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Dior 誹謗中傷を逆手にとったドレスが話題 初の女性ディレクターが一貫して伝え続けるメッセージ

2023年3月8日 21:50
Dior 誹謗中傷を逆手にとったドレスが話題 初の女性ディレクターが一貫して伝え続けるメッセージ
誹謗中傷を逆手に取ったドレスを手がけるマリア・グラツィア・キウリさん
世界的なブランド・Diorがコレクションなどで近年発表しているファッションが話題になっています。ファッションを通じて“女性らしさ”や”家父長制”などの「固定観念からの解放」を発信し続けているのが、クリエイティブディレクターのマリア・グラツィア・キウリさんです。

■ナタリー・ポートマンも着用 最初に発表したTシャツに込めた思い

2016年にDiorのクリエイティブディレクターに就任したキウリさん。約70年の歴史があるDiorで、女性が抜擢されたのは初めてのことでした。キウリさんは「男性は男性らしく、女性は女性らしく」などといった固定観念をなくし、“変身”に寄り添うのがファッションの役割だといいます。性別や違いを超えて、自由な自分らしさを肯定することを大切にしていて、 ファッションは「自分らしさや多面性を表現するためのツールでもある」と発信しています。

就任後初のコレクションとなった2017年春夏コレクションでは『WE SHOULD ALL BE FEMINISTS(私たちは皆フェミニストであるべき)』と書かれたメッセージTシャツを発表。「男性も女性も自分らしさを持って、もっと幸せに生きることのできる世界のために。今の世界とは違う、より平等な世界を思い描き、実現していこう」という思いを反映させています。

このTシャツは、俳優のナタリー・ポートマンさんが女性の権利を訴えるデモに出席した際に着用したり、歌手のリアーナさんが着用写真をSNSに投稿したりするなど、世界中で話題になりました。

キウリさんはその後も、コレクションやランウェイショーに『Sisterhood Is Powerful(女性同士の連帯は力強い)』というキーワードを掲げたり、2023年1月に発表したコレクションでは、人種差別に立ち向かって常識を打ち破る力強いアイコンとして支持されるようになったアフリカ系アメリカ人のジョセフィン・ベイカーさんをモチーフにしたり、さまざまな形でフェミニストの発展と若い世代の価値観を表現してきました。

■誹謗中傷の言葉をあしらったドレスで“抗議”も

特に話題になったのが、2023年2月に開催された第73回サンレモ音楽祭で、キウリさんがインフルエンサーのキアラ・フェラーニさんにデザインしたドレスです。このドレスには「DISGUSTING(おぞましい)」「Perché non ti rifai il seno(おっぱいも整形したら)」など、SNSでフェラーニさんに寄せられた誹謗中傷の言葉が刺しゅうされています。“女性はこうあるべき”という固定観念や批判に対しての抗議を表現しました。

また、鳥かごのようなドレスは、女性が囚われていると感じる固定観念からの解放がテーマ。一家の中で男性が権力をもつ“家父長制”の慣習を打ち破る希望を表現しているといいます。

クリエイティブディレクター就任から一環して、ファッションで女性の地位向上を表現しているキウリさん。現地時間3月8日には、フランス・パリで国際連合教育科学文化機関・ユネスコとDiorが開催する、国際女性デーを記念したカンファレンスに出席する予定です。

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