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【解説】「マイナス金利政策」解除 銀行預金や住宅ローン…私たちの生活はどう変わる?

2024年3月19日 20:04
【解説】「マイナス金利政策」解除 銀行預金や住宅ローン…私たちの生活はどう変わる?

日本銀行は、金融政策決定会合でマイナス金利政策を解除することなどを決め、17年ぶりの利上げに踏み切りました。経済部・日銀担当キャップの渡邊記者がマイナス金利解除に関する3つのギモン、「マイナス金利とはどういう政策か?」「なぜ今回、解除したのか?」「生活への影響は?」について解説します。

3つのギモン

1:マイナス金利?
2:なぜ今回解除?
3:生活への影響?

■そもそも「マイナス金利政策」とは?

藤井貴彦キャスター
「まず、マイナス金利とは、どういう政策だったのでしょうか?」

経済部・日銀担当キャップ 渡邊翔 
「私たちが銀行に預金すると、普通は利息がもらえます。しかし、マイナス金利は、銀行が日銀にお金を預け過ぎた場合に、逆に金利を払わなければいけない。つまり手数料を取られてしまうという仕組みだったんです。かなりイレギュラーな政策ではあるのですが、これによって『日銀にお金を預けるより、使ったほうがいいだろう』と銀行が判断し、個人や企業に積極的にお金を貸すことにより、経済を活性化させることが狙いでした」

藤井キャスター
「確かに、手数料を取られてしまうのなら、銀行にとっては貸したほうがいいわけですね。そうすると、お金が回っていくということですね」

■なぜいま解除? 経済は活性化したのか?

藤井キャスター
「では2つめのギモン『なぜ今回解除したのか』。解除したということは『マイナス金利政策から脱却して、政策で経済を活性化できた』ということなんでしょうか?」

渡邊キャップ
「まさにうまくいったと日銀は判断して、今回解除したということなんです。日銀は、そもそも毎年2%くらい物価がだんだん上がっていく経済が、景気も順調で、企業の業績も良く、そして働く人のお給料もきちんと上がる安定した経済の状態だと考えているんですが、いま物価上昇率は2%をずっと超えています。さらに先週の春闘でも、賃上げ率が途中経過ですが33年ぶりの高水準になりました」

「個人も企業もお金を使う、良い経済の流れができつつあるし、今後も続くだろうと判断して、イレギュラーな政策、いわば経済に対して“行きすぎた治療薬”で治療する、というのはやめようと、解除に踏み切りました。その結果として21日から、約0.1%と少しですが金利が上がります」

■銀行預金の金利は上がるのか?

藤井キャスター
「金利と私たちの生活の結びつきを感じるのは、なかなか難しいとは思いますが、たとえば銀行に預けているお金、預金の金利は上がっていくものなんでしょうか?」

渡邊キャップ
「そこは気になるところですね。きょう(19日)、ある銀行のトップに密着して、直接聞いてきました」

東京スター銀行 伊東武頭取
「非常に期待感が大きいと思います」

――預金金利はどうなる?

東京スター銀行 伊東武頭取
「銀行によってはいろんな戦略を取りやすくなると思います。より預金金利の条件の良い銀行が選ばれるのではないかと」

渡邊キャップ
「取材した東京スター銀行は、実は去年の9月に、他の銀行より先に普通預金の金利を条件つきで0.25%まで引き上げています。これは1万円を1年預けると25円もらえるという計算ですが、一方、メガバンクの普通預金金利はこれまで0.001%でした。なので、単純計算で(金利が)250倍。これで顧客も増えたんです」

「今回、日銀の利上げ幅は0.1%で、植田総裁も会見で、預金の金利が『大幅に上昇するとはみていない』と話したのですが、今後、日銀がこの金利をさらに、徐々に引き上げていけば、預金の金利も少しずつではありますが、上がっていくことが考えられます」

藤井キャスター
「具体的には、ほかの銀行の動きはあったんでしょうか?」

渡邊キャップ
「みずほ銀行も普通預金と定期預金の金利の引き上げを行う予定だと発表しました。時期やどれくらい上げるかは発表していないです」

■住宅ローンの金利も上がるのか?

陣内貴美子キャスター
「もうひとつ、みなさんが気になるのは、住宅ローンの金利だと思うんですが、こちらはどうなんでしょうか?」

渡邊キャップ
「住宅ローンには固定型と変動型の2種類がありますが、およそ7割の人が変動型のローン金利を選んでいます。これについて住宅ローンアナリストの塩澤崇さんに聞きますと『今回の利上げでも、新規に住宅ローンを借りる場合の変動型金利は、上がったとしても0.1%程度で、いままでの流れに大きな変化はありません。しかも、すでに返済を行っている途中の人の金利は上がらない可能性もある』というふうに分析していました」

陣内キャスター
「では急激に変わることはない、と安心していいですか?」

渡邊キャップ
「その方向だということです」

■円安による物価高に歯止めは… 今後の日本経済は?

渡邊キャップ
「そしてもうひとつ、わたしたちに身近なところの変化では、日銀の政策転換によって今後金利が上がっていけば、いまの過度な、行きすぎた円安による物価高にも歯止めがかかる可能性があります」

藤井キャスター
「今回、金利を上げても、物価以上に賃金が上がっていくような良い経済の流れをつくることはできるんでしょうか?」

渡邊キャップ
「まさにそこが日銀の腕の見せどころで、日銀は今回のように金利を上げたり、また下げたりしながら、いい循環を維持するようお金の流れの調節をしているんですが、植田総裁は会見で今後の金利見通しについて『当面、緩和的な金融環境が継続すると考えている』『急激な(金利の)上昇は避けられるとみている』と話しました」

「つまり、いまの良い流れを維持していくために、マイナス金利を解除しても今のところは金利が低い状況を続けていきますよ、ということなんです」

「ただ、経済の好循環をつくり出したり、それを維持したりすることは、実は日銀の金融政策だけではできないものなんです。政府もしっかり成長戦略を示す。そして企業も生産性を上げていく必要があります。マイナス金利は解除されましたが、日本経済はこれからがまさに正念場といえると思います」