ひきこもり「76人に1人」――江戸川区が実態調査、最多の“相談相手”は? 経験者の家族「親失格では」…自ら責めた過去
全国で115万人以上いると推計されるひきこもり。経験者の家族は、本人の気持ちを理解する大切さを訴えます。一方、江戸川区は異例規模の調査結果を公表。不登校の子どもらを合わせると、76人に1人がひきこもりという計算になりました。その実態とは?
■長男は約4年…3人の息子が経験者
13日、東京・豊島区のNPO法人「楽の会リーラ」を訪ねました。ひきこもりに悩む人やその家族が、ここにあるカフェを訪れます。
相談に乗っている「ひきこもりサポーター」の渡辺さん(仮名、60)は「ひきこもりの当事者もいらっしゃいますし、誰かとお話ししたい(方)とか(もいます)」と言います。
渡辺さん
「外に出るのがとても怖い。そのことによって孤立化してしまって、非常に一人ぼっちでさみしいという声も聞きますし、当時者や経験者の方のお話を聞きたいという親御さんもいます」
渡辺さんの家族も、ひきこもり経験者です。長男(29)、二男(26)、三男(26)の3人の息子が学生時代に不登校などで自宅でひきこもり、長男は約4年間続きました。
渡辺さん
「(長男は)部屋から全く出てこなくて、声をかけても何の返事もない時期も(ありました)。『どうしてひきこもったんだ』ということを聞くことすら、その当時はできなかったんですね」
「親失格ではないかと自分を責める気持ちが非常に強くて、食事も食べられなかったことを覚えています」
■江戸川区が独自調査…8000人近く
内閣府による2015年度(15~39歳)と2018年度(40~64歳)の調査結果を合算(重複する年齢あり)すると、ひきこもりは、全国に115万人以上いると推計されています。
東京・江戸川区は、25万人近い区民(15歳以上)を対象とした異例規模の「ひきこもり実態調査」の結果を公表しました。区がひきこもりと定義する「仕事や学校に行かず、家族以外の人との交流をほとんどしない人」が7919人いることが明らかになりました。
調査前から区が把握している不登校の子どもら(1177人)を合わせると9096人。区内の76人の1人がひきこもりという計算になりました。
■実態は…年齢別の最多は「40代」
区の調査は2021年度、15歳以上の24万6847人を対象に実施されました(有効回答率57.17%)。その実態はどのようなものでしょうか。
調査で判明した7919人の内訳を年齢別に見ると、40代が1196人で17.1%と最も多く、50代、30代と続きました。男女別では女性が51.4%と男性よりも多いことが分かりました。
相談相手については25%の人が「いない」と答える一方で、一番多かったのは「配偶者やパートナー」で全体の40%に上りました。結婚しているかどうかを問わず、ひきこもりとなる可能性があることが分かります。
渡辺さんは「苦しいのは本人であることをちゃんと気がついて、その気持ちを理解して声がけする。一緒に悩んで一緒に考えていく。信頼関係を築くことが一番じゃないかなって思っています」と話します。
(6月13日『news zero』より)