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富士山が噴火したら──新たな“火山灰警報”の中身 新宿で「10センチ」、首都機能がマヒ…断水や停電も【#みんなのギモン】

2025年3月26日 0:24
富士山が噴火したら──新たな“火山灰警報”の中身 新宿で「10センチ」、首都機能がマヒ…断水や停電も【#みんなのギモン】
気象庁が、火山灰に特化した警報や注意報を新たに導入します。既にある「噴火警戒レベル」とどう違うのでしょうか? 富士山の大規模噴火では首都機能がマヒし、遠く離れたエリアに住む人にも大きな影響を与えそうです。事前の準備が求められています。

そこで今回の#みんなのギモンでは、「新たに“火山灰警報” 備えは?」をテーマに解説します。

■検討案の中身と国の指針は?

中濱弘道・日本テレビ社会部災害担当デスク
「気象庁は25日、火山灰によって重大な災害が起きる可能性がある場合、降灰つまり降ってくる灰についての警報を新たに導入する方針を決めました。富士山で大規模な噴火が起きた場合には、被害は多岐にわたります」

「新たにできた警報の検討案のうち、『火山灰注意報』は降灰が0.1ミリ~3センチ未満の場合に、交通障害などに注意を呼びかけます。3センチ~30センチ未満の予想であれば『火山灰警報』。大規模な交通障害やライフラインへの障害への警戒を呼びかけます」

「そして、まだ仮の呼び名ですが『警報より一段強い呼びかけ』もあります。30センチ以上の降灰が予想される時で、木造家屋などが倒壊してしまうレベル。厳重な警戒が必要なエリアに出すことを想定しています」

「国は30センチ未満、つまり『火山灰注意報』と『火山灰警報』の場合は、外に出る方が灰を吸い込んだり灰が目に入ったりと危険なので、自宅などで生活を継続してほしい、可能ならば1週間以上の備蓄が必要だとしています」

森圭介アナウンサー
「1週間というとかなりの量になりますが、それだけの期間自宅で生活した方がいいということですか?」

中濱デスク
「富士山が大規模噴火すれば都市機能はマヒしてしまいます。噴火も1週間~2週間続くことも想定されています」

「そして30センチ以上積もった場合には、国は原則避難という指針を定めています。ただ、通院や介護が必要な場合は3センチ以上から原則避難すべきだということです」

■「噴火警戒レベル」は火山周辺が対象

斎藤佑樹キャスター
「自然相手だといつ来るかわからず怖いですが、僕の地元の群馬県でも活火山があるので、小さい頃から気にして山は見るようにしていました。火山の噴火の警報は既にあると思っていたんですけど、それとはまた違うんですか?」

中濱デスク
「既に2007年からあるのが、『噴火警戒レベル』です。大きな噴石や火砕流などの影響があるエリアに避難などを呼びかけるもので、あくまでも火山の周辺が対象です」

「ただ、火山灰は風に乗って遠くまで影響が及びます。そのため遠くの地域も対象に今回、火山灰に特化した新たな警報や注意報を作ろうということになりました」

■富士山の大規模噴火でどんな被害が?

中濱デスク
「首都圏に大きな影響を与えるものとして想定されているのが、富士山の大規模噴火です。どのような被害が出るのか。内閣府の想定を基に作ったイメージ映像があります」

「火山灰が電線に積もれば、重みで電線が切れたり、雨を含んで漏電が起きたりして、停電する可能性があります。視界不良によって航空機や鉄道は運行できず、車の運転も非常に危険です。視界が悪くなり、道路に積もった灰でスリップする危険もあります」

「浄水場に灰が降れば水質の悪化を招いたり、機械への影響で給水がストップしたりということもあり得ます」

刈川くるみキャスター
「生活に直結するところまで被害を受けそうですし、いざ火山灰が降った時にどう処理していいのか、それをどこに持っていけばいいのかということもまだわからないので、未知の怖さというのがありますよね」

鈴江奈々アナウンサー
「雪と違って解けるわけではないですもんね。残りますよね」

中濱デスク
「火山灰の処理については国も、自治体にしっかりやってくださいねと指針では示しています。ただ実際にどう処理すればいいのかは、まだ決められていないのが現状です」

■富士山が噴火したら…降灰分布予測

中濱デスク
「では、富士山の火山灰がどの程度広がると想定されているのか。富士山に近いエリアでは50センチ以上積もるとされています」

「大規模噴火して2週間程度、火山灰が降り続けた場合の最悪の想定ですが、神奈川県の県央部の厚木では20センチ以上、富士山から直線距離で95キロ離れた東京・新宿でも10センチ程度積もると想定されています」

鈴江アナウンサー
「厚木で20センチ、新宿で10センチ積もった場合、新たな『火山灰警報』のレベルになるということですか?」

中濱デスク
「そうですね。東京都心や神奈川県東部は火山灰警報のレベルになりますね。都市機能がマヒして、厳重に警戒してほしいという情報が出ると思います」

■浄水場の沈殿池に「ワイヤー」なぜ?

中濱デスク
「山から離れた首都圏に住む人たちも火山灰に備えなくてはいけないということで、既に対策を取っている自治体や企業があります」

「富士山から東に80キロほど、神奈川・川崎市多摩区にある東京都水道局の長沢浄水場です。泥などの不純物を取り除く沈殿池に3月、設置が完了したのが何本ものワイヤーです」

「同局の大森栄治浄水課長は『降灰対策としてこの上にシートのふたを被(かぶ)せる、覆蓋(ふくがい)のためのワイヤーになります』と説明します。気象庁から警報などが出された場合、ワイヤーの上に120枚のシートを手動で被せる計画です」

■既に訓練も…交通機関も噴火対策

中濱デスク
「新宿から小田原という、富士山の火山灰の影響を多く受ける可能性が高いエリアを走るのが小田急線です。小田急電鉄では、富士山の噴火を想定した訓練を既に実施し、社内ルールも作成しています」

「その上で、同社の安全・技術部の早川謙司課長は『噴火は未経験の災害で、国からの情報など新しい知見を取り入れながら社内ルールの見直しを行っていきたい』と話しています」

「そういった点でも、一刻も早い国の指針や気象庁の情報のアップデートが今後必要になってくるかと思います」

鈴江アナウンサー
「私たちは火山災害の経験、なかなかないじゃないですか。そうすると、火山灰によってどういう影響が出るのか、なかなか想像がつきません。こういった情報をきっかけに停電やスリップが起きる、首都機能がマヒしてしまうなど、まず知ることが大事ですよね」

森アナウンサー
「大雨だったり津波だったり、警報というものができて、どう備えなきゃいけないのかを皆さん考えたと思うんですよ。今回警報のようなものができるのであれば、それを踏まえて我々も事前にどれだけ準備するかがとても大事になってきますよね」

中濱デスク
「まさにその辺が今始まったところだと思います。新しい火山灰警報は今後数年かけて協議されますが、みんなが適切に備えるためにも、スピード感を持って進めてほしいと思います」

(2025年3月25日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)

【みんなのギモン】

身の回りの「怒り」や「ギモン」「不正」や「不祥事」。寄せられた情報などをもとに、日本テレビ報道局が「みんなのギモン」に応えるべく調査・取材してお伝えします。(日テレ調査報道プロジェクト

最終更新日:2025年3月26日 0:24
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