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トランプ氏を怒らせると不利に? 停戦案めぐり…プーチン氏に“ジレンマ” ウ大統領「彼は恐れている」【#みんなのギモン】

2025年3月15日 12:28
トランプ氏を怒らせると不利に? 停戦案めぐり…プーチン氏に“ジレンマ” ウ大統領「彼は恐れている」【#みんなのギモン】
ウクライナへの支援をめぐり激しく言い合ったゼレンスキー大統領とトランプ米大統領ですが、11日には共同声明を出しました。ロシアのプーチン大統領は2人からボールを投げられた形に。即時停戦に応じたくないのが本音ですが、ジレンマもあるようです。

そこで今回の#みんなのギモンでは、「停戦案 プーチン大統領の本音は?」をテーマに解説します。

■ウクライナと歩調を合わせるアメリカ

小野高弘・日本テレビ解説委員
「ロシアとウクライナ、ついに停戦できるかどうかというところには来ています。その停戦案をめぐって、トランプ・ゼレンスキー・プーチンという3人の大統領の駆け引きが厳しくなっています。プーチン大統領の心の中を探ってみたいと思います」

「11日、アメリカとウクライナが共同声明を出したという大きな動きがありました。ウクライナは、ロシアとの暫定的な30日間の停戦案を受け入れる用意があると表明。ゼレンスキー氏は、『戦争を終結するか続けるかはロシアが決める』としています」

「つまり、プーチン氏に『あなた次第ですよ』と2人からボールが投げられたということです。プーチン氏にしてみれば、不意打ちを食らいました」

「トランプ氏とゼレンスキー氏が以前言い合いして物別れしたのを、プーチン氏は見ていました。『しめしめ、トランプ氏は自分側に賛同してくれるのでは』と思っていたら、今週になって(アメリカは)ウクライナと歩調を合わせてしまった。モヤモヤしています」

鈴江奈々アナウンサー
「ちょっと主導権を握られてしまったかな、みたいな気持ちがあるかもしれないということですね。プーチン氏としてはやはり、ロシアにとって有利な形で進めたいと思っているわけですね」

■プーチン氏の本音は…引き延ばし?

小野解説委員
「そうです。そこでプーチン氏、どう反応したのでしょうか? 13日に、『紛争を平和的に終わらせるという考えには同意する』と、停戦案に同意すると述べました」

「ということはロシアも停戦に合意かと思いきや、続けて『長期的な和平につながり、紛争の根本的な原因を取り除くものであるべき』『停戦監視の方法も含めて議論が必要だ』とも言いました。同意なのだが議論が必要だと。どういうことだと思いますか?」

森圭介アナウンサー
「『紛争の根本的な原因を取り除く』も何も、紛争を仕掛けたのはロシアですし、何が言いたいのか若干分かりづらい文章ではありますよね」

小野解説委員
「イギリスメディアはこんな見方をしています。BBCは『イエスに見せかけたノーだ』。やはりプーチン氏はアメリカとウクライナに決められたくない、いますぐの停戦には応じたくない、それが本音なのでしょう」

「だから、議論が必要だと言って引き延ばそうとしているとみられます」

■最前線に…軍服姿のプーチン氏

忽滑谷こころアナウンサー
「本心では今のタイミングで停戦したくないと思っているということですが、なぜ『議論が必要だ』と、時間を稼ぐような発言が出るのでしょうか?」

小野解説委員
「軍服を着ているプーチン氏の映像があります。12日、戦地の最前線を訪れました。ロシア西部のクルスク州。ウクライナ軍が越境攻撃で攻め込んできた場所で、いま、ロシア軍がほぼ押し返しました」

「そこへプーチン氏がやってきて、『我々の任務は敵を完全に打ち負かすことだ』と発破をかけています。ロシアがいま有利な状況だと、アピールしているかのようです」

■モスクワ支局長に聞く…強気の交渉?

小野解説委員
「NNNモスクワ支局長の平山晃一支局長は『いま戦況はロシアに圧倒的に有利で、プーチン氏としては譲歩してまで停戦に応じる動機はない。そのため強気で交渉に臨むのではないか』と見ています」

「プーチン氏がずっと求めてきたのは、ロシアが併合を一方的に宣言した4つの州からウクライナ軍が撤退することと、ウクライナがNATOに加盟する計画を放棄すること。停戦交渉入りには、この2つが条件だと言ってきました」

「いまも、停戦するならこれは条件だと考えているでしょうね」

■ロシアのペースか、アメリカのペースか

刈川くるみキャスター
「となると、いま停戦に向かっているとはいえ、プーチン氏次第といいますか、これをアメリカやウクライナがどう捉えるかによって停戦がしっかり叶うのか、時期もずれそうですよね」

小野解説委員
「ただプーチン氏もいま、強気を表にはなかなか出しづらいんです。ジレンマを抱えています。なぜなら、プーチン氏はトランプ氏の顔色を見ないといけないからです」

「トランプ氏は一刻も早く停戦させることに誰よりもこだわっています。交渉が難航したり時間がかかったりすれば、トランプ氏の不満の矛先が自分に向きかねない、トランプ氏を怒らせると自分が不利になるかもしれない、と考えているかもしれません」

鈴江アナウンサー
「戦況はロシアにとって圧倒的に有利な状況であっても、ロシア側に不利になるようなことは、どういうことが考えられるのでしょうか?」

小野解説委員
「例えば、トランプ氏の一声でこれまでよりさらに厳しい経済制裁を受けてそれがずっと続くとか、ウクライナにさらに強い軍事支援が行われて不利になるとか…」

「そのためプーチン氏が早い時期に停戦に応じるのか、それともアメリカとの直接協議でトランプ氏を抱き込んでロシアのペースに引き戻そうとするのか。駆け引きを考えているのだと思います」

■見透かす?…ゼレンスキー氏の言葉

小野解説委員
「そんなプーチン氏に対して、2人からはこんな言葉が投げかけられています。ゼレンスキー氏は13日、『プーチン氏は停戦案を拒否する準備をしているが、それをトランプ氏に直接話すことを恐れている』と発言。見透かしているかのようです」

「トランプ氏は同日、『ロシアが正しいことをすると期待している。(プーチン氏は)非常に期待できる声明を出したが完全なものではなかった』と述べました」

森アナウンサー
「状況が進んでいるようですが、まだまだ決め手がちょっと足りないという感じですかね」

小野解説委員
「停戦ができるかどうかというところまでは来ていますが、いま3人の大統領の思惑はせめぎ合ったままです。先行きはなかなか見通せないですね」

鈴江アナウンサー
「停戦案をめぐってまだまだ駆け引きは続きそうですね」

(2025年3月14日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)

【みんなのギモン】

身の回りの「怒り」や「ギモン」「不正」や「不祥事」。寄せられた情報などをもとに、日本テレビ報道局が「みんなのギモン」に応えるべく調査・取材してお伝えします。(日テレ調査報道プロジェクト

最終更新日:2025年3月15日 13:01