萩本欽一 83歳 新たに挑む“新人発掘” 「自分に言い聞かせているのは…」極意を明かす
■83歳で挑む“新人発掘”
萩本さんに呼び込まれ、3人は舞台上へ。萩本さんがお題を読み上げ、東貴博さん(55)とともに食らいついていきます。中でも、萩本さんから多くお題を出されていたのは、岡山さんです。応募資格に「年齢は、33歳までの方が対象ですが、33歳以上の方は年をごまかして参加ください」との記載があったため、33歳として参加しました。
この日は約100分にわたったオーディション。どんな思いで新人発掘に挑んでいるのか、萩本さんに話を聞きました。
■「できないじゃなく、できる人を探せばいい」
――なんでオーディションを開催したのでしょうか?
80歳過ぎてさすがに舞台はできないと思った。できないからやらないって言ったんだけど、できないじゃなく、できる人を探せばいいんじゃない。そこに気付かせてくれた。自分のためにもいいお勉強になってるね。
――どういう人を見つけたいですか?
うまい人とかを探しているんじゃなくて、“運”を持っている人。運を持っている人っていうのはたくさんいるんだけど、私が探してるのは運が転がる人。
――運が転がるというのは?
怒られても、気持ちのいい怒られ方をすると運って転がるんですよ。(自称33歳って)言ってる怪しげなあいつ(岡本誠さん)は、素直なところが今ちょっと転がるかなと思わせた。
――新人を発掘したらどんなことを一緒にやりたいですか?
若い力にだまされる。若い中に入って若さをもらうとか、そうじゃない。自分に言い聞かせているのは、若い力にだまされる。若いやつが「僕こう思うんですけど」って言ったら「いいんじゃない」ってだまされてあげていいんじゃない。
80過ぎたら若い人の力借りるのはダメ。そんなもんダメ。若い力にエネルギーもらう、そういうのダメ。若い力にだまされる。
――合格者はどうやって決めるのですか?
お客さんが、“彼が見たくて来る”ってなったら合格だよ。このステージが完成した時以外は合格でない。お客さんが合格を出すから。
■浅草の修業時代、コント55号時代、そして今大切にしていること
――若い方と関わることで、ご自身の若手の頃などを思い出されますか?
ダメなやつ見てると俺と一緒。大事なのは素直。(自分は)言うことを聞いてたら、いつの間にかできてた。いつ覚えたんだかわからないの。浅草の修業時代、笑わせたことないんですから。それが「お前も一人前だからちょっと表で出てやってごらん」って言われてやったら、笑ったから。素直さが大事。
もう私が覚えた浅草軽演劇をやってるとこがないんだよね。私の師匠というか、東八郎さんが(生前に映像として)「残したい」って言ってね。その3日後かな、東さんが亡くなっちゃった。だから残ってないんです。コント55号だってね、最初出た時、VTRが残っていない。でも、VTRが残ってないのいいんですよ。
「お客さんは、波打って鼻血を出して笑ってたよ」って言っても、VTRがないですからね。VTRが出てきたら、鼻血出すやつもいないってね。波なんて打たないですからね(笑)
――YouTubeや新人発掘など、現在も様々なことに挑戦されています。原動力となっているのはどんなことですか?
生きてるから。もう一つを加えると、イキイキと生きてる。その上にもう一つあってね。80歳なのに驚かして生きている。そこへ行ったら(ピースサイン)だね。
――今後やってみたいことはありますか?
この先?! そんなものはないだろう(笑)
ないじゃなくてね。80歳過ぎたら自分で何か探すって、それはよしたほうがいい。若いのが「じいちゃんやろうよ」とか「おっさんやろうよ」とか(来たら)、そしたらだまされにいく。これがいいと思う。今、若いのと楽しく言うこと聞いてやってますけど、また新しいのが出てきたら、また次考えますよ。