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フードエッセイストとは? 平野紗季子が語る“食との出会い”  レストランは「夢を与えてくれる場所」

2024年9月5日 6:30
フードエッセイストとは? 平野紗季子が語る“食との出会い”  レストランは「夢を与えてくれる場所」
フードエッセイスト・平野紗季子さん
フードエッセイスト、フードディレクターとして“食”にまつわる活動をする平野紗季子さんにインタビュー。ユニークな言葉遣いで表現される「食体験」がつづられたエッセイ集『ショートケーキは背中から』を発売した平野さんに、食との出会いを伺いました。

平野さんは雑誌『POPEYE』で“味な店”という魅力的な飲食店を紹介する連載経験があり、Podcast『味な副音声 ~voice of food~』では、毎回異なる“食”をテーマにさまざまなトークを音声で届けています。

――平野さんはさまざまなメディアを通して“食体験”を“言葉”で届けていますが、そもそも『フードエッセイスト』とはどんなお仕事ですか?

自分の食体験にまつわる感動したことや、印象に残った出来事を言葉にして世の中に出すという仕事です。雑誌で連載をしていたりとか、特集とかがあったときに食の旅をして文章を書かせてもらったりとか、Podcastの『味な副音声 ~voice of food~』でパーソナリティーをしている番組では、食体験について言葉で話しています。「エッセー」というのが軸にありつつ、手段を問わず食にまつわるストーリーテリングというのをしています。

――いつから『フードエッセイスト』になろうと思ったんですか?

学生時代からブログとかで、自分の食べ物に関する日記みたいなものをつけていたんですけど、それがたまたま出版社の方が見てくださって、「本にしませんか」と声をかけてもらって、そのときに自然と“食べ物について語る”という仕事をするようになっていたので、「なるぞ!」となってやったというよりは、本当に子どもの頃からつけていた日記がブログになって、それを見てくれた人が「本にしませんか」と言ってくださったので、気づいたらそういう機会をいただいていました。

■“食”との出会いは“レストラン”

――最初に“食”に興味を持ったのはいつだったんですか?

生まれは福岡県で幼稚園生の時に東京に引っ越して、週末に家族でレストランに行く習慣ができたんですよ。そこでレストランというものを初めて体験して、「なんだこれは! 夢がありすぎる!」。ディズニーとかに行くよりも私の中では楽園という感じで、それがきっかけですかね。

――子どもの頃からさまざまな“味”を知っていって、“レストランに対する印象”の変化はありますか?

根本的な「レストランというのは、夢を与えてくれる場所なんだ」という、信頼や期待は全く変わっていないですね。「その夢から覚めることはないのではないか」というくらい、その体験に対しての全幅の信頼は置いています。

■平野紗季子さんと「ロイヤルホスト」

『ショートケーキは背中から』でも書かれている、平野さんの「ロイヤルホスト」への愛。実は、これまでさまざまなメディアで「ロイヤルホスト」について語り、グッズを作るほど愛があふれています。

――平野さんといえば「ロイヤルホスト」のイメージがあるのですが、出会いは何だったんですか。

「ロイヤルホスト」は大好きですね。福岡の企業なので、東京に来る前から家族とずっと行っていて、きっかけは東京に出て「レストランってこんなに感動するんだ」って思ったけど、その前に“ロイヤル様”という素晴らしい食体験はあって、「そういえば、ロイヤルホストって素晴らしかったな」って後から気づいて、本当にいまだにずっと愛しています。

■好き・嫌いな食べ物は

――「食」をこよなく愛する平野さんですが、好き・嫌いな食べ物はなんですか?

好きな食べ物は「フライドポテト」嫌いな食べ物は「レーズン」です。

■『(NO) RAISIN SANDWICH』とは

「レーズン」が苦手だと話す平野さん。実は『(NO) RAISIN SANDWICH』という菓子ブランドのディレクターを務めています。

――「レーズン」が苦手な平野さんがディレクターを務める『(NO) RAISIN SANDWICH』とは何ですか。

「レーズン」は苦手なんですが、「レーズンサンド」ってすごくみんなうれしそうに食べていて、子どもの頃とかも母親が人から「レーズンサンド」とかもらったときに「わぁ」って感じで喜んでいて、自分はレーズンが苦手だから、その感動が味わえないのが悔しくてレーズンの入っていない「レーズンサンド」があったら食べられるんじゃないかというので作ったのが、「レーズン」と「それ以外の果実」挟んだ『(NO) RAISIN SANDWICH』というお菓子のブランドです。

――私(記者)は「牡蠣(かき)」が苦手なのですが、苦手な食べ物に対してどう考えていますか?

嫌いな食べ物があった方が、「その食べ物がどんな味わいなのか」想像力に終わりがこないから夢があっていいんじゃないかと思います。「どれだけおいしいんだろうな」と思えるじゃないですか。それってすごく自分ではこういう味なんだと気づく以上に夢があると思います。

■ブームが来ている“食べ物”は

――今ブームがきている“食べ物”は何ですか?

はい、「にしんなす」です。和食の一つの料理なんですけど、「にしん」と「なす」をそれぞれを炊き合わせるという、京都とかでよく見られる郷土的な料理なんですけど、「夏のにしんなす」っておいしいんです!

最近立て続けに和食のお店で「にしんなす」を食べる機会があって、めちゃめちゃおいしいなと思って、今一番ハマっている食べ物です。ちょっと「にしんなす」探求したいなと思っています。

■“フードエッセイスト”として伝えたいコト

――最後に、フードエッセイストとして伝えたいコトは何ですか?

自分自身がすごく【食事をする時間】に救われてきたという実感がとてもあって、“ご飯は裏切らない”というか、どんな日でもつらくても苦しくても大変でも「ご飯はおいしい」と思えるという時間がとれたことで、明日も頑張ろうと思える経験がすごく自分の人生の中にたくさんあるので、本当にどんな時も「ご飯はお守り」のように、そばにいてくれるんじゃないかということを感じてもらえたらうれしいです。

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