漫画家・井上雄彦&田村由美 芸術選奨文部科学大臣賞・メディア芸術部門を受賞
■メディア芸術部門大臣賞 贈賞理由
【井上雄彦さん 贈賞理由】
『THE FIRST SLAM DUNK』は映像化されていなかった原作のクライマックスを、原作者の井上雄彦氏自らが監督して映画化した。映画の大半は3DCGが用いられたが、氏自身が大量の絵を描き下ろし指示を出すことで、氏のビジョンが見事に映像として定着された。これはまごう方なき“アニメーション映画監督”の仕事である。国内外での大ヒットも、この仕事あっての達成と言える。また本作で新たに描かれた家族のドラマは、原作連載時から現在に至る間における、氏の作家的な深まりを感じさせるものでもあった。
【田村由美さん 贈賞理由】
少女漫画界で長期にわたり第一線を走り続ける田村由美氏。文明崩壊後の日本を描く冒険譚(ぼうけんだん)『BASARA』や、SFサバイバル『7SEEDS』、そして2022~2023年、ドラマ・映画化もされ大ヒットした『ミステリと言う勿(なか)れ』などジャンルを問わず幾つもの名作を生み出してファンを虜(とりこ)にしてきた、日本の漫画界を代表する作家である。魅力あふれるキャラクターが繰り広げる重厚かつ壮大なストーリーを次々と生み出してきた氏は、2023年でデビュー40周年を迎えた。40年もの長期にわたって第一線で活躍し、常に新境地を開拓していくその手腕と功績に芸術選奨をもって敬意を表したい。