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島田珠代 54歳 『いいとも』での挫折、山田花子の登場… “負けた経験”が人生の糧に

2024年10月22日 22:40
島田珠代 54歳 『いいとも』での挫折、山田花子の登場… “負けた経験”が人生の糧に
島田珠代「どんどん負けてください」と語るワケ
吉本新喜劇で長年、看板俳優として活躍する島田珠代さん(54)にインタビュー。笑いを届ける明るい姿が印象的ですが、自身初のエッセーでは芸人として挫折した経験など、普段の舞台や番組出演では見せない一面を明かしています。芸歴36年の珠代さんに、その経験から学んだことを伺いました。

■芸人と普段の自分 今は“一緒にしよう”と

――芸人のときの自分と普段の自分は違いますか?

芸人さんやタレントさんって、私は昭和の人間なんで“雲の上の人”。私生活なんて全然見られないみたいな。だけど今、インターネットで見られたり、SNSで伝えたりできる時代で、みんな平等の時代。だから、芸人である時の島田珠代と、普通である時の島田珠代は一緒にしようと思いました。

ただ、(芸を)見せる腕とか技は、見に来てくれている方に満足してもらわないといけないので、舞台の上に立っている時は絶対にいいものを見せよう。(観客が)満足して、“ストレス発散になったな”って帰っていってもらえるように絶対しようと思うので、そこの腕はちゃんと磨いておこうって思うんですけど、気持ちとしては(普段の自分も)一緒です。

■芸人としての挫折「もう無理やん、いる場所ないやん」

――昔は、芸人と普段の自分を分けていましたか?

そうですね、ありましたね。その時は、変なプライドが出てくるじゃないですか。変なプライドが出てくると、仕事失敗した時にガッて(気持ちが)落ちる率も高い。

新喜劇で“うわぁすごい、変な三枚目の女の子が出てきた”って、わぁってなって。東京の『笑っていいとも!』とかに出してもらったりしたんですけど、全然力がない。平場の力、おしゃべりの力なんて一切なくって。新喜劇のお芝居の中で、起爆剤としてちょっと笑わせてサッってはけていく。それで皆の心に残って、“うわぁ、あの子すごい”ってなって。それで『いいとも』とかに出してもらうわけなんですけど、ちゃんとした(笑いの)基本の力がないものだから、“一旦お帰りください”ってなるじゃないですか。

その時(気分が)落ちました。落ちて帰って行ったら、山田花子ちゃんっていう、天然。私なんか“養殖、養殖”って言われてるんですけど、花ちゃんはもう天然なんですよ。花ちゃんが“へぇ~”って言っただけで笑うし、いるだけで面白い。私なんかもう作り上げて作り上げて動いて…なんですけど、彼女は何しても面白い、右向いても左向いても。(気分が)落ちて新喜劇に戻った時に花ちゃんが入ってきて、“うわ、もう私どうしよう”ってなったんです。“無理やん、いる場所ないやん”ってなって。

■負けたときに気づいた“マイナスにする”大切さ

でも、 方法はあると。“マイナスにしてみよう”って。台本でも普通のセリフを面白おかしく変えていたんですね。だけど、ちゃんと演技してみようとか、マイナスの計算。いつもそこにプラスして自分で付け加えてたけど、それを素直にそのままやってみようとか、ちょっと自分を抑えてみようとか、そういうことが思えた。人間って負けないと次に行けないから、“どんどん負けてください”っていうのは言いたいなって。

皆さん今、どんなお仕事でもそうですけど、負けても本来絶対やりたいところにたどり着けるので。あの時負けなかったら“バラエティー1個だけ”っていう選択肢しかなかったんですけど、新喜劇っていうお芝居、世界で一番私はすごい劇団だと思っているんですけど、その劇団っていうものが心のお守りにありながら、本来高校生ぐらいからやりたかったことがやれていて。

これからももっと負けると思いますけど、負けるからもっと上に上がれる。そういうことも(エッセーで)伝えたかったっていうのはあります。


【島田珠代プロフィル】
1970年5月10日生まれ、大阪府出身。1988年に吉本興業入りし、芸歴36年。“パンティーテックス”などの個性的なギャグで知られ、吉本新喜劇の看板俳優として活躍。2024年10月4日には、幼少期の思い出や芸人としての苦悩、母親としての葛藤などをつづった初のエッセー『悲しみは笑い飛ばせ! 島田珠代の幸福論』を発売。