『キャプテン翼』高橋陽一 「サッカーシーンの一番の醍醐味は…」 語っていたこだわり 4月に連載終了
1981年に漫画雑誌『週刊少年ジャンプ』で連載をスタートした『キャプテン翼』。サッカーの天才少年・大空翼が、「ボールはともだち」の言葉を胸に、チームメートやライバルたちと共に成長していく姿を描いた作品。
コミックスの全世界でのシリーズ累計発行部数は9000万部以上。テレビアニメやゲーム化もされ、世界の50以上の国と地域に流通するなど、サッカー漫画の金字塔と呼ばれています。そんな『キャプテン翼』が、4月初旬に発売予定の『キャプテン翼マガジン vol.20』で、漫画としての連載を終了することが、5日に出版元の集英社から発表されました。
■連載43年目の決断
高橋さんは、自身の公式X(旧ツイッター)で連載を終了する理由について、「週刊連載をしていた頃と比べると、老眼やめまいなどに苛(さいな)まれ、だいぶ身体にガタがきていることもたしかです。 そういった体力の衰えと、昨今のデジタル化の波による執筆環境の変化などにより、以前より漫画の執筆ペースは落ちてきました」と明かしました。
■『キャプテン翼』のこだわり
2014年、インタビューに応じた高橋さんは、『キャプテン翼』を描く上でのこだわりについて、「サッカーシーンの一番の醍醐味(だいごみ)はゴールが決まった瞬間だと思うので、そこに至るまでのシュートのポーズだったり、流れだったりと、ゴールを決めたあとのポーズというのは気をつけて描いています」と明かしていました。
また、主人公・翼の髪形について「翼くんの髪の毛のうしろがはねているのは、スピード感というか走ったときのなびく感じが、より迫力が出ると思ってそういう髪形にしたんですけど」と語っていました。
■世界の名選手を“育んだ ”『キャプテン翼』
『キャプテン翼』の人気は、日本だけにとどまらず世界に波及。サッカー元スペイン代表で、2018年から5年間Jリーグ・ヴィッセル神戸でプレイしていたアンドレス・イニエスタ選手は、作品を読んで育った一人。高橋さんの仕事場を見たいと、訪問したことがありました。
また、同じく元スペイン代表で、Jリーグ・サガン鳥栖でプレイしていたフェルナンド・トーレス氏も、『キャプテン翼』を読んで、サッカー選手を夢見たと言います。
■『キャプテン翼』を残すために
『キャプテン翼』を完結するにあたって、公式Xで高橋さんは「今、頭の中には『キャプテン翼』の一応の目安の最終回までの構想があります。この構想をすべて漫画化するにはこの先40年以上かかってしまうかもしれません。それを実現させるのは現実的ではないと感じた一方、たとえばネーム(漫画制作の元となる絵コンテのようなもの)などの形で “物語”を残すことだけに集中すればできるかもしれない、と思いつきました」と、胸の内を明かしました。
ファンに向けて高橋さんは、「簡単にできる決断ではありませんでしたし、いつも『キャプテン翼』を楽しく読んでくださっている読者の皆さんには残念で寂しい思いをさせてしまうかもしれませんが、この決断を理解していただければと思います。今はまず、連載の最終回までの原稿を全力で描き切ろうと思っています」とつづっています。