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中村橋之助 玉三郎さんの言葉を胸に舞台へ

2021年9月15日 20:07
中村橋之助 玉三郎さんの言葉を胸に舞台へ

歌舞伎俳優の中村橋之助さん(25)が取材に応じ、現在出演中の歌舞伎座『九月大歌舞伎』(〜27日千穐楽)公演に出演する心境を話してくれました。

公演の第一部は、六世中村歌右衛門さん二十年祭 七世中村芝翫さん十年祭と銘打った「お江戸みやげ」と「須磨の写絵」が上演されています。橋之助さんにとって芝翫さんは祖父にあたります。

そして第三部は、片岡仁左衛門さんと坂東玉三郎さんが、38年ぶりに共演する「東海道四谷怪談」。運命に翻弄(ほんろう)される男女を美しくも怖ろしく描いた演目で、橋之助さんは小平役と与茂七役の大役を勤めています。

九月大歌舞伎について橋之助さんは「僕は一部には出ていないんですけども、追善に出たいという気持ちはあります。その中で三部で小平と与茂七という大役をさせていただけるって言うのは、これはひとつ祖父(芝翫さん)が導いてくれたお役だと思うので、祖父のような役者になれるように、大役を勤めさせていただいているっていう思いで舞台に上がっています」と語りました。

そして最近、玉三郎さんとの共演が多いことについて聞くと「祖父がいてくれなかったらこんなに玉三郎のおじさまのそばで勉強をさせていただける機会というのはなかったと思う。玉三郎のおじさまも“あなたたちのおじいちゃまには本当にお世話になったからあなたたち3人(橋之助さん、福之助さん、歌之助さん)には、しっかりした役者になってもらわなければ困るの”ってよく口にされて…」と明かしてくれました。

さらに昨年5月、公演が中止になった時、玉三郎さんにかけられた言葉が忘れられないと言います。「スペインかぜでも、どんなはやり病でも演劇というのは無くなりませんでした。だから歌舞伎も絶対になくなりません。あなたが今やるべきことは、くよくよしたり落ち込むことではなくて、その役が回ってきた時に、ちゃんとお客様に届けて、しっかりした歌舞伎を出来るようにお稽古することが、今あなたがやるべきことです、っておっしゃってくれて。雷が落ちたように、前に進みたい。前に進まなきゃと思わせくれた」と話してくれました。