「男なんだから」言われたらどうする?日常のイラ!モヤ!を直川貴博アナが撃退【アクティブバイスタンダー直川】
■力仕事や面倒な客への対応「男なんだから…」にモヤッ!
アクティブバイスタンダーという言葉を紹介します。ハラスメントなどの場面で、被害の拡大を防いだり、被害者を守ったりするために積極的に行動する第三者のことです。
今回はSNSで集まった「#きいてよ直川アナ」というシチュエーションを、アクティブバイスタンダーの直川さんが解決します。
福島中央テレビ 直川貴博アナウンサー:
切れ味こそ悪いかもしれませんが、ちゃんとお答えできるように頑張ります。
白川:まずはこういうシチュエーションです。
──職場で都合のいい時だけ「男なんだから◯◯しなさい」と強要されること。例えば、重いものを運ぶとき、面倒なお客さんへの対応など。
白川:男性からの投稿でしょうね。さて、このシチュエーションで、アクティブバイスタンダー直川さん、お願いします。
直川:「じゃあ、女なんだからお茶くみだけやっときなさい」
白川:おおー!
直川:女性がお茶汲みだけをするなんて、時代錯誤もいいところですよね。それを皮肉って言ってみました。
白川:発言した人が女性だったらですけど、本質を捉えていると思いました。「あなた、男性/女性のバイアスで言っていますよね?」というのを、刺激的に言ったんですよね。
直川:でも「女性/男性だからこうしてね」って、人によっては嬉しい言葉にもなる可能性があるんですよね。その人との関係性で、何を求めているのかを察したいですよね。
■ボーイッシュな友だちに対して…
──ボーイッシュな友だちといた時、おじいさんが「あんたの友だちは男なのか?女なのか?」と直接本人に言ってきて、本人が嫌な気持ちになってないかなぁとかヒヤヒヤで、そこで私もなんて言ってあげたら良かったのかな〜とモヤモヤしました。
白川:ここに居合わせたアクティブバイスタンダー直川さんお願いします。
直川:「Pardon?」
白川:おしゃれですね。しかもこれ汎用性めちゃ高い。
「男性なのか女性なのかをきいちゃいけないのか?」という素朴な疑問にあくまで僕の考えとしてお伝えしているのは、まず見た目から男性か女性かをジャッジすると正確性に欠けますし、性的アイデンティティーってすごくプライベートな部分じゃないですか。それをきかれるのはすごく嫌なことじゃないかなと思うんです。
さすがに局アナとして、街中で声をかけられた時に「Pardon?」とは言えないと思うけど、どうしているんですか?
直川:自分のことを言われていたら、笑いで逃げちゃうことがあります。だめなんですけど。でも、人に矢が当たったら、雰囲気を悪くしない程度に「私たち男とか女とかそんな次元で生きてへんもんな♪」と言ってその場から逃げる。
白川:逃げるって大事かもしれませんね。例えば電車とか、すぐには離れにくい場所で、主に女性に対して男性がしつこく声かけしているといったときに、アクティブバイスタンダーの考え方で言うと「久しぶり!何年ぶりだっけ?あっちで話そうよ」と、連れていくなどがあります。
ほかには、大人数の飲み会で「どういう女性が好みだ」とか、割とデリカシーがない会話をしているところに女性が1人入っちゃってる時とかってあるじゃないですか。そういうときは積極的に呼びかけて、「今あなたの話になってるからこっちおいでよ」と、物理的に離すのも大事ですよね。
■血液型のイメージで「AB型なんだ!じゃあ…」
白川:最後のシチュエーションです。
──私はAB型なんですが、学生の頃に先輩から「そーなんだ!じゃぁ、八方美人なんだね!」と言われました…。未だに血液型の話題になるとAB型は「変わってる」とか「特殊な人」みたいな言われ方やリアクションする人もいて、モヤモヤっていうより「イラッ」とします。そんな事ないのに!
白川:直川さん、お願いします。
直川:「あんた絶対O型やろ。この間の仕事も大雑把やったもん。雑やった雑やった~。O型だからやろ?」
白川:なんでアクティブバイスタンダーになると急に大阪のおばちゃんのキャラ?
直川:真面目に「人間って4種類に分けられるんですか?そのことについてちょっと議論しようか」って言ったら、最悪の空気になりません?
白川:僕はそっち側かも。「科学的に証明されてるデータってある?」みたいな感じで言っちゃう。
直川:本当ですか!?
白川:というのもこれについては個人的に恨みがあって。僕はB型なんです。B型のイメージってなんですか?
直川:自己中心的、マイペース…ごめんなさい、いいことが思いつかないです。
白川:そうですよね。AB型とB型でイメージの最下位争いしてると思うんですよ。だけど、“AB型の人は芸術家肌”みたいな、ギリギリの褒めポイントみたいなのがあるのに対して、B型ってマイナスの情報しかないんですよ。なので、このAB型の投稿者さんとはすごく連帯したいし、もう血液型の話は平成に置いていきましょう。
白川:そもそも、失礼なこと、もっと言えば差別的な発言があった時に、アクティブバイスタンダーが場の空気まで守らなきゃいけないのかも留保したい気持ちはあるんですけど、現実問題として人間関係は続きます。会社でも学校でも近所でも、できれば円満に収めたいものです。
なにより、バイスタンダーとして介入するからには、困っている人がその場は解決しても、その後ずっとコミュニティーで困った状態になるんだったら本末転倒だと思うんですよね。
ただ、関西弁が使えない場合は、どうしたらいいですか?
直川:次回までの宿題にさせていただいてもよろしいでしょうか?
白川:(笑)
直川:私が1個指標にしたいのが、愛のある言葉か、ないか。そもそもモヤっとした原因が相手から投げかけられた優しさの言葉なのか、それともナイフで斬りつけようとしてきたのか。優しい言葉だったらこっちも愛を持って接しないといけないと思うんですけど、ナイフで切りつけられたら、こっちもナイフを持たないといけないかなって。
白川:攻撃的な意思で発している言葉だったら、場の空気よりも、「だめですよ」と伝えることを重視してもいいんじゃないかということですよね。
以前、性的マイノリティーについての研修をお手伝いした時に、アナウンサーの方から「番組の収録とか生放送で、別の出演者が性的マイノリティーに対して微妙とされることを言っちゃった時に、司会をしているアナウンサーとして何かできることはありますか?」ときかれたんですよ。非常にいい質問だし、難しいなと思いました。
僕がそこで言ったのは、このテーマって時代のキーワードになっている感覚はどの人にもあるので「令和ですよ、令和」みたいに時代で言っちゃう。それだとあんまり角が立たないというか、「コンプラ違反です」と言うよりは、「令和です」と言うと、意外といけるんじゃないかなと。
日テレ報道局ジェンダー班のメンバーが、ジェンダーに関するニュースを起点に記者やゲストとあれこれ話すPodcastプログラム。MCは、報道一筋35年以上、子育てや健康を専門とする庭野めぐみ解説委員と、カルチャーニュースやnews zeroを担当し、ゲイを公表して働く白川大介プロデューサー。 “話す”はインクルーシブな未来のきっかけ。あなたも輪に入りませんか?
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