その冗談大丈夫?新年度の「うっかりSOGIハラ」に注意…NG言動を初対面や飲み会などのシチュエーションでおさらい
性的指向や性自認を誹謗中傷するなどの「SOGIハラスメント」。法律で禁止されていますが、最近は「良かれと思って」当事者を傷つけるケースもあるそうです。性的マイノリティーの就職支援や、受け入れる企業への研修などを行う株式会社 JobRainbow の星賢人CEOに、気をつけるべき言動などをききました。
■SOGIハラスメントとは? “よかれと思って”もハラスメントに
「SOGI」というのは、Sexual orientation(=性的指向)とGender identity(=性自認)の頭文字をとった表現ですよね。
JobRainbow 星賢人CEO:
かみ砕いて言うと、 自分が“好きになる性”と“認識している性”ということです。
白川:どのような行為が、SOGIハラスメントにあたるのでしょうか?
星:性的指向の部分では、「お前ホモかよ」「オカマかよ」など日常的に誹謗中傷を行う、性的指向を理由に職場で他のチームに異動させる、暴力をふるうということがあります。
性自認でいうと、トランスジェンダーの当事者がカミングアウトした状態で、例えばトランスジェンダーの女性であれば、執拗に「お前は男だろ」「男だからこうしろ」と言い続けるなどがあります。
法的によく問題になるのは、「あの人はゲイ/トランスジェンダーらしいよ」と意図的に言いふらす「アウティング」です。難しいのが、悪意があって言いふらしていじめてやろうというわけではなくて、「この人が当事者と言っているから周りにも伝えてあげた方が環境が良くなるんじゃないか」という“良かれと思ってアウティング”が今増えていて、それもSOGIハラに該当している場合があります。
■初対面でなんと呼ぶ?飲み会の“冗談”にモヤモヤ
星:SOGIハラにも大きく2つあって、法律上禁止されて防止措置義務があるSOGIハラと、そうじゃないけれども当事者が聞いたら嫌だよねというものです。
白川:日常的に気を付けるべきなのは、どういった事案でしょうか?
星:例えば、「ちゃん/くん付け」という呼称の問題です。
性自認が女性の方へ「くん」付けしてしまうと、「男性に見えちゃったのかな?」と違和感を覚えることがあります。
白川:「ちゃん/くん付け」をやってしまうケースもあるし、すべて「さん」付けだと距離が縮まらないというもどかしさもマネジメント側としてはあります。どうするのがいいですか?
星:初対面で相手のことが分からない場合は、リスペクトの意味を込めて「さん」付けをしつつ、例えば「〇〇ちゃん/くんと呼んでいい?」とカジュアルに一言許可を取るのが大事だと思います。
白川:飲み会など、くだけたコミュニケーションではどういうことに気をつけたらいいですか?
星:いわゆる「ホモネタ」と言われるもので、男性同士が仲良くしていると「お前らホモなんじゃねーの?」とふざけて言い、「いや、ホモなんて気持ち悪いですから」みたいに返すコミュニケーションです。
白川:「お前らホモかよ」と投げかけるタイプじゃなくて、おじさんの自虐で「こんなおじさん同士が近づいて気持ち悪いよな」みたいな光景がつい最近もあってモヤったんです。ハラスメントではないけど、おじさん同士が仲良くしたって別にいいじゃないですか。
星:私もゲイの当事者として、先回りしてちょっと“オネエ”っぽく振る舞っていたことがあります。笑いに昇華して予防線を張っておくというか。自虐ネタを言っている方には、「自分自身のことも大切にしていいんだよ」と伝えたいです。