19×19まで暗算できるドリル、上半期“3番目に売れた本”に 編集者が明かす仕掛け
大手出版流通会社のトーハンが1日、2023年上半期の本に関するランキングを発表。総合3位に今話題の“暗算ドリル”が輝きました。
『トーハン調べ 2023年 上半期ベストセラー』(集計期間:2022年11月22日~2023年5月20日)。総合1位には村上春樹さんの『街とその不確かな壁』、2位には『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット 公式ガイドブック 完全ストーリー攻略』が輝きました。
そして3位に輝いたのが、『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』。「11×11」から「19×19」までの「十の位が1の、2ケタの数同士の計算」が、頭の中でできるようになる“おみやげ算”という方法が学習できる1冊です。
対象は小学生ですが“脳トレをしたい大人”にも支持され、2022年12月の発売から発行部数41万部(出版社発表)を記録するヒットに。「自己肯定感が上がる」と幅広い年代に受け、学習参考書としては異例の上半期・総合3位という記録となりました。
■入念に書店リサーチ 気づいた2つのこと
日テレNEWSでは、編集を担当した吉田瑞希さんを取材。本書を制作するにあたっての“工夫”について教えてくれました。
――出版するにあたり勉強したことは?
学習参考書を担当したことがなかったので、書店をまわって。世田谷区の教育熱が高いエリアのお店など、ばーっと何軒もまわりました。算数の学習参考書の棚をチェックして、お客さんがどういう方がいらっしゃるかを見続けたりしました。
そこでわかったこととして、(普段は)ビジネス書を作っていたんですけど、ビジネス書と比べて小学校の算数の学習参考書の棚はちょっと狭い。売り場が面積的には小さいので、「誰がどうなれる本かどうか」が(背表紙のタイトルで)わからないとダメだなと思って。なので「小学生がたった1日で~」を(タイトルに)つけました。
――他に気づいたことはありましたか?
棚をじっと見ていたら、たまたま子連れの親子、男の子とお母さんが棚に行く場面を見かけて。お子さんが「これやりたい」と言ったものをすぐ、お母さんが特に中身とか確認せずに買うのを即決していた。お子さん自身が「やりたい」と言ったものは、親御さんはすごくうれしいと思って。子どもが楽しく見える、子ども自身がやりたいと思えるような“面白みのある表紙”にできるといいのかなという気づきがありました。