「We will never give up!」輪島塗世界へ 復興は新しいものへの挑戦
岡垣祐吾 社長:
「これが持っていくぐい吞みです」
「千舟堂」のブランドで輪島塗の制作、販売を手掛ける岡垣漆器店の岡垣祐吾社長です。
見せてくれたのは、「ぐい吞み」のほかにも。
「これはワイングラスのチャームでしてマグネットで脱着できるグラスマーカーみたいなもの」
ワイングラスで日本酒を楽しむ人が増えているということで、和のテイストを感じられればと独自に開発した商品です。
岡垣社長はこれらをアメリカのニューヨークで開かれる北米最大の見本市に持ち込もうとしていました。
「アメリカにチャレンジしようと思ったのは日本酒の輸出、向こうからすれば輸入が世界第2位、市場に魅力を感じました」
「伝統をつないでいくために海外進出は必要だと思っています」
店にとって初めての海外進出。
実は5年前から計画していましたが、コロナ禍で中断。
そのコロナ禍が落ち着いた去年、再び準備を進めていました。
しかし、元日の地震で輪島市は大きな被害を受け、岡垣さんの会社も被災しました。
そして、職人たちも。
分業制である輪島塗の生産は当面、不可能だといいます。
それでも…
「復興には時間がかかるけど職人を引きとめるというかこの仕事の可能性を感じ続けてもらうための一つになればいいかなと思います」
周りからの後押しもあって、予定通り、渡米することを決めました。
そして、今月上旬。ついに、ニューヨークに。
会場はさまざまなブースが並び、活気にあふれていました。
その中には訪れた人たちの応対にあたる岡垣社長の姿も。
客:
「あなた方の製品はとても美しいわ」
社長:
「ありがとうございます」
内側に絵が描かれていてお酒を注ぐと光が屈折し、蒔絵や沈金が光る仕掛けです。
海外の人たちの反応が気になる所ですが…
(Q興味深いものは見つかりましたか?)
「とてもとても美しいです。職人技も出来栄えも一流ですね」
「オレゴンでお店をしている友人と来ました。できたらこれを店で売りたいです。とても美しいです」
「私にとっては全ての技がユニークだよ。初めて見たんだもの」
反応は上々。
岡垣社長も手ごたえを感じたようです。
「すごい数のビューティフルをもらいました。一生のうちで一番聞きました。この何時間かで。」
「復興が今までの繰り返しではなくて、新しいものを生み出すものになればいいなと思っています」
会場には、あの元日の地震で壊れた器も。
その傍らに置かれたコースターに書かれた言葉は…「We will never give up!」
「私たちは決してあきらめない」
岡垣社長は前を向き新たなものを生み出そうと動き出しています。