AAA・與真司郎が取材 パレードから学ぶ性的マイノリティーの歴史 当事者以外ができることは
4月21日に開催されたパレードに初参加した與さんは「日本でカミングアウトする人が本当に少ないから、1人でも多くの人が僕のストーリーで自信になってもらったらいいかな」と、参加への思いを語ります。
2005年に音楽グループ・AAAのメンバーとしてデビューした與さん。現在はアメリカと日本を拠点に活動しています。そして去年7月、自身がゲイである事をカミングアウトしました。
■ゲイ公表後、『東京レインボープライド』のパレードに初参加
パレード前、與さんは「ずっとプライドがやっているのは知っていたんですけれども毎回、毎回通るたびにいいなぁ、行きたいなという思いが(あった)。でも(ゲイを)隠していたので、バレたらダメだなと思って一度も参加できないイベントだったので、本当に楽しみでしょうがない」と、笑顔を見せました。
パレードは、LGBTQをはじめとする、性的マイノリティーの存在を社会に広めることを目的に、毎年、当事者や支援者らがメッセージを掲げ参加。今年は、約1万5000人が渋谷の街を歩きました。
■性的マイノリティーのパレードの歴史
性的マイノリティーのパレードが、日本で初めて開催されたのは1994年。当時は『レズビアン・ゲイパレード』という名称で参加者は1000人ほどでした。そこから30年…。現在の規模に成長するまで様々な苦悩があったといいます。それを知るため與さんは、当時を知る人を訪れました。
ゲイである山縣真矢さん。1999年の札幌で開催されたパレードに初参加し、東京レインボープライドの運営にも携わっています。そしてトランスジェンダーの野宮亜紀さんは、2000年から10年間パレードに関わってきました。
與:今回パレードに初めて参加したんですけど、すごくみんな生き生きしていて“こう変わってほしい”っていう気持ちがあって動いている感じがしたんですけど。
山縣:ちょうど30年でだいぶ変わってはいて。それこそ1994年にパレードが最初に東京であったときというのは本当に沿道から石が投げられるんじゃないかと思って、出発前に歩かれる人たちに任意で、保険に加入してもらうとか。
LGBTQという言葉もなかった時代。時には沿道から冷たい視線や、心ない言葉が飛ぶこともあったといいます。
山縣:当時はあまりまだ存在を認識されてないというか、それこそ昔はホモとかオカマとか言われていたこともあって、メディアでもそういう言葉を使っていたような時期があった中で、まずは私たちはここにいるんですよっていうことを発信をしていく。
與:確かに僕がカミングアウトした時とかも、(メディアで)本当に悪い書き方をされた記憶が全然なくて。これが 10 年前だったら、こんな反応じゃなかっただろうなっていうのは、正直感じたんですよね。
野宮:やっぱりその時と今の違いという意味では、メディアの方の関心はまず全然違いますよね。
■少しずつ変化する環境…変わっていないことも
今では各局のニュースで取り上げられているパレード。しかし最初は新聞の小さな記事に掲載される程度だったと言います。日本テレビでは、2001年にニュースとして取り上げるようになりました。
少しずつ変わってきた環境。しかし変わっていないことも。與さんは、初めてパレードに参加した後に「もちろん楽しかったんですが、いい経験になったんですけど、やはり知らない人と、応援してくれている人と温度差をすごく感じてしまって」と、明かしました。
與さんが感じた参加者と沿道の人たちの温度差。ニューヨークなどでは、当事者以外の、家族や同僚などが大勢沿道にかけつけ、パレードを一緒に盛り上げ、支え合う気持ちも強いといいます。
與:アメリカに今住んでいるので、参加したことはないんですけど、そのパレードしているときに(周りが)みんながすごい、ハッピープライドって感じなんですよね。まだ日本は知られていないのか、興味がないのかちょっとわからなくて。
野宮:世の中って全てが大きくガラっと変わるってことはなくて、パレードとか全然知らない人、これ何っていう人もいるし、これを見てすごくいいなと思う人とか、あるいはもう知っていて応援に来るっていう人がいて両方いる。
與:社会がカミングアウトしづらい状況だから1人でも、多くの人がそれをわかってくれているだけで違うのかなと思ったりするんだけど。
野宮:一番トランスジェンダーの人でカミングアウトしづらいケースってどういうことかっていうと、例えば女性として暮らしていても、女性として働いていて、周りみんな自分のことを女性だと思っている時っていう時 に、私は実は例えば男子校の出身なんですとかっていうこと言えないわけですよね。
與:当事者以外に、できることってありますか?
山縣:次のフェーズっていうと、やっぱり制度、法律を作ることかなとは思っていて。10%くらいのマイノリティーがいくら投票しても変わらない。要は、マジョリティーの人たちの力がないと世の中は変わらない。その人たちが関心を持ってそれで動いてくれる、投票してくれる、声を発してくれる、話題にしてくれる、できることはいっぱいあると思う。
『news zero』(2024年4月26日放送)