トランプ関税「車に追加25%」 日本の自動車産業は“不安の声”
トランプ大統領は26日、アメリカに輸入される車全てに25%の追加関税を課すと発表しました。日本で製造された車も対象となり、影響を不安視する声が広がっています。
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27日に訪ねたのは、愛知県の自動車部品メーカー。この工場ではトヨタのランドクルーザーの部品を製造していますが…。
旭鉄工 木村哲也社長
「関税は勘弁してほしいなって感じがあります。業績に悪影響を与えると」
社長が懸念していたのは、トランプ大統領のこの発表について。
トランプ大統領(米・ワシントン 26日)
「アメリカ製ではない全ての車に25%の関税を課す。アメリカ製であれば、関税は一切かからない」
日本を含む全ての自動車に25%の追加関税を課すとしていて、一部のトラックや自動車部品なども対象になります。
アメリカは現在、日本の乗用車に2.5%、トラックには25%の関税を課していて、これに25%が上乗せされると大幅な引き上げとなります。
日本からアメリカへの輸出品の中で最も多く、輸出額の約3割を占めている自動車。
日本から世界へ輸出している自動車の台数は去年約422万台で、そのうちアメリカへは約137万台輸出しています。(日本自動車工業会による)
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トヨタの関連企業で働く従業員らからも“困惑の声”が…。
トヨタと取引のある自動車関連企業 従業員
「所得が減る懸念はすごくあります。なんとかうまいことやっていただきたいというのが率直な意見」
トヨタ系自動車ディーラー 従業員
「(25%は)かなり大きいですので、心配は心配です、正直」
トヨタ 元従業員
「本当にやったら結構大変なことになるでしょうね。トヨタだけじゃなく世界中が」
関税措置に期限はなく、自動車が来月3日から、自動車部品については5月3日までに発動するとしているトランプ大統領。
トヨタや日産、マツダなどの関係者からは「紆余(うよ)曲折があり得る話。発表が出ただけでは分からない」などの声が聞かれました。
石破首相は…。
石破首相(27日午前)
「私どもとして適切な対応を考えていかねばなりません」
関税措置について「日本に適用しないことを強く要請している」としています。
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日本国内の自動車関連産業の就業者の数は、約558万人。(日本自動車工業会による)
日本経済への影響について、専門家は…。
日米の経済問題に詳しい 野村総研エグゼクティブ・エコノミスト 木内登英さん
「日本にとっては最も関税をかけてほしくなかった品目が自動車。国内での生産・雇用が減ってしまうので、日本経済をさらに縮めてしまう引き金になるのではないかと。直接的に1兆円強くらい、アメリカ向けの輸出が落ちる」
さらに、自動車関連製品の生産の減少などを合わせると、日本のGDP(=国内総生産)が0.2%程度下がると試算し、大きな打撃だと指摘します。
“措置の対象から日本だけ除外されるのは難しいだろう”とした上で…。
野村総研エグゼクティブ・エコノミスト 木内登英さん
「関税策は相手国を傷つけるだけじゃなく、アメリカにも返ってくる。アメリカ製品を(アメリカに住む人が)高い値段で買わないといけなくなるとか。アメリカ国内の世論の反応が、最終的にトランプ関税を軌道修正させていく」
(3月27日放送『news zero』より)