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“完璧すぎる”バービーは女の子の憧れなのか? 固定観念を覆した映画で伝えたいメッセージ

2023年8月22日 22:40
“完璧すぎる”バービーは女の子の憧れなのか? 固定観念を覆した映画で伝えたいメッセージ
グレタ・ガーウィグ監督
ファッションドール・バービーを初めて実写化した映画『バービー』。公開からわずか17日で全世界興行収入10億ドルを突破、さらに全世界における興行収入ランキングも、今年公開された映画の中で2位にランクインしています。(22日時点・Box Office Mojo調べ)

“完璧すぎる”ことで批判されることもあったバービー人形。なぜ映画が世界で支持されているのか──。監督が映画を通して伝えたいメッセージを取材しました。

監督・脚本を務めたのは、これまで『レディ・バード』や『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』などで高い評価を受けてきた、グレタ・ガーウィグ監督です。

グレタ監督は記録について「世界中の人々に届いたことはすばらしいことです」と喜びを明かし「本作を制作するにあたり私がゴーサインをもらえたのは、先駆者である女性監督たちが(興行的に)成功した映画を制作したから。『ワンダーウーマン』のパティ・ジェンキンス監督などが先駆者となってくれました。道を切り開いてくれたからこそ、今の自分があるのだと自覚していますし、本作の成功により、大作映画の制作を志す女性たちが、よりやりやすくなることを願います」とコメントしました。

■“完璧すぎる”体形に批判された過去もある『バービー人形』

1959年にデビューしたバービー人形。生みの親である、ルース・ハンドラーさんは、娘のおもちゃの選択肢が、子供の世話をする人形などに限られていることを知り、“女の子だって何にでもなれる”と伝えようと、選択肢を与えられる人形を制作したといいます。1965年には、人類が月面に着陸するよりも前に宇宙飛行士のバービーを発表し、その後も、“女の子には無理”とされてきた野球選手や消防士など200以上の職業を通し、『You Can Be Anything(何にだってなれる)』を発信してきました。

様々な職業でキャリアを確立し、女の子たちの憧れとなった一方、細い体に大きな目をした完璧な姿のバービーは、非現実的だとして批判された過去もありました。グレタ監督は映画化にあたり「バービーを複雑なアイコンとして見ることが重要だと思いました」とし「バービーは時には文化の先を行ったり、遅れたりしています。さらに、非現実的な体形の持ち主でもあります。完璧であるようなふりをするのではなく、すべてを許容する作品を作りたかった」と明かしました。

映画では、すべてが完璧で夢のような毎日が続くバービーランドで暮らすバービーが、太もものセルライトを気にし、どんな手を使ってでも完璧であろうとする場面も。しかし、これまで自分を縛り付けていた固定観念や生きづらさが言語化されることで、最後には“本当に大切なこと”に気付いていきます。

映画を通して伝えたかったメッセ―ジを聞くと「“ありのままの自分でいい”、そして“今のままの自分で十分である”ということです。何かの外見や在り方をまねる必要はないし、ありのままの自分でいるだけで価値があるのです。バービーは、特に女性にとっていろんな感情を抱かせる存在であり、多くの女性や男性が、常に自分を比較しているということを象徴していると思います。現代は人形のみならずソーシャルメディアなど、劣等感を刺激し、自分が不十分だと感じさせるものにあふれています。私は、ありのままの自分で十分であり、価値のある人間になるために他の何かを目指す必要などないのだ、と観客が感じられるような映画を作りたかったのです」と語りました。