/75歳以上の一部で医療負担増≫

さまざまな制度が変わる10月。男性の新たな育休制度や厚生年金の加入者適用拡大など、多様な働き方に対応した制度の変化もあれば、超高齢化が進む中、後期高齢者の一部では医療費の負担増も―。

■「産後パパ育休」の創設

男性が、柔軟に育児休業を取得しやすくなる「産後パパ育休」の制度が10月にスタートします。

「産後パパ育休」(出生時育児休業)とは男性が取得できる“産休”で、子どもが生まれた後8週間以内に、4週間まで取得でき、これとは別に通常の育児休業も取得できます。

これまでは、原則1か月前に申し出が必要で、分割取得もできませんでしたが、新たな「産後パパ育休」は、原則、休業の2週間前までの申し出でよく、2回に分けて取ることもできます。

2020年時点で、男性の育児休業の取得率は13%に留まっていますが、政府は、2025年までに30%まで引き上げることを目標としており、男性がより柔軟に育児休業を取りやすくする狙いがあります。

■パート・アルバイトでも企業の年金に加入

社会保険の適用拡大も、10月から始まります。

これまで規模の小さな事業所(企業やスーパーなど)では、パートやアルバイトなど短時間労働者は、その事業所の社員らが入っている「厚生年金」には加入できませんでしたが、10月からは、加入できる範囲が拡大されます。

厚生年金に加入できる新たな条件は、パートなどを除く従業員が100人を超える規模の企業や店舗など(これまでは500人超規模でした)で働いており、週の労働時間が20時間以上、月額賃金が8万8000円以上、雇用期間が2か月を超える見込みがある場合です。ただし、学生アルバイトは対象とはなりません。

この制度は、2年後には、従業員50人超規模の企業などにも拡大されます。

アルバイトやパート労働者が厚生年金に加入することで、「厚生年金保険料」を納める必要が生じ、負担を感じるかもしれませんが、実は企業側が保険料の半額を払ってくれていて、万が一、障害を負った場合に受け取れる年金額や、老後の年金額が増えます。

たとえば、月収8万8000円(年収106万円)の人が、厚生年金に20年間加入すると、老後の年金が月に9000円上乗せされる計算となります。

■75歳以上の一部の人で医療費負担増

10月からは、75歳以上の「後期高齢者」のうち、一定の収入がある人の医療費負担が増えます。

「後期高齢者」の場合、医療機関の窓口で支払う自己負担は、原則、かかった医療費の1割ですが、課税所得が28万円以上、かつ年金収入とその他の所得の合計が、単身世帯で200万円以上、複数世帯で320万円以上の場合は、窓口負担が2割に引き上げられます。

今回2割負担に変わる人を対象に、今年10月から2025年9月末までは、外来での負担増を1か月3000円までに抑える措置が講じられます。

物価高に加え、医療費負担増は厳しいとの声がありますが、実は「後期高齢者医療制度」は、税金や高齢者自身の保険料、自己負担のほかに、64歳以下の現役世代の保険料なども使って支えられています。

人数の多い「団塊の世代」が75歳以上になり、医療費が増加すると、これを支えるために若い世代の保険料をさらに引き上げる必要があります。

すると若者や子育て世帯の生活を圧迫することが心配され、検討の結果、高齢者でも一定の収入がある人には負担を分かち合ってもらうことになったということです。

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