ウナギやカカオの皮…使わない食材を有効に
これまで商品にしてこなかった食材を有効に使い切ろうという動きが相次いでいます。ウナギの一部やチョコレート作りに欠かせないカカオなど、その工夫の様子を取材しました。
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東京・豊島区にある明治40年創業の老舗うなぎ店「大塚うなぎ宮川」。厨房(ちゅうぼう)ではウナギを丸々1匹巻き上げ、あまり見かけないウナギ料理を作っていました。
大塚うなぎ宮川・八馬誠代表取締役
「ウナギで作ったチャーシューをのせています」
巻いたウナギを燻製し、タレに漬け込んだ“ウナギチャーシュー”がのった、ウナギラーメンです。実はこのラーメン、スープに使われているのは、店でウナギをさばいた後に出る大量のウナギの頭です。40食分のスープを作るのに、約600匹分のウナギの頭を使い、だしを取るといいます。
大塚うなぎ宮川・八馬誠代表取締役
「(ウナギの頭は)大体のウナギ屋さんは捨てちゃうよね」
コロナ禍で客足が遠のく中、捨ててしまうウナギの頭を料理として提供できないかと新たな挑戦に踏み切りました。
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東京、港区のレストラン「Hotel’s」でも、意外なものを使った体験をすることができます。チョコレートのような香りがするお酒を提供しています。
さらに、店員のネクタイは、チョコレートの原料カカオ豆の皮を使って染めたものだといいます。
店員
「こちらは、染料にカカオの外皮を使用したネクタイになっております」
カカオの実から取れるカカオ豆。その20%ほどを占める皮の部分はチョコレート作りには使われず、一般向けの商品にはならない部分でしたが、ロッテは、これまで肥料などとしてしか使っていなかったカカオ豆の皮を有効活用しました。
ロッテ中央研究所 チョコレート研究課・五十嵐拓磨さん
「カカオ豆の皮も商品化できるのではないかという可能性を考えまして」
発泡酒やネクタイを作り、オンラインショップなどで販売することにしました。都内のレストランでは、チョコレートを使ったメニューとともに楽しむことができます。
ロッテ中央研究所 チョコレート研究課・五十嵐拓磨さん
「カカオってこんなにおもしろい使い方があるんだ、こんな面白いものなんだっていうのを幅広い方々に知ってもらえると、すごいうれしいなと」
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東京モノレールの天王洲アイル駅には、食材を有効活用した自動販売機があります。売られていたのは東京・麻布の高級すし店「鮨心」の食材を使ったおにぎりや汁物などです。
購入者
「いい食材っていうので楽しみ」
購入者
「気軽に自動販売機で質の高いものが手に入るっていうところが、いいかなと」
店を訪ねてみると――
鮨心・中村導昌さん
「これは白身魚のアラですね。食材としては使えますが、どうしてもお客様には出しづらい部位」
魚全体の7割近くが、寿司や刺身として使えず廃棄していたといいます。
鍋で煮込まれていたのは、店では使わない、いかのゲソを使ったいか大根です。自動販売機用に急速冷凍します。
鮨心・中村導昌さん
「おいしいんだけど、活用しきれてない部分を今回の取り組みで活用したくて」
自動販売機を設置した会社は――
デイブレイク・松本知世さん
「特殊冷凍でおいしさを閉じ込めているっていうのが、ここで売っているものの魅力だと思うので、こういう手法で食品ロスを削減できるんだっていうことを、私たちから発信していこうと考えています」
食材を無駄にせず、大切に消費するための取り組みが広がっています。