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どきどきキャンプ・佐藤満春 芸人の王道諦め→放送作家レギュラー19本 「無理しない」生き方

2023年2月16日 22:45
どきどきキャンプ・佐藤満春 芸人の王道諦め→放送作家レギュラー19本 「無理しない」生き方
どきどきキャンプ・佐藤満春、王道諦め見つけた居場所語る
お笑いコンビ・どきどきキャンプ佐藤満春さん(44)にインタビュー。海外ドラマ『24 -TWENTY FOUR-』のネタで活躍していた当時、「居場所はここじゃない」と苦悩を抱えていたという佐藤さん。現在は、レギュラー番組19本を抱える放送作家として地位を確立。さらに、掃除・トイレの専門家としてテレビ番組『有吉ゼミ』でも存在感を発揮しています。佐藤さんの生き方を通して、“自分の居場所を見つける秘けつ”や、“仕事で大切にしている考え”を伺いました。

■『24』ネタでブレイクも…ひな壇では「一言もしゃべらず帰る」 王道諦めたワケ

――初の自叙伝エッセー『スターにはなれませんでしたが』(2月17日発売)を、45歳の誕生日に発表。本の中にもある、芸人から放送作家の仕事へ活動の軸を移したときの背景を教えてください。

世の中が、お笑い芸人像として求める“賞レース優勝”とか、バラエティー番組をバ~っと1周して冠番組があってMCになっていく…みたいな、いわゆる“芸人の王道”の成功とされる図式みたいなところに全くはまっていく可能性を感じなかったのと、人間的な資質も芸人的な資質も考えて、そこは目指せないし「無理だな」って思っちゃった瞬間があったんですよね。

楽しい番組もたくさん出させていただきましたし貴重な経験もできたんですけど、50人とか100人いるひな壇にポンって座らされて、一言もしゃべらず帰るみたいなのが当時は特に多かったんですね。そこでみんなの前に出ていって“すごくいい間で一言、言ってダン!ってウケる”みたいなスキルもないし勇気もないし。面白い人はいっぱいいるし、何もできずに帰るというのは心情的にもかなりキツくて。

居場所がここじゃないというか、僕が何かを成すとしてもここじゃない。センスがないなりに、自分の居場所を見つけるしかなくて。それを精一杯やった数年間って感じだったと思います。向き・不向きが僕の中でも大きすぎたから、“苦しい”ということを避けて避けて。同じ山を登ることしか許容されない時代だったので、僕はそこの山を下りて勝手に別の山を作って登ってたんですよね。

■オードリーがきっかけで放送作家の道へ 「人生として有意義だと思えた」

――放送作家として踏み出すことになったきっかけは?

面白いことはやりたいし、(昔から好きだった)ラジオもやりたいという思いがあって。『オードリーのオールナイトニッポン』が始まる2009年10月、たまたま僕が(オードリーと)友達だったということで、現場に行けるようになって。自分がしゃべるとかじゃなくていいから“ラジオの現場に、とにかくいたい”って。役割は何でもよかったんですよね。ADさんでもいいし何でもよかったんですけど、放送作家の見習いみたいなことで「毎週来ちゃえば」っていうことを作家の先輩が言ってくださって。そうしたら会議にも呼んでもらえるようになって、名刺を作ったりして放送作家って名乗るようになりました。

その時に“向いている”って思ったというよりは、“他に向いていることもなかった”。面白いこと好きだし物作りが好きだし、ラジオ番組に関わること自体が楽しかったので。この(放送作家の)世界で頑張るというのは、自分の人生としては大いに有意義だろうなと思えた。運よくそういう環境の人と出会えましたし、そこに助けられて何とか広がっていったというところですかね。

――今では放送作家としてレギュラーを19本持つほどの売れっ子になりました。その一方で、芸人として王道で成功している人を嫉妬する気持ちはないのでしょうか?

よく聞かれるんですけど、ゼロなんですよね。というのはやっぱり、圧倒的な才能とかセンスとか実力みたいな差が明確にあると、別競技のすごい人を見ているような感覚というか。嫉妬するような距離感じゃないんですよね。オードリーもそうだし、(南海キャンディーズの)山里亮太さんもそうだし。だから何とも思わないですね。それがあるから、よかったんでしょうね。一緒に仕事するにあたって「この野郎!」って少しでも思っていたら、多分一緒に物作りできないと言うか(笑)。

■大切にしているのは「無理をしない」 仕事で悩む人へアドバイス

――自叙伝には他にも、佐藤さんが“仕事で大切にしている考え”が書かれています。その中から1つあげるとしたら?

「無理をしない」です。結局のところ僕が関わることで、そんな革命的なアイデアを出して何か爆発的に面白くなるわけないので。でも精一杯できることをやるしかないので、下駄(げた)履いてもしょうがないというか。やっぱりお笑いもそうですけど、小さいときからサッカー習ったりとか塾行ったりとか、僕真面目なんで全部一生懸命やるんですけど、明らかに自分よりも後から入った人がサッカーうまくなっていったり、同じ練習をしていてもそういうことが起こる。

向き・不向きっていうのがあって、でも自分にできることを精いっぱいやるぐらいしか(できない)。そこで人と比べて“何くそ”と思って頑張るみたいな人もいるんでしょうけど、僕自身は、そういう考えに至るには向いてなくて。自分なりにやれることをやるしかない。無理しない。

――自分の向き・不向きに悩みながら働いている人たちが多くいると感じます。アドバイスするとしたら、どんな言葉をかけますか?

自分のことって自分でよくわからないから、周りの人が必ず自分の適性がある場所に導いてくれる。そういう人が必ず現れると思うので。“(自分は)そのままで全然いい”ということだと思うんですよね。そうじゃないと、自分の適性のある場所に転がっていけないというか。そこの可能性は信じてほしいなと思います。僕もそうしているので。


<プロフィル>
佐藤満春(どきどきキャンプ)
1978年2月17日生まれ、東京都町田市出身。岸学とのお笑いコンビ・どきどきキャンプや、『スッキリ』『ヒルナンデス!』などを担当する放送作家、さらにトイレ博士、掃除マニア、ラジオパーソナリティーなど様々な顔を持つ。2月17日に自身の人生観・仕事観・芸人観などをつづった書き下ろしエッセー『スターにはなれませんでしたが』(KADOKAWA)を発売。