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「ここにいるしかない」から「ここで暮らしたい」に “月に1度だけ”開く食堂の懐かしい味が過疎地域の活性化へ 青森県十和田市

2025年3月27日 11:14
「ここにいるしかない」から「ここで暮らしたい」に “月に1度だけ”開く食堂の懐かしい味が過疎地域の活性化へ 青森県十和田市

特集は十和田市で月に1回だけオープンする食堂です。
少子高齢化が進む地区で女性たちが立ち上がり、地域を活性化させようと懐かしい味を届けています。

十和田市の中心部から車で20分、五戸町と隣接している一本松地区です。
住民が集う公民館が、月に1度「食堂一本松」に変身します。
運営しているのは地元や地区にゆかりのある40歳代から80歳代までの13人で作る「食堂一本松実行委員会」です。
調理場では代表の野崎さち子さんが指示を出しながら、営業に向けて調理や盛り付けに追われていました。
食材のなかには地区で採れた春の味覚も。

農業が盛んな一本松には現在およそ40世帯100人ほどが住んでいますが、その6割が高齢者という少子高齢化が進む地区です。
代表の野崎さんをはじめとする住民の有志が地区ににぎわいを取り戻そうと、去年の5月からこの食堂を始めました。

★食堂一本松 野崎さち子代表
「嫁いだときは50年も前なので300人ぐらいいたんですね。でも50年たったらたった100人になったんです。なんかびっくりしたんです。自分でもこんなに高齢化が進んだのかと思って」
「みんなに声をかけたら同じだったんです。全員が長男の嫁なんです。だからどこへも行くことができないんです、ここにいるしかないんです。そうしたらなんか大変だね、なんかしたいねって言って勉強を重ねていくうちに気持ちがひとつになったんです」

提供するのは地区で採れる旬の食材をふんだんに使った郷土料理「いっぽんまつ御膳」のみ。
中身は毎月変わりますが、この日は「なめこなます」や千切りの大根、わらびなどを炒め煮にした「煮あえっこ」などなんと15種類。
懐かしい味を求め毎回予約でいっぱいになるほどの人気です。

★三沢市から
「なんか体が喜んでいる感じですね。地の食材をすごく使っていて優しい味でなんかほっこりおいしいなと思っています」

★五戸町から(一本松出身)
「やっぱり漬物が1番懐かしい このきのこなます」

★八戸市から
「インスタで見ておいしそうと思って きょう楽しみで2人で来ました」
「全部おいしくて、ふだん家だと作らないからすごくいろんなのがあっておいしいです」

野崎さんは料理だけではなく、訪れた人たちとのふれ合いも大事にしています。

★食堂一本松 野崎さち子代表
「来た人ももくもく食べるだけじゃつまらないと思うんです。私もどういう思いできたのか聞きたいし」

この日は十和田市の櫻田市長が視察に訪れていました。

★十和田市 櫻田百合子市長
「地区以外市内外からもみなさま集って楽しんでいただける場になっておりますので
本当によかったなと」

訪れる人たちを魅了し笑顔にする料理の隠し味は、営業前のコーヒーブレイクでの井戸端会議。

★「みんな忙しいからねこんなのがなかったら会うことがないんですよ、
隣隣みんな近いんですよ。家がでも仕事するから会えないもんな、ここで思いっきりしゃべって笑って」
「集まってこうして情報交換して次につながりますよね。次何しようかと思います、でも1番楽しいのは食です」

食でにぎわいが戻り始めたことで一本松地区の絆も深まってきました。
野崎さんがいま心から思うことは・・・

★食堂一本松 野崎さち子代表
「この仲間でこの地域にいたいんです。もちろん助け合っていきたいし、それに続く若い人が出てくればいいなと思って頑張ります。それだけです。ここで暮らしたいんです」

月に一度だけオープンする「食堂一本松」は、地区ににぎわいをもたらしながら訪れる人たちを笑顔にしていきます。

最終更新日:2025年3月27日 11:14
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