高橋優、楽曲制作は“降ってきたことない” 「ぐっときたらそれで完成」
■新曲『現下の喝采』はシンプルな歌詞を意識
後藤:新曲のタイトルを教えてください。
高橋:タイトルは『現下の喝采』にさせていただきました。朝起きて、呼吸して、出勤したり通勤通学したり、おうちで家事炊事をやるとか。いつもこなしている日常やってることが、いかに素晴らしいことなのか。賛歌やアンセムを唱えているヤツがいるっていうイメージで書きました。
後藤:どのように作られましたか?
高橋:1コーラス目を聴いていただいたら、2コーラス目のサビでは一緒に歌えるんじゃないかってぐらい、シンプルな歌詞。歌詞カードを直視しなくても、“この人何を言っている”というのが分かるような言葉選びっていうのは心掛けましたかね。サビの歌詞が4回登場するんですけど、口ずさんでもらったり、朝の出勤の途中とかライブとかでもみんなで歌っているようなところをずっとイメージしていたので。あえて変えなかったんですよね、サビの歌詞を。耳に残っていただけたら、すごくうれしい。
後藤:『ひとつだけ』という言葉にこだわった理由はなんですか?
高橋:“あれも今回ダメだった”、“そっちも大事にできなかった”、“これもダメ出しされちゃった”っていう日もあるじゃないですか。いやいや、ちょっと待ってよと、“一番大切って思っていたことだけはやれたよな”とか、“なんにもできなかったけど、大好きな歌だけは歌えた”とか、仕事も人間関係も全部うまくいかなかったけど、1個だけ自分の本当に大切なものを大切にできたら、その日はいい日なんじゃないかなと思うんですよね。
■曲作りは“降ってこない” 高橋「グッときたかどうか」
シンガー・ソングライターとして、数多くの楽曲の作詞・作曲を手がけてきた高橋さん。普段、歌詞や曲調をどのように制作しているのかを伺いました。
後藤:背中をそっとポンポンってしてくださるような歌詞が多いなと思うんですけど、そういった“優しさ”はどこから生まれてくるんですか?
高橋:“優しい”と書いて『優』といいます。一応、“優しいですね”って言われたらこう答えようって決めていたのを今言っただけなんですけど。優しい子になってほしいっていわれて、『優』という名前付けられたんですよ。だから『優』とつけられて、もう40年たつんですけど。難しいですよね、優しさって。人によって優しさって違うような気がしていて。だから後藤さんみたいに“背中をポンポン”してもらえたようなって、言われて初めてちょっと報われた気持ちになりました。
後藤:曲作りでは、作詞と作曲どちらが先なんですか?
高橋:(『現下の喝采』は)曲が最初でした。
後藤:どうやって“降ってくる”のでしょうか?
高橋:よく曲を作る時に“降ってくる”という人いるじゃないですか。僕は降ってきたことないんですよ。何かグッと来るかどうかで、いつも判断していて。この曲の突破口になったのが、シンプルな歌詞・覚えてもらいやすい歌詞にしたいっていうイメージがわいてきてたんで。覚えてもらいやすいかもしれない歌詞と、ちょっとノリづらい3拍みたいな曲調。その辺から曲作りにまた火が付いてきて、面白くなってきて。(作り方が)楽曲によって全然違うんですよ、詞から書いちゃうときもあるし、即興みたいにここにギターがあったら、その場で歌って完成みたいになっちゃう時もある。
後藤:これ“グッときたな”っていう時も。
高橋:グッときたらそれでもう完成。グッと来なかったらもう全部ダメ。
後藤:判断基準はグッとくるか、グッとこないか?
高橋:まさにそれです。