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KABA.ちゃん 性別適合手術を受け戸籍上も女性に 常に貫いてきた“自分らしい生き方”とは

2024年2月25日 16:20
KABA.ちゃん 性別適合手術を受け戸籍上も女性に 常に貫いてきた“自分らしい生き方”とは
KABA.ちゃんが語る“自分らしい生き方”とは
1996年、小室哲哉さんがプロデュースする音楽グループ・dosの“男性メンバー”としてデビューし、2002年にカミングアウトしてからは、いわゆる“オネエタレント”と呼ばれブレイクしたKABA.ちゃん。2016年には性別適合手術を行い、戸籍上も女性に。名前も永次から一華になりました。

デビューから28年。社会の価値観が変化する中、貫いた“自分らしい生き方”とは――。日本テレビの森圭介アナウンサーが聞きました。

■「小さい頃から女の子だと思っていた」

森アナ:(セクシュアリティーに関する)もやもやができ始めたのは、いつくらいだったんですか?

KABA.ちゃん:小さい頃から私女の子だと思っていた時代があるんです。物心ついて(小学校)高学年くらいまでは、実を言うと思っていて。体も同じところから成長とともに男性と女性に分かれていくものだと。

森アナ:生まれ持って別のものではないと?

KABA.ちゃん:はい。「私だけちょっと成長が遅れているんだ」とかそういう感じで思っていたんです。

■デビュー時は“男性メンバー”として売り出される

友達も女の子が多く、ピンク・レディーに憧れていたというKABA.ちゃん。念願だった芸能界に入ったのは1996年、27歳の時です。小室哲哉さんがプロデュースする音楽グループ・dosの“男性メンバー”としてデビューしました。

さらに、振付師としての才能も発揮。安室奈美恵さんやSMAPの『世界に一つだけの花』など、数々のヒット曲の振り付けを担当しました。

森アナ:その頃のKABA.ちゃんを振り返ると?

KABA.ちゃん:デビューした頃は、周りからそういうの(セクシュアリティー)を隠すようにって言われたんです。理由としては女性のファンの方も応援してくれているので、そこは伏せておいてほしいっていう周りの判断。(芸能界は)憧れていた世界だから隠せると思っていたんです。苦じゃないというか。やりたい夢の方をとった感じ。

■カミングアウト後は“自分らしさ”を表現「やっと言えた」

そして2002年、テレビ番組で恋愛対象が男性であることをカミングアウトします。

KABA.ちゃん:ほっとしました。「やっと言えた~」みたいな。私は言いたい派だったんです。というのもウソをついて生きているのが気持ち悪くて。

森アナ:カミングアウトのあとは自分を出して?

KABA.ちゃん:そうですそうです。求められることもあるから、そこに少し過剰に反応してみたりとかはありました。でも自分の生きやすいように生きていたのはあの時代かな。

森アナ:あれから20年近くたっていろいろな価値観も変わってきましたけど、それこそ“オネエ”とか“おかま”とか当時は当たり前のように言われていましたよね。

KABA.ちゃん:なんかね、制限なかったというか。私はですけど、笑ってもらえることで私はそこに存在価値があるのかなって思っていたんです。だからそれで自分でも「おかまよ」とか(言っていました)。

■順風満帆な芸能生活 プライベートでは…

KABA.ちゃん:仕事のKABA.ちゃんっていうものに関しては全然問題はなかったんですけど、逆に恋愛しづらくなりました。やっぱりどうしてもバラエティーで見るKABA.ちゃんっていうキャラクターが強すぎるから、イコール恋愛に結びつかない。

森アナ:嫌な気持ちしたなって思い出はありますか?

KABA.ちゃん:恋愛して告白するじゃないですか。すると「俺はゲイじゃないから」とか「俺はそっちじゃないから」って言われるのがつらくて。私はそういう意味で好きになったわけじゃない。やっぱり「女性として見てほしい」、「女性として扱ってほしい」みたいな思いがずっとあって。

■2016年に性別適合手術 戸籍も女性に

森アナ:どうしてそのタイミングで決断をしようと?

