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【解説】「新NISA」で高まる投資機運 あらためて知りたい…どんな制度? 2月13日は“NISAの日”

2024年2月13日 22:33
【解説】「新NISA」で高まる投資機運 あらためて知りたい…どんな制度? 2月13日は“NISAの日”

2月13日は、語呂合わせから「NISAの日」ということで、1月から始まった「新NISA」の活用を呼びかけるイベントが開かれ、資産形成のために税制優遇制度「新NISA」を積極的に活用するよう呼びかけられました。

そこで、関心が高まっている「新NISA」について、あらためて知りたい、次の3つの点を中心に、経済部・金融担当キャップの渡邊翔記者が解説します。

1.制度の基本
2.活用すべき?
3.日本経済にプラス?

■関心高まる「新NISA」 2月13日は「NISAの日」

藤井貴彦キャスター
「『新NISA』については、(これまで番組の中でもお伝えしましたが、)関心が高まっているようですね」

経済部・金融担当キャップ 渡邊翔記者
「そうですね。先週末に、家計のお金に関する相談などを行う企業が開いた“投資の勉強会”を取材しましたが、ここでも、『新NISA』に関する問い合わせが増えているということでした」

    ◇

“投資の勉強会”の参加者に話を聞くと…

投資経験なし(20代)
「けっこう周りがやってるので、乗り遅れてるんじゃないかと思って。(投資は)本当に未知の世界なので。(制度について)聞いてから、安心した状態で始めたい」

投資経験あり(60代)
「『新NISA』に(すでに運用している)資産をうまく移すには、どうすればいいのかなと」

前向きな意見が多く聞かれました。

    ◇

藤井キャスター
「あらためて知りたい、「制度の基本」「活用すべき?」「日本経済にプラス?」の3つのポイントについて、解説します」

■あらためて知りたい、新NISA「制度のキホン」は?

藤井キャスター
「まずは、この制度の基本について。周りが始めたので興味をもって、“いまから始めたい”という人もまだ多いんでしょうか?」

経済部・金融担当キャップ 渡邊翔記者
「まだまだ多いようです。ここであらためて、制度のおさらいをしてみると、『新NISA』は、株式や投資信託などで得た利益には、通常だと20%の税金がかかりますが、これが非課税になる制度です。

投資の種類としては、年間の投資の上限額が240万円の『成長投資枠』と、120万円が上限の『つみたて投資枠』の2つがあります。そして、金融機関にもよりますが、月100円から積み立て可能ということで、少額で少しずつ運用ができます。

新制度開始から1か月半ほどたちましたが、『新NISA』のための口座を開設するという動きも増えているそうです。

また、『新NISA』への投資が活発になっていることを裏付ける数字があります。“投資信託”という商品が、1月に買われた金額と、売られた金額を比較すると、買われた額が1兆3000億円近く上回ったということなんです」(※日興リサーチセンター調べ、ETF=上場投資信託を除く)

藤井キャスター
「購入して、一方で売却する人もいるけれども、購入の勢いの方が上回っている、ということなんですね」

経済部・金融担当キャップ 渡邊翔記者
「そのとおりです。この数字が、どれだけすごいかというと、リーマンショック前以来16年ぶりの高い水準で、『新NISA』が積極的に活用されていることがうかがえる数字となっています」

■「新NISA」活用すべき? 短期的ではなく、長く投資を続けるのが大事

――日本の株価がいま非常に好調という状況で、「新NISA」への投資というのは期待できるのか?

経済部・金融担当キャップ 渡邊翔記者
「これは、投資というものは、得することもあれば損することもある、ということしか言えないのですが…

ただ、大手証券会社の関係者を取材していて、みなさんが話すのは、“NISAはこつこつと積み立てていくものなので、短期的な視点では考えないことが大事”だと。すぐ利益を得ようとするのではなく、我慢して長く投資を続けるということが、損をした場合のリスクを下げていく、ということなんです」

■毎月いくら投資に回すのがよい? 投資額や期間などしっかり検討を

経済部・金融担当キャップ 渡邊翔記者
「もう1つ、金融機関に寄せられる相談の中では、『1か月の家計の中で、毎月いくらくらい投資に回すのがよいでしょうか?』という質問が多いそうです。

これも実は、決まった答えというのはなくて、それぞれ家庭の状況次第というわけなんですが、1つヒントになるものがあります。

三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩氏によると、次のような要素をしっかり検討することが必要だとしています。

●自分の年齢から、どのくらいの期間、投資ができるのか
●収入のうち、どれくらいの資金を投資に使えるのか

市川氏はさらに、『「新NISA」の“制度や投資の基本”をまずはしっかり理解することが大事です。「新NISA」は、あくまで“投資を考える際の一制度”として活用していくというスタンスが大事だ』と話しています」

■外国株人気で円安が進む懸念も? 日本企業への投資を増やすには…

藤井キャスター
「『新NISA』で投資が増えると、国内での投資が日本経済を押し上げる、プラスになっていくという側面もあるんでしょうか」

経済部・金融担当キャップ 渡邊翔記者
「実は、まだ始まって1か月ちょっとですから、1月の動きを見た段階では、大きくプラスとまでは言いきれません。というのも、いま『新NISA』で買われる商品というのは、アメリカなど、外国株に関連するものの方が現状では人気となっているんです。

専門家に聞くと、背景として、アメリカを中心に海外企業の成長の度合いの方が、日本より高いのではないかとみている人がまだまだ多いのではないか、ということでした。

ただ、実は、この外国株への投資の増加というのには1つ気になる点もあって、円安が進むのではないか、という見方が出ているんです」

経済部・金融担当キャップ 渡邊翔記者
「日本総合研究所によると、『新NISA』によって、最大で年間3.9兆円の海外への投資が発生し、これは単純計算すると、ドル円相場を2027年にかけて最大6円弱、円安に押し下げる要因になるのではないか、と試算しています。

円安になると、輸入する物の価格が上がるなどするため、こうしたことから、物価高につながるリスクもあり、実は、『新NISA』を推し進めている政府の中でも、資金が海外に出ていくことに対して、一部懸念の声もあがっているんです。

『新NISA』による日本企業への投資を増やしていくためには、日本の企業の側にも、たとえば積極的に企業の情報を開示していくなど、株式や株価を意識した経営がこれからさらに求められていくのではないかと思います」

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