女性は「所得200万円未満」が半数以上――結婚後の所得、男女で真逆 控除制度「201万円の壁」は“昭和の産物”
内閣府が14日に公表した「男女共同参画白書」では、働く女性にとって厳しい現実が浮かびました。既婚者は未婚者と比べて所得が低い傾向があり、所得控除のため仕事量を抑えている人もいます。昭和時代につくられた家族像や制度が、今なお生きています。
■結婚後に働く女性、収入の「現実」
有働由美子キャスター
「結婚後は共働きという世帯が断然多くなってきていますが、(男女共同参画白書では)働く女性に厳しいデータも明らかになりました」
「結婚後も働いている20~39歳の女性に聞いた理想と現実についてです。69.6%の人が、結婚しても収入は『結婚前と同じくらいか上回る』と期待していましたが、『理想通り』は52.1%にとどまりました」
■「所得500万円超」男性の傾向は?
小野高弘・日本テレビ解説委員
「同じく結婚した後に働く35~39歳の女性については、年間所得200万円未満の人は未婚女性では4人に1人ほどの28.8%ですが、結婚している人だと半数以上の55.5%に上りました」
「一方で、男性では年間所得500万円以上の人をみると既婚者が46.3%で、未婚は19.2%。男性では結婚している人の方が収入が多いという結果になりました」
有働キャスター
「男女で真逆、これが日本の現実ということですね」
小野委員
「背景には制度の問題がありそうです。いくつか壁がありますが、その1つが『201万円の壁』です。結婚した女性が一定以下の収入に抑えると夫の所得が控除を受けられます。そのため結婚後、仕事の量を調整する女性が1~2割いるということです」
有働キャスター
「仕事を抑えた方が税金が得になるというのは、おかしいですね」
小野委員
「こうした制度は、昭和の高度経済成長期以降にできたもので、調査にも関わった中央大学の山田昌弘教授によると、『夫が正社員、妻は専業主婦やパート主婦、若いうちに結婚し、離婚しないで老後は夫の年金で暮らす』という家族像がモデルになっています」
「ただ、今はこれに当てはまらない家庭も多いです。政府は今回の白書で『もはや昭和ではない』と明記して、幅広い分野で制度や政策を見直す必要があるとしています」
■「昭和の制度」どうすれば変わる?
有働キャスター
「長いこと『(制度を)変えなくては』と言われてきましたが、なぜここまで変わってこなかったのでしょうか?」
落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「家庭や家計もそうですが、この昭和スタイルの人たちがまだ現役だったころは急に変わるわけにはいきませんでした。ただ、今この方々のほとんどは年金生活者だというのも確かですし、この制度にこだわる人は少ないので、変えられるのではないかと思います」
有働キャスター
「変えたいと思う人が投票するなり、制度について声を上げていけば変わっていく…?」
落合さん
「こういう白書が出てきて、今の年金世代に関係ない控除に関しては、見直しが進むと思います」
有働キャスター
「結婚するとかしないとか、男とか女とか関係なく、これから1人1人が90代まで生きる時代のリアルな制度づくり。若い人たちもどんどん巻き込んで、一緒に考えていきたいと思います」
(6月14日『news zero』より)