KABA.ちゃん:姉が乳がんになって。その時姉に会いに行ったら、当時まだ永次って名前だったんだけど「永次も本当後悔しないように生きてね」と言われた言葉がすごく重くて。「後悔しない人生って何だろう」って考えるようになったんです。ふと恋愛のことがよぎって、「そうだ、私恋愛になるといつも女性として見てください、女性として扱ってくださいって押しつけていた」、元をたどると「小さい頃から私は女の子だと思っていたな」って。男性から女性になるっていう、人生をまるっきり真逆に振り切るわけじゃないですか。そこの不安もあったんですけど。

森アナ:ご自身の恋愛のこと、お姉さんの言葉、そういったものが複合的にKABA.ちゃんの背中を押したんですね。

■感じた時代の変化「コンプライアンス的にちょっとアウトなんで」

不安を抱えながらも固めた決意。性別適合手術を受けるまでには、約6年かかりました。戸籍も変更し、法律上も女性に。一華という名前は両親とお姉さんが考えてくれたといいます。しかしこの頃ーー。

KABA.ちゃん:世の中的にこういう(セクシュアリティーに関する)ことに触れると「コンプライアンス的にちょっとアウトなんで」って言われ始めていた時期。

森アナ:7~8年前?

KABA.ちゃん:そうですそうです。私が女性になったことで性的なことに触れるのがタブーな感じになりつつあったというか。そうすると私も今まで決まっていた仕事が流れたりとか、実際にも制作をしている方たちから「やっぱバラエティーじゃいじりにくいんだよね」って直接言われたこともあるし。「え、いじらないとテレビには出られないの?」みたいな。

森アナ:いじるって何なんでしょうね。

KABA.ちゃん:「いじらなくて成立しません?」って、私は女性になった人間からすると思うんですけど。このままだとらちが明かないし、何か自分で行動にうつさないと、と思って。

■KABA.ちゃんが思う“自分らしさ”とは

自分にできることを模索する中、たどり着いたのが、自身の経験を語る講演会です。2月に開催されたふじみ野市での講演には、約300人が集まりました。

森アナ:時代変わったなって思いますか?

KABA.ちゃん:はい。小さい子たちに「私はこういう人間で、男性から女性に変わった」って一通り話したことがあって。今までだったら「コソコソ…」とかあるかなと思ったんだけど、中には「かっこいいじゃないですか」って言ってくれる(子がいた)。小学生とか中学生くらいの子たちです。「別にそういう人っていてもよくないですか」って。昔だったらこういう意見じゃなかったかもって。そこが自然と受け入れられる世代になってきている。いろいろな形があるんですけど、発信していかなきゃいけないんだなって逆に思いました。そうすることが「そういった(性的マイノリティーの)人たちがいても、全然おかしいことじゃないんだよね」って思ってくれるきっかけの一つになるのかなって、私はその時に思いました。

森アナ:今日お話を聞いて、KABA.ちゃんの生き方自体に世の中が追いついてきた、そんな20年だった気もする。

KABA.ちゃん:カツラ時代はちょっと早すぎちゃって(笑)。時代よりも先に行っちゃうんです。だから「みんながついてこられない」って言われたんですけど、でも私みんなのこと考えて生きてなかったです。自分が自分らしく生きたいと思ってただ生きているだけなので。

森アナ:KABA.ちゃんにとって、自分らしさって何ですか?

KABA.ちゃん:私の自分らしさか…やっぱり後悔しない生き方を選んでいることなのかな。自分に正直とか、そういった言葉しか当てはまらないかな。それには山あり谷ありなんですけど、それでも自分を信じて、自分のやりたいこと、自分が願っていることに向かって歩んでいっているので、それが私の自分らしさなのかな。