高校生が36年ぶり撮影成功!八代海の謎多き現象「不知火」とは?
横に連なる光。今から36年前の1988年に宇城市の八代海で撮影された画像です。
光が水平方向に並んでみえる「不知火(しらぬい)」といわれる現象ですね。
この写真のあと長らく不知火が撮影されることはありませんでしたが、36年の時を経て高校生がこの「不知火」の再現に挑戦しました。
9月2日、KKT「news every.くまもと」で中継したのは、宇城市にある永尾剱(えいのおつるぎ)神社。
■北島茂気象予報士
「永尾剱神社では午後11時30分から不知火の観望が行われるということですよ」
その約8時間後…。午前3時前に県立宇土高校の生徒たちが撮影した動画です。
よく見てみると、一つの光が横に広がって2つに並んでいるように見えるのがわかります。
古くから旧暦の8月1日に八代海でしか見ることができない「不知火」と呼ばれる現象とみられています。
そもそも「不知火」とは何か。旧不知火町にある資料館の担当者に教えてもらいました。
■松合郷土資料館・田辺欣信さん
「これに不知火を観望している様子が出ているんですけれども、地域の住民の人も感心があってお祭りみたいにこの火が出るのを待っていたんじゃないですか」
不知火とは、漁船のいさり火などの光が水平方向に並んでみえる蜃気楼の一種です。
江戸時代の書物には、対岸の高台で見物する人も描かれています。しかし、漁船の減少などで次第に見える機会は減り、宇城市が画像として捉えたのは1988年9月が最後となっていました。
■松合郷土資料館・田辺欣信さん
「潮の干満の差があって、日中カンカン日が照って夜冷え込むというのが気象条件が整えば今でも出ると思う」
干潟と海から生まれる気温差で光が屈折し、水平に並んで見える不知火。宇土高校の科学部地学班は、条件や観測方法を研究して、その時を待っていました。
そして、3日の未明。地元の漁協の協力を得て、船に置いたライトを頼りに「不知火」の再現に挑戦。その結果が、冒頭にお伝えした写真です。
船の光が屈折し、水平方向に2つに並んでいるように見えます。36年の時を経て、「不知火」現象の再現に成功したのでしょうか?生徒たちに話を聞くことができました。
■宇土高校科学部地学班・米田直人さん
「これまでの活動の成果が出たということで非常に嬉しかったです」
「今回観測した不知火現象というのはかなり高精度のカメラで拡大して見ないと見えなかったので次は肉眼でも見られるような明瞭な不知火現象を撮影したい」
■宇土高校 本多栄喜教諭
「一つ前進だが、なぜ不知火海でしか見られないのかとかなぜこの八朔、真夏でも真冬でもない時期に見られるのか。謎が多いので子ども達と一緒に楽しみながら解明できたらなと思っています」