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プーチン大統領を支持「83%」のワケ……専門家「8年前の熱狂と酷似」 プロパガンダ奏功、“愛国心”で国民結束か

2022年4月5日 9:25
プーチン大統領を支持「83%」のワケ……専門家「8年前の熱狂と酷似」 プロパガンダ奏功、“愛国心”で国民結束か

ウクライナ侵攻で、ロシア軍は東部地域に集中するとみられますが、戦果の最低ラインをどこに設けているのでしょうか。プーチン大統領の健康不安説の報道や、8割を超える高い支持率の背景とは? ロシア政治に詳しい慶応義塾大学・廣瀬陽子教授と考えます。

■東部のロシア「支配」どこまで?

廣瀬教授
「ロシア側の最低ラインは、クリミアを死守することと、今回の戦争の発端である東部2州を制圧すること、その独立をウクライナが認めることです」

有働由美子キャスター
「東部2州は州全体ですか?」

廣瀬教授
「全体です。今までは4割ほどしか制圧できておらず、今回の戦闘の中で、現在ルハンシク(ルガンスク)は約9割、ドネツクは約5~6割を制圧している状況ですが、全州を制圧することが最低ラインになると思います」

■「健康不安説」情報の背景は?

有働キャスター
「一方で、プーチン大統領が、甲状腺がんが専門の医師の診察を受けているという情報が急に出てきました。この背景はどう見たらよいでしょうか?」

廣瀬教授
「もともと、病気があるということはかなり噂ベースではあり、パーキンソン病やがんだと私も聞いたことがありました。ただ、ここにきてこのような情報がかなり詳細に出てきたのは、政権内の不協和音の一部として政権の誰かがリークした可能性もあると思います」

有働キャスター
「政権内部の乱れで、いわゆるクーデターや、プーチン大統領を引き下ろすような動きの一端なのでしょうか?」

廣瀬教授
「そこまではいかないと思います。クーデターとなると、組織レベルでの連帯が必要になります。FSB(連邦保安局)などで数人がプーチン大統領への不満を高めていると言われていますが、数人レベルの動きではクーデターは成功しがたいです」

「まずFSBなどが端緒となってクーデターを起こし、さらに軍と警察がその動きをサポートする流れにならないと、なかなかクーデターの形にはいかないと思います」

■「制裁」効果で…反プーチン派も?

有働キャスター
「独立系世論調査機関『レバダセンター』の3月下旬の調査によると、プーチン大統領の国内での支持率は83%です。国全体としては支持は揺るがないと見てよいのでしょうか?」

廣瀬教授
「まだ、プーチン大統領のプロパガンダがうまくいっていると言えますが、今後この状況がいつまで続くかは、半信半疑の部分があります。(今後)半年以降、西側(諸国)が科している制裁の影響がいよいよ本格的に出てくるはずです」

「そうすると、つらい生活に耐えきれなくなった国民の中から、どんどん反プーチン派になっていく人も増えていく可能性が高いと思います」

有働キャスター
「侵攻から1か月で、情報もある程度はロシアの中に入っているとは思います。なぜ8割の方々が支持するということになっているのでしょうか?」

廣瀬教授
「今は愛国心で国民が固まっている状態で、それは2014年のクリミア併合の時の熱狂と非常に似ている部分があります」

有働キャスター
「それと同じようにロシア国民は思っている?」

廣瀬教授
「今の段階ではそう思っていると思います。愛国心がプーチン大統領を駆り立てて戦闘に出て行って、それを国民が支えなければいけないという心情に至っているようです」

有働キャスター
「経済制裁が効いてきた時に国民がどう受け取るかですね」

(4月4日『news zero』より)

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