地下鉄駅に大型ステンドグラス 監修した清川あさみが明かすこだわり
■“世界中の都市のパーツ”を再解釈して表現
カラフルで立体的にも見える今回の作品『Our New World(Toranomon)』。縦約2.7メートル、横約6.0メートルの大型ステンドグラスで、清川さんがこれまで訪れたさまざまな都市の風景をコラージュし、新たな都市として表現した作品です。
オファーを受けた際、清川さんは「地下鉄って少し暗いイメージがある。人が行き交う場所なのでちょっと動いたりとか光を放ったりができないかなとずっと思っていた」と振り返りました。
そして「今はいろんな情報が飛び交ってすごい速さで世の中が動いている。その中で自分が好き、すてきだなと思っている世界中の都市のいろんな部分のパーツを少しずつ解釈し直して、全く時代とか場所とか関係ない1枚の世界観をまず作っている」と着想を明かしました。
実際、作品のもととなった原画には、ビルや東京タワーのような建物も描かれています。
清川さんは「時代や場所が関係なく見られるところにこだわりを入れました。その速い(世の中の)スピードの中で見るからすごくいいものってあるなと思うんです」と作品に込めた思いを語りました。
■3351ものガラスピースを使用 工房の職人が8か月かけて制作
初挑戦だったというステンドグラスについて清川さんは「ガラス自体は初めてで、たくさん調べたんですけど、なんかこう、もっとこうしたら面白いのにっていうのが心の中にあったりして」と当時の心境を明かしました。
そして2022年11月、清川さんの原画をもとに静岡県の工房で制作がスタート。3351ものガラスピースを使い、職人たちが約8か月かけて作業を進めたといいます。
職人との共同作業について清川さんは「(自分のイメージを)実際、提案してもそれに乗っかってくれる方ってなかなかいないですけど、工房の皆さんがすごく合わせてくださる。自分だけでは作れない世界なので」と感謝を述べました。
■歩くたびに見え方が変わるアート 清川さん「動きながら見てほしい」
工房での制作中には新たなアイデアも生まれました。作品の表面に凹凸のあるガラスを重ねることで、角度によって見え方が変わるというものです。
清川さんは「駅なので、ものすごくたくさんの人が始まりもその1日の終わりも、そこを通る可能性があるし、いろんな世代が来る。1枚の世界観ではなくて、毎日発見できるような世界にしたい。(自分が)動くことで絵も動いていくし、その人の1日が始まる、気持ちが動くのと同じように、アートも動いていて変化していく」と、その意図を説明しました。
そして作品について「歩いているときに見てほしい。歩きながら見てほしいっていうのが、私の中ではポイントです。普通止まって見るのがアートじゃないですか。動きながら見てほしい」とオススメの見方を明かしました。
『Our New World (Toranomon)』は、東京メトロ・虎ノ門ヒルズ駅の地下2階改札内コンコースに常設されています。