芸人で放送作家・佐藤満春 ピーク時23本の番組担当「休みに罪悪感」 余白の時間が人生のプラスに
芸人 兼 放送作家の佐藤満春さん(46)にインタビュー。お笑いコンビ『どきどきキャンプ』で活動しながら、仕事の軸を放送作家に移した佐藤さん。“賞レース優勝”など芸人としての王道を諦めた結果、ピーク時に23本もの番組を担当する売れっ子放送作家となりました。
しかし、順調に仕事をこなす一方で、自身初のビジネス書では2023年から今年にかけて徐々に仕事を減らしていったことを明かしています。その時の背景や、仕事を減らして気づいたことなどを聞きました。
■「自分の24時間×7を切り売り」 そこからの脱却
――著書『凡人の戦略 暗躍する仕事術』(11月1日発売)では自身の仕事術に加えて、仕事を減らす決断をしたときのことも書かれています。その背景を教えてください。
元々、体が強い方じゃないんですけど、37、8歳くらいの時に一回めまいをやって。その時はもう働くしかなかったので、病院に通ったりすることで無理やり乗り越えた感があるんですけど、2022年くらいにもう一回、大きなめまいをやったんです。それが結構、頻繁に起きて今回はちょっとどうにもならなさそうだなと。
それまでは仕事をいただく喜び、感動、恩返し。自分の24時間×7を切り売りして、“寝る間を惜しんで仕事することこそ正しい”、勝手な価値観で生きてきて。“とにかく仕事をすることが人生”みたいなことでいました。
生活はもちろんしていかなきゃいけないですけど、果たしてこのまま依頼される仕事を全部、いい顔して“ありがとうございます”って引き受けてやっていくことが人生なのかというと、そんなこともないのではないかと。
――ピーク時の23本から、どのくらい減らしたのでしょうか?
10本くらいは減らしました。仕事だけで24時間を埋めていくところからの脱却は、すごく大きかったですね。
――仕事を減らすことについて、家族の反応は?
“体調悪いんだったらもっと休めば”という感じですかね。今もすごく心配はしていますけど。“やっぱり仕事大事だけど、健康も大事だよね”みたいな意識でいてくれました。
■余白の時間が生まれ、挑戦できたこと
――意識的に仕事を減らしたことで、気づいたことはありますか?
これが配信されている頃には終わっているかもしれないですけど、自分の劇公演を4年ぶりにやれることになりました。150人のキャパで、2日で3公演やるんですけど、その時来た人と、舞台に立っている6人、あと僕が一番そうですけど、楽しいだけの夜なので。何かの“夢の一歩”とか、全然そういうことじゃない。
でも、余白を作ることで、“作りたいから作ってやるんです”っていうものを、やる時間を見つけられたんです。ハンドリングして自分の人生なのでやっていく、という決断をようやくできることになった。体調を崩したっていうことに意味を見つけることができました。
劇をやったり、この本(の制作)なり、今フットサルをたまにやっていますけど、(このような)時間の方が人生にとってはすごくプラスになったなという感じがしますね。
■「休む罪悪感をやめた」 サトミツ流の“休むコツ”
――休むことが苦手な人も多くいると思います。佐藤さんならではの“休むコツ”はありますか?
仕事以外のスケジュールを積極的に入れるようになりました。例えば、旅行のスケジュールをこの日に行くって決めたら、そこで入れちゃうとか。自分の手帳に仕事以外のスケジュールが入ることが、どこか罪悪感があったんですよ。でも、それをもうやめました。仕事する1時間も、フットサルする1時間も、めちゃくちゃ大事と思うようになりましたね。
――ご家族と旅行にも行かれる?
年に4回くらいは必ず行きます。年末の宿も取りました。(休むコツは予定を)“決めちゃう”っていうことかもしれないですね。
【佐藤満春(どきどきキャンプ)プロフィル】
1978年2月17日生まれ、東京都町田市出身。相方・岸学さんとのお笑いコンビ・どきどきキャンプや、『DayDay.』などの番組を担当する放送作家、さらにトイレ・掃除の専門家など様々な顔を持つ。11月1日に、自身の仕事術をまとめた初のビジネス書『凡人の戦略 暗躍する仕事術』(KADOKAWA)を発売。