俳優の佐藤隆太（３１）、女優の麻生久美子（３２）、子役の土師野（はしの）隆之介（８）、女優の倍賞美津子（６４）が９日、都内で映画「ロック　わんこの島」（７月２３日公開）の完成披露会見に出席した。

　２０００年８月、伊豆諸島の三宅島の大噴火により、飼い主の家族と離ればなれになってしまった犬のロックが、後に家族と奇跡的な再会を果たし、復興のシンボルとして島民に愛されたエピソードを映画化。少年と１匹の犬の目を通して、心と心のつながり、家族のあり方、故郷への思い、生きていく力を描いている。

　佐藤は民宿を営む野山一家の父ちゃん・松男、麻生は母ちゃん・貴子、土師野が息子・芯、倍賞がばあちゃん・房子を演じた。

　ばか正直で熱くて優しい父を演じた佐藤は、家族のきずなを描いた作品が東日本大震災後に公開されることに感慨ひとしお。「静かに、でも力強くちゃんと前を向いて進んでいる家族像が描ききれたと思う。皆さんに見ていただいて、少しでも力になればなあと思う」と胸を張った。
　１歳の娘の父の顔をのぞかせ、「あらためて自分の家族との時間を大切にしたいなと思った」とプライベートに重ねた。

　撮影は、昨年１０月から４０日間、三宅島で行われた。悪天候などで撮影がうまく進まないことも多かったが、佐藤は「撮影できなかった時も（共演者と）たくさんコミュニケーションを取れたので、我ながら温かい家族になったと思う」と充実の表情。
　深夜に倍賞に誘われて部屋でビールを飲んだエピソードも明かし、「麻生さん（の部屋を倍賞さんが）にノックしたら起きなかったそうで、倍賞さんとサシで飲む形になってしまった」と苦笑い。「『せりふ、言いにくいところない？』とか実際のお母さんのようにいろいろ聞いてくださって、ぐっと距離が近づいて家族になれた」と振り返った。

　倍賞と飲む機会を逃してしまった麻生は「惜しいことをしました。悔やまれます」とこれまた苦笑い。強くて元気な母を演じ、「私はまだ子どもがいないけれど、温かいし、楽しいし、こうなりたいなという家族だった」としみじみ語った。