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『桃太郎電鉄』誕生35周年 「世界の地理に詳しい国民に」最新作に込めた制作者の願い

2023年12月2日 22:15
『桃太郎電鉄』誕生35周年 「世界の地理に詳しい国民に」最新作に込めた制作者の願い
桃太郎電鉄ワールド ~地球は希望でまわってる!~(c)さくまあきら(c)Konami Digital Entertainment
1988年に発売された家庭用ゲーム機・ファミリーコンピュータ用ソフト『桃太郎電鉄』が35周年を迎え、世界を舞台にしたシリーズ最新作が登場。ゲーム監督に開発のきっかけや、世界マップ作りの難しさなどを伺いました。
“桃鉄”の愛称で親しまれている『桃太郎電鉄』。その最新作、Nintendo Switch用ソフト『桃太郎電鉄ワールド ~地球は希望でまわってる!~』が、11月16日に登場しました。

桃鉄は、プレーヤーが会社の社長となり、各地を巡って物件を買い集め、総資産ナンバーワンを目指す、すごろくゲームです。

■最新作“桃鉄ワールド”、開発のきっかけは?

これまでの桃鉄シリーズは、日本をメインにしたゲームでしたが、本作はタイトルの通り、世界が舞台となっています。

最新作を開発したきっかけについてゲーム監督の桝田省治さんは、「桃太郎電鉄のシリーズは、原則的には日本国内でしか売れていない。このゲームシステムは、汎用性(はんようせい)が非常に高いから、世界の市場に出してもいけるのではないかと、結構、昔から(桃鉄世界版の)話があって、(前作)“令和版の桃鉄”がかなり売れたので、いまが世界版を出すチャンスではと思った」と明かしました。

2020年11月に発売された『桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番!~』は、累計出荷本数が400万本(2023年7月20日時点)を記録。発売からすぐに、本作の企画に着手したそうです。

■移動手段は飛行機がメインに

今回の桃鉄で、大きく変わったのが移動手段です。これまでは、フィールドが日本だったので、鉄道メインで移動していました。

そのため、制作初期段階で桝田さんは、「海の上にも線路を敷いちゃえと言っていたんですよ。桃太郎“電鉄”だから」と、提案していたそうです。ところが、シリーズの生みの親で本作の制作総指揮を担当した、さくまあきらさんから、「せっかく、ワールドなんだから世界規模、マップが地球というのを、ビジュアル的に、直感的に訴えるには、(鉄道を)飛行機に変えて」と、桃鉄の生みの親であるさくまさんとの制作秘話を明かしました。

飛行機が主体となった桃鉄ワールドですが、陸地を短く移動するときには、鉄道のビジュアルになっています。

世界をマップにする上で、「なんで、こんなに地球は海がいっぱいで、マスが置けないところが多いんだ。ヨーロッパは、こんなに狭いのに、なんでこんなに国や地域がいっぱいあるんだ」と、様々な難しい課題に直面したと言います。

そのため、桝田さんらは本物の都市の位置などをなぞりながらマップを制作。「ゲームとして快適な、(目的地が)遠いから、その分たくさんマスがあると移動するのに大変。(プレーヤーが)違和感なく、“いつもの桃鉄だね。(マップが)地球になって、知らない都市がたくさんあるけど、快適に動けるし”と、思ってもらえたなら、僕らの苦労が報われているということです」と、シリーズ初のワールドマップのできばえに自信を見せました。

最後に、桃鉄ワールドを通じて桝田さんは、「オリンピックを見て、大抵の国や地域を知らないから、日本の子供たちが、“桃鉄で行ったことある”と、言ってくれるだけでも。日本の子供たちの100人に1人が言えたとしたら、世界で一番“世界の地理に詳しい”国民になるはずだから将来的に、そのへんは目標にしました」と、子供たちに伝えたい願いを明かしました。