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六代目神田伯山「緊張しなかった」襲名初日

2020年2月12日 23:48
六代目神田伯山「緊張しなかった」襲名初日

「チケットの取れない講談師」として人気の神田松之丞改め六代目神田伯山(36)が11日、東京・新宿末広亭で、真打ち昇進襲名披露興行の初日に臨んだ。

演芸界としては前代未聞の興行で、昼夜入れ替えなしの通常と違い昼席・夜席で客を入れ替え、入場料金も寄席での披露興行史上最高額の3500円。380人分(2日以降は450人)の整理券を獲得するために前日の午前3時には22人がすでに並ぶという徹夜組まで現れた。

周囲の盛り上がりと裏腹に伯山は「びっくりするくらい緊張しなかったですね」と平常心。周囲の盛り上がりに関しては「祭りに参加したい、そういうエンターテインメントみたいな感じになっている。いいことだと思います。こういう高揚感のある10日間(=新宿末広亭での興行)になればいいと思います」と期待した。

初日の読み物は、得意ネタの「中村仲蔵」。逆境を跳ね返し名人に上り詰める歌舞伎の名優の若い頃の出来事を題材にしたもので、「自分の気持ちが投影しやすいかな。仲蔵のせりふの中で(気持ちを)伝えることができたらいちばん野暮じゃなくていいかなと思って選びました」と明かした。

師匠である人間国宝の神田松鯉(77)は口上で「この人には時代を改革する力があるんじゃないか。時代を作り出していける覇気と努力をしている」と、弟子の成長に目を細めた。

伯山が所属する落語芸術協会会長で落語家の春風亭昇太(60)は終演後の会見で「お客様を呼べる真打ちというのがいちばんなんです」と超満員の観客が証明する伯山人気に脱帽。「落語の世界も負けずに頑張っていきます。相乗効果でうまくいけばいいなと考えています」と伝えた。