ウクライナの絵本作家が語る“軍事侵攻の影響” 日本に住む人へ伝えたいこと「ずっと注目を失わないで」
ロシアによる軍事侵攻を受けるウクライナ。そこで絵本作家として活動する夫婦、ロマナ・ロマニーシンさん(37)とアンドリー・レシヴさん(38)。
2人が2014年のロシアによるクリミア侵攻を体験し“戦争”をテーマに描いた絵本『戦争が町にやってくる』(ブロンズ新社)が先月3日に翻訳・出版され、発行部数1万2000部(6月27日現在)を超えるなど注目されています。
2人に今の状況をリモートインタビューし、“日本に住む人に伝えたいこと”を伺いました。
■軍事侵攻から4か月以上が経過…今も「眠れない日々が続いている」
――現在の状況を教えていただけますか?
アンドリー:私たちは今、ウクライナ西部のリビウという街にいます。前線から800kmほどの場所ですが、現在ウクライナに“安全な場所”などありません。なぜなら全ての街・村が、ロシアのミサイルの標的となっているからです。1日に数回サイレンが鳴ります。サイレンが無い時もあります。しかし、ロシアのミサイルはこの国の全ての場所において危険です。
――軍事侵攻でどんな影響を受けていますか?
ロマナ:侵攻の影響を全てのウクライナ人が受けています。眠れない日々が続いていますし、ストレスもかかります。ただ、仕事に戻るようなタイミングにきていて、軍のための資金集めのボランティアをするなど、すごく濃い日々を過ごしています。
■日本に住む人に伝えたいこと“ずっと注目を失わないで”
――日本に住む人に今「軍事侵攻について伝えたいこと」「考えてほしいこと」はありますか?
ロマナ:まずは日本の人々の支援に感謝します。軍事侵攻の初日から支援してくれたことを知っています。これからも(軍事侵攻について)ずっと注目を失わないでほしいです。これからの未来のためにも、この“戦争犯罪” “邪悪なこと”がしっかりと罰を受けるべきであり、罰を受けないとまた繰り返されてしまいます。
アンドリー:戦争に関して、決して語るのやめてほしくないです。常に注意を払っていてほしいし、この戦争は決して繰り返してはならないものだと思います。
■“戦争に関して絵本を…” 意欲語るも「見直す時間が必要」
――次はどんな絵本を描きたいと思っていますか?
アンドリー:戦争が終わったら、この戦争で起こっていることを見直していきたいです。戦争に関して、また新たな絵本を書くかもしれません。
ロマナ:今は世界で断片的なものしか見えていません。私たちは日々その日を暮らしており、この戦争が私たちの国だけでなく、世界全体にもたらす影響を大局的に見ることができません。見直すためには時間をかけなくてはなりません。非常に力強く、意義のある絵本を作ることができればと思っています。