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日銀審議委員「金利の機能回復が必要」 今後も金融緩和継続を強調で円安再び進む

2024年3月27日 13:09
日銀審議委員「金利の機能回復が必要」 今後も金融緩和継続を強調で円安再び進む

日本銀行の田村審議委員は27日の講演で、17年ぶりの利上げをうけ、今後も金融政策の正常化を進め、金利の上げ下げを通じて需要や物価を調整する金融政策本来の機能を回復させていくことが必要だとの考えを示しました。

田村審議委員は日銀の金融政策を決める9人の政策委員のうちの一人です。27日、青森県で講演した田村氏は、マイナス金利の解除など、日銀が今月決めた大規模な金融緩和の修正について改めて説明した上で、「現時点の経済・物価見通しを前提にすると、当面、緩和的な金融環境が継続すると考えている」との認識を示しました。

また田村氏は、これまで長年「ほとんど金利がない世界」や大規模な金融緩和策が続いた結果、生産性の低い企業がビジネスを継続でき、企業の新陳代謝があまり進まなかったことや、経済の先行きを予想して長期金利が変動する「シグナリング機能」が低下したことなど、「副作用」が生じたと指摘しました。

その上で、金融政策の正常化のゴールは、金利の上げ下げを通じて需要や物価を調整できる水準まで金利を戻し、企業の新陳代謝などの機能を回復させることだとの考えを示しました。

一方、足下の経済情勢について田村氏は、物価高が個人消費を押し下げつつある点や人手不足が企業の設備投資の動きにややマイナスに働いている点などを「心配している」としつつも、今後の経済成長の見通しが「腰折れする懸念は小さい」との見方を示しています。

田村氏の今後の利上げ見通しに関する発言をうけ、東京外国為替市場では日米の金利差が開いた状態が続くとの見方が改めて広がり円を売ってドルを買う動きが進み、講演後に円相場は一時、1ドル=151円80銭台まで円安が進んでいます。(27日午前11時半時点)

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