×

声優・三石琴乃「月にかわっておしおきよ!」 セーラームーンの変身シーン誕生秘話

2023年6月30日 22:57
声優・三石琴乃「月にかわっておしおきよ!」 セーラームーンの変身シーン誕生秘話
声優・三石琴乃さん
「月にかわっておしおきよ!」の決めセリフでおなじみ、人気アニメ『美少女戦士セーラームーン』の月野うさぎ役の声優・三石琴乃さんにインタビュー。公開中の劇場版『美少女戦士セーラームーン Cosmos』前編に続き、後編が6月30日(月野うさぎの誕生日)に公開されました。30年以上、主人公と向き合う三石さんが、オーディションの裏話や役を演じて起きた変化などについて語りました。

■今回が最終章「感慨深くもあり、ほっとしている部分もありますね」

ーーいよいよ最終章に突入します 今の心境はいかがですか?

やっとここまでこられたかなぁというか、感慨深くもあり、ほっとしている部分もありますね。前編を収録したのは2年前なので、若干記憶が薄くなりつつも(笑)完成した映像を見て「あぁそうそうこうだった!」とか「こんなキレイな映像になってるんだ」とか新しい発見もあったりして楽しいです。少しずつ成長しているようで、成長はしていない月野うさぎちゃんなんですが、愛する人を守るためとか大切なものを取り戻すために、自分の足で自ら踏み出して前に進んでいく強さと、敵と対峙したときに、彼女なりの判断を下して選択していくっていうのが、今回彼女の変化かなと思います。あまり詳しく言えないんですけど(笑)もちろん原作を読んでいる方は、流れはご存じだと思うんですけども、やっぱり映像で新たに見てほしいのでそこは内緒で。

ーーテレビアニメ放送から30年以上、主人公・月野うさぎ役を務めていますが

当初1990年代の時は、こんなに長く月野うさぎちゃんと付き合うとは夢にも思っていなかった。最初の5年間が終わってからは、しばらくブランクがあっての今回のシリーズ。新シリーズが始まる時は、1回引き出しにしまったものを「カギどこだっけ?」って言いながら(笑)開けて思い出して、役に取り組んでいった。基本月野うさぎでいる時は、ドジで泣き虫。今回のシリーズは原作準拠なので、少女漫画色が濃厚に出ている。モノローグのセリフも多くて、女の子の内に秘めた色々な悩みとか、人には言わないけど頑張ろうと思っている事とか、繊細なセリフが多かった。かと思えば、敵が出てきた時には勇ましく闘うという。声を変える感覚はなくて、その時の気持ちで出たものが月野うさぎ/セーラームーンなのかなと思います。

■貴重 テレビアニメ第1話の台本を保管

ーー第1話の台本を大事に保管されているそうですね

手の汗とかで汚れているんですけど、第1話のセーラームーンの台本です。「泣き虫うさぎの華麗なる変身」うっかり変身しちゃうっていう、変身して「なにこれ~!」って驚くっていう。オーディションの時に、セリフと一緒にキャラ表って言うんですけど、これが一緒にあって。イメージを膨らませて「この子だったらこんなふうにしゃべるかな」とか、こんな日常なのかなというのを思い描いてしゃべりました。「絶対やりたい!」と思って、オーディションの時は毎回そうなんですけど。「うわぁカワイイ本当にやりたい!」って思いましたね。 (ここまで続くとは)本当夢にも思わなかったですね。

ーー月野うさぎと出会って変わったことは?

自分は割と幼少から学生時代にかけて、引っ込み思案で思っていること言えないタイプだったんです。友達といても「うんうんそうだね」「へぇ」って話を聞く側の立ち位置だったんですけど。月野うさぎと出会ってからは、ゴリゴリ楽しい事に向かって進んでいったりとか。 なかなか言えなかった内弁慶な自分の気持ちを、うさぎちゃんのセリフとしてストレートに出せたようなところがあります。自分と似ているかどうかはわかんないですね(笑)テンション高くしゃべっていると自分の声のキーも上がるので「今の笑い方うさぎちゃんみたい」って言われることはよくあります。

ーー変身シーンを初めて見た時はいかがでしたか?

トキメキましたね! 変身するっていう女の子の変身願望・子どもたちの変身願望って大きいし、憧れだし、実際の生活の中ではあまり目立ったことができなかったりする子も夢を見られるというか、一緒になって変身して、ちょっと強くなった気持ちになれるっていう、まさにそういうシーンだったので。リボンで体をくるくるっと巻いて、シャキーンとコスチュームに変わっていく。あの演出は素晴らしいと思いました。あの変身シーンを作ってくれた佐藤順一監督は「どうしたら変身シーンを子どもたちが喜んでくれるかな」って考えたそうなんです。

男の子だったらロボットの変形でガシャンガシャン、シャキーンシャキーン、パッカンって 合体してできるじゃないですか! 最後に顔が出てきて目がキラーンと光って。あそこから持ってきて、女の子の場合もリボンで手が変身していく。最後にここ(額)にマークが出るっていうそういう決め方で作ったんですって。見せる演出になっているんだと思います。実はオーディションの時に佐藤順一監督が「月にかわっておしおきよ!」っていうセリフについて、「これはセーラームーンがこういうふうにポーズします」って佐藤さんがみんなの前でポーズをやってくれて、それで私は最初目にしました。

「愛と正義のセーラー服美少女戦士セーラームーン」っていう、見得(みえ)を切るところはおそらく日本の時代劇がもとになっていて。みんな見得切るじゃないですか時代劇の主人公。こっちからカメラ、こっちからカメラ、正面で少しアクションがあってからの、決め! みたいな絶対時代劇だと思ってそこを参考にしてしゃべったりしていますね。間とかカット割りは、東映の時代劇からきているのかな…なんて勝手に思ってやっていました。