“トランプ関税”自動車に25%──輸出減は1.1兆円か トヨタ従業員「給料へ影響するかも」 今後は?【#みんなのギモン】

そこで今回の#みんなのギモンでは、「自動車関税25%…日本はどうなる?」をテーマに解説します。
トランプ大統領
「アメリカ製でないすべての車に25%の関税を課す。アメリカ製であれば関税は一切かからない」
山崎誠アナウンサー
「トランプ氏のこの発表を受けて、日本でも心配の声が上がっています。アメリカが輸入するすべての車に25%の関税を上乗せするというもので、日本の車も対象となります」
山崎アナウンサー
「アメリカは現在、日本の乗用車に2.5%の関税をかけていますが、これに25%の関税が上乗せされて、27.5%と10倍以上になります。さらに、トラックにはもともと25%の関税がかけられているので、一部は50%と大幅な引き上げになります」
「関税の対象はエンジンなど主要な自動車部品も含まれています。この関税が発動されるのは、自動車については4月3日から。自動車部品については5月3日までに、とされています」
鈴江奈々アナウンサー
「自動車産業は裾野が広いので、影響がどこまで広がるのか心配されますよね」
桐谷美玲キャスター
「それだけ働いている方も多いですからね。どういう影響があるのか気になりますよね」
山崎アナウンサー
「皆さんがどういうふうに受け止めているのか。日本で自動車産業に関わる方たちの思いを聞きたいと、トヨタのお膝元の愛知・豊田市から中継します」
戸田舜介・日本テレビ経済部記者
「(トヨタの)元町工場では、アメリカに輸出される自動車も作られているということです。ここで働いている人に、27日の昼過ぎから取材しています」
「発表があまりに突然すぎて、『そんなことになっているとは知らなかった』『給料への影響が今後出てくるかもしれない』と驚いた表情で話す従業員がいました」
「また『上の方では対応を議論しているかもしれないが、私たちのような下っ端には話が下りてきていない』『25%もかけられたら大きい』と困惑する声も上がっていました」
山崎アナウンサー
「帝国データバンクによると、トヨタに関連する自動車関係の企業は4万社以上あるとも言われ、その影響の大きさが不安視されています」
鈴江アナウンサー
「トヨタだけでも関連企業が4万社以上ということに驚きますが、関連企業以外にも、周辺地域の方々にも影響は出てくるでしょうか?」
戸田記者
「ここ豊田市には、元町工場以外にもトヨタの工場が集積していて、街の全体がトヨタとともに生きていると言えます。そのトヨタが輸出を控えれば、従業員だけでなく、関連会社の利益や街の経済全体に影響します」
「ある地元の飲食店の店主からは『トヨタで働く人たちのボーナスが減ったら、飲食店を使ってくれなくなるのではないか心配だ』と不安の声が聞かれます」
森圭介アナウンサー
「かなりの影響があると予想できますが、具体的にどれくらいの影響なのかは(数字が)出ているんですか?」
山崎アナウンサー
「自動車は日本の基幹産業です。日米の貿易に詳しい野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは『日本にとって最も関税をかけてほしくないのが自動車。まさに本丸に攻め込まれた状況だ』と表現しています」
「木内さんの試算では、日本からアメリカへの自動車輸出で25%の関税となった場合、輸出額は約1.1兆円程度も減少することが見込まれているということです」
忽滑谷こころアナウンサー
「規模が大きすぎてなかなか想像しづらいのですが、どれくらいになるんですか?」
山崎アナウンサー
「ちょっと強引な例えになるかもしれませんが、日本の100円ショップ市場では、帝国データバンクによると大手4社の売上高の合計が約1兆円(2023年度)です。これに匹敵する規模の市場が失われかねないという試算になります」
山崎アナウンサー
「それほど、やはりアメリカは日本の自動車の輸出先としてインパクトが大きいです。まず、日本からアメリカへの輸出額全体を見ると、自動車が最も多く、約3割を占めています」
「また日本自動車工業会によると、日本から世界へ輸出している自動車の台数は2024年が約422万台でしたが、そのうちアメリカへの輸出は約137万台。約3分の1を占めています。中国向け輸出は約20万台なので、まさに桁違いということです」
森アナウンサー
「(対米輸出全体で)自動車の存在感も大きいですし、(自動車の輸出先として)アメリカの存在感も非常に大きい。その中で関税が上がってしまうということじゃないですか。日本はもちろんですが、アメリカや世界への影響ももちろん出てくるわけですよね?」
山崎アナウンサー
「野村総合研究所によると、今回の自動車関税の上乗せで、日本への影響もありますが、例えばアメリカを代表する自動車メーカーのゼネラル・モーターズ(GM)などにも大きな悪影響が出るといいます」
「GMはアメリカ国外に生産拠点を多く持っているため、木内さんはトランプ関税が物価高や景気悪化を招くことになれば、アメリカ国内で関税反対の世論が強まる可能性があるとみています」
「ただ、トランプ氏は(今回の)自動車関税を恒久的と言っているので、当面撤回させることはなさそうということです。アメリカ経済にも影響を与えそうなトランプ関税をどこまで続けるのか、日本も世界も、固唾をのんで見守っている状況です」
(2025年3月27日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)
【みんなのギモン】
身の回りの「怒り」や「ギモン」「不正」や「不祥事」。寄せられた情報などをもとに、日本テレビ報道局が「みんなのギモン」に応えるべく調査・取材してお伝えします。(日テレ調査報道プロジェクト)