【解説】“人生100年”変わる結婚・家族 20代「デート経験ゼロ」最多…調査結果も
政府は14日、今年の「男女共同参画白書」を決定しました。「人生100年時代における結婚と家族」というテーマのもと公表されたデータからは、結婚や家族のかたち、女性の人生が多様化していることが浮き彫りになりました。
「婚姻数が戦後最少」
「恋人やデートは?」
「離婚の可能性はどれくらい?」
以上の3つのポイントについて詳しく解説します。
厚生労働省の人口動態統計によりますと、コロナ禍だった去年は、婚姻件数が戦後最も少なくなりました。1970年には約100万件でしたが減少を続け、去年は約50万件と半数ほどになりました。一方で、離婚件数は、婚姻件数の約3分の1で推移しています。
結婚や家族のかたち、個人の生き方が変わっていることをデータ化し、実態に合った制度づくりのために「男女共同参画白書」はまとめられました。
2020年の調査では、30歳時点での未婚の割合は、女性が40.5%、男性が50.4%でした。こうしたデータについて、東京・表参道で街の人に聞きました。
──約半数が30歳で未婚
会社員(30代女性)
「意外ではないですね。もっと少ないと思っていました」
主婦(50代)
「自分たちの頃ではとても考えられない。今はそういう時代なのかなと」
70代女性
「息子(40代)は全然その気が(ない)。もう独身貴族です。車乗り回したり、バイク乗り回したり、そっちの方がいいみたいです」
「30歳で未婚はいまや普通」という意見が多かったです。
「配偶者・恋人がいるか」という問いについて、「未婚で配偶者も恋人もいない」と答えた20代の女性は51.4%、男性は65.8%でした。20代の半分以上は、結婚していなくて恋人はいないということです。「結婚はしていないけど恋人がいる」という人は、女性は27.3%、男性は19.1%でした。
少し踏み込んだデータもあります。
独身の男女が「これまでにデートした人数」について、女性も男性も「ゼロ」と答えた人が最も多く、独身の20代女性では約25%、20代男性は約40%がデートの経験がないということです。30代でも、女性は約20%、男性は約35%の人たちにデート経験がありませんでした。
先ほどと同じく、東京・表参道で街の人に聞きました。
──20代の“デート経験ゼロ”
販売員(40代女性) 販売員(20代女性)
「多いね~意外です」
会社員(40代男性)
「コロナ禍は、それは加速させたところもあるかもしれないですね。個人で過ごせる時間の使い方をみんなで覚えていった感じしますので」
学生(20代女性)
「別に恋愛だけが幸せじゃないし、それでもいい。特段、問題とも思わなかったです」
担当者の説明では、「あくまでデートの定義はなく、その人がデートだと思うか、という主観に基づく調査」だということです。
結婚願望についても聞いています。
結婚は「できればしたくない」、または、「したくない」と答えた人は、女性は20代で14.0%、30代で25.4%、男性は20代で19.3%、30代で26.5%でした。
離婚についての調査では、50~60代でみると、女性の約20%は離婚経験がありました。さらに、全ての世代の既婚者に、「今後、離婚する可能性があるか」を尋ねたところ、将来「離婚の可能性がある」と答えたのは男女ともに約15%でした。このように答えた年代は40代が最も多く、約20%が「離婚の可能性がある」ということです。
総務省が世帯の形態別に年間所得を調べたデータでは、働いている1人暮らしの男女を比べると、世帯所得が300万円未満なのは、女性が約5割なのに対して、男性が約3割です。女性の人生が多様化しても、経済的に男女の差があることがわかります。
調査に関わった中央大学の家族社会学者、山田昌弘教授に話を伺いました。
現行の国の制度は「若いうちに結婚し、夫が正社員、妻は専業主婦やパート主婦、離婚しないで老後は夫の年金で暮らす」という家族像がモデルになっているということです。
しかし、現状では、こうしたモデルに該当する人は徐々に減っています。背景には「バブル崩壊以降、非正規社員が増えたため」と山田教授は指摘しています。そして、「このような現状に、国の制度が追いついていないのはまずい」と指摘した上で「一生にわたって自立できるような生活基盤を築ける社会にしていくことが求められている」と話していました。
◇
いまだに国の制度の基準が戦後の「昭和時代」のままですが、実態とはかなり乖離(かいり)していることが、今回の調査で浮き彫りとなりました。様々なライフスタイル、価値観を選択する人たちがいます。そうした人たちに対応した国の制度設計や政策が、急務で求められています。
(2022年6月14日午後4時半ごろ放送 news every. 「知りたいッ!」より)