映画界の巨匠も絶賛 世界が注目する話題の『人肉アイテム』とは
インタビュー中、まず目に付いたのが首にぶら下げた『人肉アイテム』。人間の目が付いたミラーボール兼ネックレスでコントローラーを使って操作すると目が閉じたり、開いたりと動かすことができます。
――渋谷に来るまでそれをつけてきたんですか?
そうですね。知らないおばあちゃんに「これは何ですか?」みたいに言われて、「ミラーボールでのネックレスです」って言うんですけど、まったくピンと来てなかったですね(笑)。
笑顔で話すのは『人肉アイテム』の発案者・dooooさん。ラッパー・BIMさんなどが所属するヒップホップクルー・CreativeDrugStoreのDJ・トラックメイカーとしても活躍しています。
――『人肉アイテム』はいつ頃から制作されているんですか?
5年前からです。自分の1枚目のアルバムを出すってなったときに音楽以外で自分のことを表現できたらなと思って。MPCっていう音楽を作る機材なんですけど、これを一番長く使っていたのと、SFとかホラーが好きっていうのが自分の中ですごい大きかったので。それを全面に出したいなって思って、人の肉とMPC合体させちゃえば“自分”というのがみなさんに伝わるかなって思って作りました。
――SFやホラーがお好きなんですか?
根っこにSF映画好きというのがあるので。たとえば映画『エイリアン』でデザインを担当したH・R・ギーガーっていう人が好きなんですけど、エイリアンの持つ重厚感とか、本当にいそうな雰囲気が出るのがかっこいいなと思うので。本物に見える、身近に見えるものをかっこよくするのが好きです。
『人肉アイテム』は現在およそ30種類。数多くの映画やCMで特殊メイクや特殊造形などを手がける会社・自由廊が制作を担います。人肉はシリコンで再現していて、1つ作るのに1~3か月ほど時間を要するといいます。
――制作の際のこだわりはありますか?
2つあって、1つは完全に人間というか、完全に人の肉っていうのが絶対。“そのもの”みたいなリアルさ。もう1つが日用品であること。シンプルに口・指・目だけじゃなくて、何か用途がある。人肉USBはUSBとして実際に使えますし、人肉小銭入れも、ぎりぎり小銭入れとして使えます。
――小銭入れにはひげが生えていますね
ひげをつけるか悩んでたんですけど、言葉選ばず言うとおっさんの方が“きもかわいく”なるかなと思って。女性とかみたくきれいすぎると、自分の中では本物感が出づらいというか。モデルさんとかも「本当に人間なのか?」みたいに思うことがあったので、それだったらちょっと汚い方が身近に感じられるのかなって。基本的に30代から50代のおじさんが多いですね。
■海外の反応 映画界の巨匠が絶賛
――海外の監督やアーティストとの交流もSNSで拝見しました。これまでどんな方から連絡がありましたか?
アイテムを持っている方でいうと、『フルハウス』というドラマに出ていた“ジェシーおいたん”でおなじみのジョン・ステイモスさんとか、ラッパーのリル・ヨッティーさん、歌手のジェイソン・デルーロさん、メジャーリーガーだと2015年にサイ・ヤング賞をとったジェイク・アリエッタ投手とか。
――国内よりは海外の方からの反応が多いですか?
はい。海外の方はオリジナルのものが好きなんだなと。(人肉アイテムに)似たようなものはあると思うんですけど、初めて見る人はオリジナルだって言ってくれたり、自分の目とか口で作れるのもオリジナル。(僕自身が)展示会もやって音楽もやってというのもオリジナルだねって。それでみなさん楽しんでくれます。
――『シェイプ・オブ・ウォーター』などで知られるギレルモ・デル・トロ監督とも交流を?
監督は(日本に)来てくれました。「クレイジーだ。こういうの好き」というのはすごい言ってくれましたね。
――ギレルモ監督が特に気に入っていたのは?
目のサイコロですかね。Twitterにもあげてくれて、ずーっと(人肉アイテムを)触っていたので、気に入ってくれたんだと思います。
■新作の構想 制作には葛藤も
――今新たに構想中のアイテムなどあれば教えてください
自分の中で、怖い・かわいい・かっこいいが本当にいいあんばいの物じゃないと世に出したくないって言うのはこだわりとしてあるので、いいのが思いついたらやると思います。
展示会に来場していた2人組の男性に『人肉アイテム』のさわり心地を聞いてみると、「本物の人間みたいでした。めちゃくちゃほしいです」「ほしいよね」と回答。さらに「非常に気持ちよかったです。一生触っていられますね」と絶賛する男性も。
――最後に作品を見る方々にメッセージをお願いします
シンプルに楽しんでほしいですね。見るだけじゃなくて触ったり、身につけたりして遊んでくれるとまた見え方が変わったりするので、生活してて楽しさがちょっとだけ増えるのかなって思うので遊びに来てくれたらうれしいです。