元SDN48・近藤さや香 握手会でファンから学んだ“人との距離の縮め方” 褒め方にコツがあった
そんな近藤さんが、初のエッセー『しあわせ護心術』(ワニブックス刊)を発表。アイドル時代にファンから学んだという、働く人たちにも応用できるコミュニケーション術についてお聞きしました。
■「やりたいことへのステップアップに」という言葉にひかれ
――近藤さんがアイドルになろうと思ったきっかけは?
SDN48という、AKB48のお姉さんのグループに所属をしていました。1期生の立ち上げの段階で。このグループの特徴っていうのが、社会人経験がある人もプロアマ問わず、“20歳以上であること”っていうことが条件だったんですよね。「やりたいことへのステップアップにぜひ」という募集要項をネットで見たんですよ。
ラジオずっと好きだったから、“ああ、ラジオの仕事に携われるかもしれない”と思って応募したのがきっかけで入ったんですよね。グループに入ったら、結構たくさんの方たちがいる中でオーディションをしていく中で、みんな背景がすごく違って。“私、普通の人だけど大丈夫かな?”っていう気持ちもありながらも入ってみたら、もう毎日が刺激のある日々だったので。たくさんの経験を積ませてもらってよかったなと思ってます。
■握手会でファンから学んだ“コミュニケーション術”
――『しあわせ護心術』には、アイドル時代に経験して学んだことなどが書かれています。その中で、今でも役に立っていることはありますか?
CDリリースがあるたびに、握手会を行っている。これは結構、48グループの文化かなと思うんですけれど、そういうイベントに参加させてもらう時に、来てくれるファンの方たちがステージを見た上で感想をくれることが多いんですよね。
ほんの10~20秒ぐらいしか握手会では話せないんですけども、「あの曲のここのポーズのところ、めっちゃよかったよ」、「前回のライブの時よりも、角度がすごくかわいく見えたよ」とか言ってくれるんですよ。自分の中でも一生懸命頑張ってきたところを具体的に言ってくれるわけじゃないですか。
自分の努力も報われた気持ちになるし、「見てくれるんだ」っていうことで、相手との距離感の縮め方っていうのが素晴らしいなと感じたので。だから、自分の日常生活でも人とコミュニケーションを取る時に、“この人のこういうところがすごく好きです”と具体的に褒める、具体的な自分の感想を伝えるっていうのは本当に大切なことだし、相手を勇気づけることなんだなっていうのは、ファンの方たちから学びましたね。
――時にはマイナスなことを言われたこともあるのではないでしょうか?
ファンレターを頂いても、“ちょっと最近気持ちが集中できていないんじゃない?”って言ってくる人もいるんですよ。「監督!?」みたいな感じなんですけど(笑)。でもそれって、意外と見抜かれてるっていう。的を射ていることって結構あるんですよね。
ステージがあって3列くらいに並んで踊ったりすると、後ろの方だから見えないから、ちょっと手抜こうとか踊っちゃったりすることあるんですよ(笑)。それも(ファンの方から)ツッコまれます。それが、“さらに上に行く”っていうバネになる部分もあるので。
――一般的な職場などでは、マイナス面を伝えるのは難しい部分もあると思いますが
もちろんトゲがないようにだけど、時には愛のトゲもなきゃいけないのかなって思う部分もあります。抽象的に“それダメだよ”じゃなくて、“こういうことがダメだったと思う。こうしたほうがいいんじゃない?”とか、提案までさらにプラスして伝えると、よりみんなでいいものを作っていけるんじゃないかなって思います。
■アイドル活動で気づいた“大きな収穫”
――アイドルで経験したことは、今の生活にプラスになっていると感じていますか?
非常に思います。やっぱり自分にとって一番思うことは、“何が向いていないかに気づけた”っていうのがあると思います。(ステージに)出て、スポットライトを浴びて褒めてくれたり、「よかったよ」って言ってもらえる。そのプラスなものも、もちろんそうなんですけども、何度やってもうまくいかないなってことって必ず人間ってあると思うんですよね。
「私、これは得意じゃないかも」っていうことに気づけたのは、自己分析の一つになったと思うので、これはすごいいい経験だったなって思います。
――たとえば、どんなことが得意ではないと気づいたのでしょうか?
みんなが後ろにいるのに真ん中でしゃべれとか、「私ちょっと無理だな」とかすごく気づけましたし。グループに分かれて対決させるとか、深夜番組とかあるじゃないですか。グループ・チームなのに相手をディスらなきゃいけない、これ嫌だなーって(笑)。本当に小さなことでも、例えばグラビア1つやっても、“この角度で撮られると、どうやってもかわいく写らない”とかもあるので、そういうことにも気づけたし。小さなことから自分の性格的なところまで、「これは得意じゃないぞ」っていうことに気づけたのは本当に大きいです。